カプセル式コーヒーメーカー「ネスカフェ ドルチェ グスト」の専用カプセル、「ネスカフェ ドルチェ グスト ブルーラテ」。ネスレ日本(神戸市)が2021年9月16日から直営の通販や一部EC(電子商取引)サイトにて、数量限定で販売中の「青いラテ」だ。日本のチームが、30~40代のカフェ好き女性をターゲットに開発したという。

「ネスカフェ ドルチェ グスト ブルーラテ」発表会に登壇した、ネスレ日本 飲料事業本部コーヒーシステム&スターバックスCPGビジネス部部長の古山裕巳氏と飲料事業本部 コーヒーシステム スターバックス CPGビジネス部 マーケティング スペシャリストのキャシー・シュー氏
「ネスカフェ ドルチェ グスト ブルーラテ」発表会に登壇した、ネスレ日本 飲料事業本部コーヒーシステム&スターバックスCPGビジネス部部長の古山裕巳氏と飲料事業本部 コーヒーシステム スターバックス CPGビジネス部 マーケティング スペシャリストのキャシー・シュー氏

鮮やかな青いティーラテを発売

 「ネスカフェ ドルチェ グスト」は1杯分のコーヒー豆をカプセルに詰めて真空状態で密封したカプセル式コーヒーだ。専用のコーヒーメーカーにカプセルをセットするだけで、プロのハンドドリップに近い本格的な味が楽しめる手軽さが支持されている。

 9月に発売した「ネスカフェ ドルチェ グスト ブルーラテ」は、熱帯地域に生息するマメ科の植物、バタフライピーを使用したハーブティーをベースしたティーラテだ。カプセルを1つセットするだけで、鮮やかな青いティーと、ふんわりとした白いフォームドミルクの層が作れる。飲んでみると、アプリコットやライチのフルーティーな風味と、フォームドミルクのまろやかな甘味が、さわやかに口に広がる。カフェインを含まないため日中はもちろん、就寝前でも気にせず飲めるのも特徴だ。

マメ科の植物、バタフライピーの花の青い色には、アントシアニンという天然の青い色素が含まれているとされる。アントシアニンは抗酸化作用を持つポリフェノールの1つ(写真提供/ネスレ日本)
マメ科の植物、バタフライピーの花の青い色には、アントシアニンという天然の青い色素が含まれているとされる。アントシアニンは抗酸化作用を持つポリフェノールの1つ(写真提供/ネスレ日本)

将来のターゲットユーザーにも訴求

 ネスレ日本 飲料事業本部コーヒーシステム&スターバックスCPGビジネス部部長の古山裕巳氏によれば、「ドルチェ グストは06年に発売され、日本には07年に投入。現在世界85カ国以上の国と地域で展開しており、日本はアジアの中で他国と比べても高い市場シェアを誇る」。ドルチェ グストのコーヒーメーカーの世界累計出荷台数は、18年12月末時点で5000万台を超え、日本での累計出荷台数は20年6月末時点で350万台以上。デザインやサイズの豊富さも支持される理由だ。

 カプセルは「ブラックコーヒー」「ラテ」「ティー・ココア」というドルチェ グストのシリーズに加え、ドルチェ グスト用に独自に開発され19年に販売開始となった「スターバックスシリーズ」と合わせると、約30種類にもなる。

 多くのカプセルは主に欧州の工場で製造、輸入されているが、今回のブルーラテや「ティーラテアソート」(21年3月に期間限定で発売し、今回再販)など、期間限定製品は日本独自のチームがコンセプトから考案・開発している。同社飲料事業本部 コーヒーシステム スターバックス CPGビジネス部 マーケティング スペシャリストのキャシー・シュー氏は、同社は今後、顧客のニーズとカフェトレンドを反映し、「おうちが、あなたのカフェになる。」というコンセプトに沿った、季節ごとの期間限定製品を開発・販売していくと話した。

 期間限定製品のターゲット層は30~40代のカフェ好きの女性がメインで、こうした層は子供がいる人も多い。このため「若年層にとっても、魅力的な製品にしたい」(シュー氏)。親子でカフェタイムを楽しむことにより、将来のターゲットユーザーへの訴求にもつなげたい考えだ。

 「今回の期間限定製品であるブルーラテのように、日本のニーズをくみ取って開発した商品として、ドルチェ グストシリーズ、スターバックスシリーズ両方から積極的に発売していきたい 」(シュー氏)と言う。

「ネスカフェ ドルチェ グスト ブルーラテ」は1箱10個(10杯分)入りで希望小売価格980円(税込み)(写真提供/ネスレ日本)
「ネスカフェ ドルチェ グスト ブルーラテ」は1箱10個(10杯分)入りで希望小売価格980円(税込み)(写真提供/ネスレ日本)

世界的な需要増加で一時休売していた

 ブルーラテには、4月の一時販売休止で失った販売機会を秋冬シーズンに向けて取り返す起爆剤にしたいという狙いもある。

 新型コロナウイルス感染症拡大により、自宅でのコーヒーなどカフェメニュー飲用機会は増えており、富士経済の調査によれば、20年のレギュラーコーヒー市場(見込み)は19年比109.3%となる2690億円、インスタントコーヒーで同105%となる2702億円。外出自粛や在宅勤務の増加により、喫茶など外食業態や自販機、コンビニエンスストアの利用頻度が低下し、家庭用商品へ需要がシフトしているとみられる。

 そんな中、ドルチェ グストは21年4月に世界的な製品の需要増加と20年末からの国際輸送の逼迫により、製品の安定供給が困難な状況となり一時販売を休止した。

 「もともと欧州ではドルチェ グスト専用カプセルだけでなく互換商品もあるなどマーケットが活性化しており、カプセルポッド市場が日本より大きい。しかも欧州各地でロックダウンが実施され、家で過ごす時間が増え、飲用機会が増えたこと、また飲食店の営業が日本以上に厳しく制限された時期があったことで、需要が急拡大し、日本での安定供給が難しくなった」(古山氏)

「コーヒーメーカーやカプセル新製品を開発するだけでなく、コンセプトそのものを浸透させる必要がある」と古山氏
「コーヒーメーカーやカプセル新製品を開発するだけでなく、コンセプトそのものを浸透させる必要がある」と古山氏

 日本では、ドルチェ グストは「冬シーズンと、新生活シーズンに売り上げが伸びる」(古山氏)。それが4月のカプセルの一時販売休止により、多少なりともチャンスを逃したことになる。この巻き返しのためにも、コーヒーメーカーやカプセル新製品を開発するだけでなく、「おうちが、あなたのカフェになる。」というコンセプトそのものを、浸透させていく必要があると考えた。

 「ドルチェ グストは数多くある選択肢の1つ。350万台販売されているコーヒーメーカーとはいえ、毎日使う人もいれば、週末だけ使う人もいる。飲用機会を増やすために、非日常であるカフェでの体験を家で手軽にできるということを、期間限定製品のキャンペーンなど含めてコミュニケーションしていきたい」(古山氏)

スタバブランドも後押しに

 期間限定製品は、直営店の「ネスカフェスタンド」でテスト販売し、顧客からのアンケート回答も参考にしながら製品化。数量限定のオンライン販売が基本だが、ニーズによっては全国の店舗で販売する可能性もあるという。

 スターバックスのカプセルの新製品にも期待する。21年3月にも新製品を投入しているが、普段スターバックスの店舗を利用している人が、家でも味わえることを知ることで、ドルチェ グスト購入につながる可能性もある。「(相乗効果的に)コーヒー文化を探求するきっかけにしてもらえればいいと思っている」と古山氏は話す。

 「家族一人ひとり、飲みたいものが違う中で、カプセルをセットするだけで全く違うメニューが楽しめるのがドルチェ グストの強み。新規ユーザーにはまずはコーヒーメーカーを導入してもらう必要があるが、21年3月1日に発売した最新モデル『ジェニオエス』は、消費者の評価も高いので、秋冬にかけて家電量販店やオンラインでタッチポイントを増やしてアピールしていきたい」(古山氏)

21年3月1日に発売された「ジェニオエス」。ドルチェ グスト史上最もコンパクトかつスリムで、スケジュールブリュー(予約抽出)機能を搭載する。抽出タイミングを予約できるほか、通常の抽出機能に加え、職人が入れたような味わいを楽しめる「ハンドドリップモード」も選択できる。希望小売価格は2万1780円(税込み)(写真提供/ネスレ日本)
21年3月1日に発売された「ジェニオエス」。ドルチェ グスト史上最もコンパクトかつスリムで、スケジュールブリュー(予約抽出)機能を搭載する。抽出タイミングを予約できるほか、通常の抽出機能に加え、職人が入れたような味わいを楽しめる「ハンドドリップモード」も選択できる。希望小売価格は2万1780円(税込み)(写真提供/ネスレ日本)
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