「自販機缶コーヒー」市場でトップクラスのシェアを持つダイドードリンコが、業界初となる機能性表示食品のエナジードリンク「The BURNING(ザ バーニング)」を2021年9月20日に発売した。花王との協業により「茶カテキン」を配合し、健康志向のエナジードリンクとして訴求していく。

2021年9月20日に発売された、ダイドードリンコ「The BURNING(ザ バーニング)」希望小売価格183円(税別)
2021年9月20日に発売された、ダイドードリンコ「The BURNING(ザ バーニング)」希望小売価格183円(税別)
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 ダイドードリンコ(以下、ダイドー)の「The BURNING(ザ バーニング)」は、業界初となる機能性表示食品のエナジードリンクだ。機能性関与成分は、「ヘルシア」シリーズなどを展開する花王の素材を活用。緑茶葉に含まれる植物由来のポリフェノールの一種である「茶カテキン」540ミリグラムを配合する。

 発売に先駆けて行われた発表会に登壇したダイドーの執行役員マーケティング部長の中井章人氏によれば、ザ バーニングの発売により、「健康という新たな機軸を持つエナジードリンク」市場を開拓したいという思いが同社にはある。そのために「素材・機能を追求し、豊富な研究データに基づく知見を持つ花王の素材、茶カテキンを活用することになった」(中井氏)という。

コロナ禍もエナジードリンク市場拡大

 富士経済の調査によれば、2020年の国内の清涼飲料市場は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出自粛や、テレワークの普及による外出先やオフィスでの飲用機会の減少などの影響を受け、前年比5.7%減の4兆9748億円で、11年以来9年ぶりに5兆円を下回った。

 それでもエナジードリンクは好調で、市場調査会社のインテージホールディングスによれば、エナジードリンク(※1)は3年前に比べて市場規模が約1.4倍に拡大、18年7月~19年6月においては459億円の市場となったという。一方で、よく比較されるドリンク剤(栄養ドリンク)(※2)市場は微減傾向で、同期間において、1748億円から1731億円になっている。

※1:同調査でのエナジードリンクは、カフェイン、アミノ酸、ビタミンなどの成分が入った「エナジードリンク」と標榜している、もしくはそれに近しい炭酸飲料の商品群を独自に定義。代表的なブランドとして「レッドブル」や「モンスターエナジー」などがある。
※2:同調査のドリンク剤は、滋養・強壮を目的とした医薬品または医薬部外品で1本100ミリリットル以下の容量のもの。
出典:「インテージ 知る Gallery」2020年3月4日公開記事

 企業による商品の投入も活発だ。06年に日本での販売を開始した「レッドブル」が市場を開拓、12年に日本で発売された「モンスターエナジー」シリーズ(アサヒ飲料)は18年以降若者の支持を集めて市場をけん引した。さらに19年にはコカ・コーラシステムが「コカ・コーラ エナジー」を、サントリー食品インターナショナルが「ゾーン」を発売。ダイドーも19年に「エナジージムストロング」、20年に「エナジージム パワフルチャージ」を投入している。

 競争も活発化する中、今回の製品が他と一線を画すのは、業界初となる機能性表示食品である点だ。これによって、従来は主に若い世代に好まれたエナジードリンク市場を、より上の30~50代にまで拡大しようとしている。

 発表会に登壇したダイドー マーケティング部商品開発グループアシスタントマネージャーの香川珠実氏は「多くの人が問題と感じる超高齢化や健康寿命延伸、医療費削減の必要性などに加え、新型コロナ禍で働く男性のセルフメディケーション意識・健康意識は、これまでになく高まっていると推察している」と開発の背景について説明。生活様式の変化でストレスを感じる機会が増えたことも、解消手段としてのエナジードリンクのニーズの高まりに作用した。その一方で、同社が21年4月に30~40代男性エナジードリンクユーザーを対象に行った調査では、「『カロリーが高い』『価格(高い)』『不健康そう』というイメージが強いことがうかがえた」(香川氏)という。

商品名「The BURNING(ザ バーニング)」と火の鳥を配したシンプルでスタイリッシュなデザイン。Wブースト感(気分ブースト×BMIが高めな方の内臓脂肪を減らす)を直感的に訴求し、働く男性の購入意向を喚起するイメージだという(画像提供/ダイドードリンコ)
商品名「The BURNING(ザ バーニング)」と火の鳥を配したシンプルでスタイリッシュなデザイン。Wブースト感(気分ブースト×BMIが高めな方の内臓脂肪を減らす)を直感的に訴求し、働く男性の購入意向を喚起するイメージだという(画像提供/ダイドードリンコ)
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自己投資を惜しまない層がターゲット

 ザ バーニング最大の特徴は「健康に良い成分が含まれていること」、具体的には機能性関与成分を配合した機能性表示食品であることだ。

 機能性表示食品は特定保健用食品(トクホ)と異なり、国が審査を行うわけではない。このため、ダイドーは機能性に関する研究論文を集め、総合的に検証する研究レビューを実施。茶カテキンには、BMIが高めの人の「内臓脂肪を減らす」機能があることを確認した上で採用した。中でも、豊富な研究データに基づく知見を持ち、「ヘルシア」シリーズで実績もある花王の茶カテキンを活用したことは、製品開発のスピードアップや製品の信頼性につながった。トクホではなく機能性表示食品での販売を決めたのは、開発期間を短縮し「早くお客様に届けるため」(香川氏)という側面もあったという。

 ターゲットは30~50代の男性。「購買力が高く、自己投資を惜しまない。仕事にも熱心で、自分を高めるという意味でも健康に気を使っている層」(香川氏)と想定している。

 「20~30代に支持されるエナジードリンクは、それより上の層には自分向けの商品ではないと思われている可能性があるのではないか。特に上の年代層の方の健康意識が高まる傾向にあるため、ザ バーニングは全くの新カテゴリーとして、30~50代までの男性のニーズに応えられると考えている」(香川氏)

 同社には健康食品の開発を行うファンケルと共同開発し、16年に初登場した「大人のカロリミット」茶シリーズや、各種サプリメントも存在する。同シリーズは女性利用者が多いが、今回は男性をターゲットにどれくらい市場を拡大できるかが気になるところだ。

味はトロピカルフレーバーとカテキンが融合した「新感覚の味わい」とダイドーは表現。飲んでみると、一般的なエナジードリンクと緑茶が合体した、エナジードリンクながらヘルシーなイメージが湧く味がし、やや苦みを感じた
味はトロピカルフレーバーとカテキンが融合した「新感覚の味わい」とダイドーは表現。飲んでみると、一般的なエナジードリンクと緑茶が合体した、エナジードリンクながらヘルシーなイメージが湧く味がし、やや苦みを感じた
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花王はヘルシア譲りの素材を販売へ

 一方、ザ バーニング発売の背景には花王の戦略もある。花王は21年9月から「ヘルシア」シリーズの機能性表示食品の原料として使用している花王独自のポリフェノール素材、「茶カテキン」と「コーヒー豆由来クロロゲン酸類」の販売を開始した。機能性表示食品届け出のためのデータ提供やサポートも行うという。

 ザ バーニングは、その商品化の第1弾となる。「ヘルシア」で培われたノウハウや豊富な研究データに基づく知見を生かしてポリフェノール素材提供、機能性表示食品届け出の業務サポート、製品開発サポートなど、広範囲のソリューションサービスを提供した。ダイドーとの発表会に登壇した花王 ケミカル事業部門統括 片寄雅弘氏は「外販に関し、すでに他社からも問い合わせを受け、開発を進めている」とした。