特別展「スーパーサローネ」として開催された2021年の「ミラノサローネ家具見本市」。新型コロナウイルス対策として会場の構成を厳しく規制したため、知名度の低い新ブランドが有名ブランドに埋もれることなく対等に発表の場を得られたことは、縮小化した今回の見本市が残した成果の1つといえる。日本から唯一、出展したポータブル照明ブランド、アンビエンテック(横浜市)はその好例だ。
アンビエンテックは、ミラノサローネ家具見本市と例年同時期に開催される「ミラノデザインウイーク」で、15年に初めて市内のセレクトショップ「ロッサーナ・オルランディ」にて個展を行った。欧州圏での販売を展開する足がかりを整えるきっかけとなった展示だ。19年に3回目の出展を果たしたときすでに、2年後のミラノサローネでは「エウロルーチェ」(同会場にて隔年で行われる、照明デザインに特化した見本市)への出展を目指そうと決め、準備を進めていた。しかし、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって、見本市そのものの計画がすべて白紙に戻されてしまった。
創業者であり社長の久野義憲氏は、「エウロルーチェに単独で出展している日本の照明ブランドは1社もない。照明製品を発表するなら、幅広い層の顧客に見てもらえる欧州で認められたい。その気持ちは変わらなかったので、どういう形になっても出展できる可能性があるなら参加すると決断していた」と話す。15年の参加以降、ロッサーナ・オルランディのショップでは同社の製品が販売されており、デザインと製品の品質面で、すでに確かな評価を受け始めている。
EUルールで長く使えるデザインの展開を目指す
アンビエンテックはスーパーサローネの会場で、既存のコレクションを含む全ラインアップを披露した。
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