メルカリのグループ会社ソウゾウが、EC開設サービス「メルカリShops」の提供を始めた。メルカリで培った、2000万以上のユーザーと知見を活かし、小規模事業者向けにサービスを展開していく。多くのECプラットフォームが先行するなか、どのように訴求していくのか。

メルカリShopsのロゴ画像。メルカリの「第四の柱」として売り出していく
メルカリShopsのロゴ画像。メルカリの「第四の柱」として売り出していく

 メルカリの傘下ソウゾウは2021年10月7日、Eコマースプラットフォーム「メルカリShops」の本格提供を開始した。7月末からプレオープンとして一部の事業者に提供していたサービスを、個人・法人関係なくすべての事業者に展開。メルカリで培ってきたCtoC(個人間取引)のノウハウを用いて、事業者のECサイトの開設支援を行う。

2000万人以上のユーザーに訴求

 ShopifyやBASE、STORESをはじめとした同種のサービスが先行するなか、メルカリShopsが狙うターゲット層は「生産者やクリエイターなどの小規模事業者」だ。その理由は大きく2点ある。

 1点目は「独自で集客する必要がない」ところだ。メルカリShopsは、メルカリのアプリに併設される形でリリースされた。アプリ内の1つのタブとして、従来のフリマページに加えて、ネットショップ用のページが組み込まれた。アプリユーザーが2000万人以上いるメルカリにネットショップを開設することで、事業者は独自に集客する必要なく、多くのユーザーに商品を訴求できる。

メルカリアプリのスクリーンショット画像。画面上部にある「ショップ」タブが、今回新設されたメルカリShops。これまで展開してきたフリマのページと並列する形で挿入された
メルカリアプリのスクリーンショット画像。画面上部にある「ショップ」タブが、今回新設されたメルカリShops。これまで展開してきたフリマのページと並列する形で挿入された

 買い手側にもショップ商品を自然に見てもらうため、メルカリShopsのページの画面設計は、フリマサービスに似せた。ソウゾウ代表取締役CEO石川佑樹氏は「(買い手側に向けても)なめらかな体験をつくっていく」と語る。

 「買い手側は基本的に、『何か欲しいものがあったり、商品を眺めたりしているなかで購入する』という流れになっている。(購入を検討する商品が)ショップからなのか、個人から出ているのかというのは、買い手側からすると参考情報の1つだと思っている。なので、買い物体験としてはなるべくスムーズになるよう、(フリマとネットショップの)違いを際立たせるようなことはしていない」(石川氏)

ソウゾウ代表取締役CEO石川佑樹氏
ソウゾウ代表取締役CEO石川佑樹氏

 2点目は「開設・販売方法が簡単」なところだ。「スマホ1つで誰でも簡単に」をキャッチコピーに、フリマで出品するのに近い操作で、ショップ開設・商品販売ができる。

 「コロナ禍で困っている小規模事業者に対して、適切なツール・サービスがなかなかない現状がある。『ネットショップでどう売ったら良いかわからない』という方に向けて、ソリューションを提供したいと考えていた」(石川氏)

 プレオープン時の先行出店者からは、「出店・販売がメルカリの延長で簡単」「再出品は在庫数を増やすだけなのでとても便利」、農家の方からは「畑にいてもスマホで操作できるのが利点」などの感想が寄せられた。

説明会にオンラインで登壇したメルカリShopsの出店者(画面左と中央の2組)。2組とも地方で農業を営んでいる
説明会にオンラインで登壇したメルカリShopsの出店者(画面左と中央の2組)。2組とも地方で農業を営んでいる
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