ビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリーは2021年9月2日、従業員の定着と活躍を支援するサービス「Engagement Suite」の正式提供を始めた。これまでβ版として提供していた3つのプロダクトの料金体系を改めるほか、新機能を追加した。採用だけでなく、定着や活躍など入社後のフェーズまでの支援を目指す。

ウォンテッドリーはエンゲージメント事業に注力し、採用から入社後まで一気通貫で組織づくりの支援に乗り出す
ウォンテッドリーはエンゲージメント事業に注力し、採用から入社後まで一気通貫して組織作りの支援に乗り出す
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 ウォンテッドリーは、採用したい企業と就職希望の学生、転職希望者をつなぐ会社訪問アプリ「Wantedly Visit」や、名刺交換相手とのつながり管理アプリ「Wantedly People」などを展開している。個人ユーザー数は308万人、企業ユーザー数も4万2000社に上る。

 新たに始めたEngagement Suiteは、福利厚生「Perk(パーク)」、オンライン社内報「Story(ストーリー)」、チームメンバーの現状を可視化する「Pulse(パルス)」といった、従業員のモチベーションを高め、エンゲージメントを向上させる3つのプロダクトで構成されている。

 Perkは、スムージーやスープのサブスクリプションサービス「GREEN SPOON」が初回3割引き、世界の絵本が毎月届く「ワールドライブラリーパーソナル」が1カ月無料、DMM英会話が最初の3カ月2割引きになるなど、21年8月末時点で600種を超える特典を利用できる(関連記事:「若者向けの『福利厚生』? ウォンテッドリー無料ビジネスに勝機」)。

 Storyは、従業員であれば誰もが投稿できるオンラインの社内報サービスだ。チャットツールのSlackやメールと連係しているので、更新時に通知に気付きやすく閲覧を促進できる。社内報に初めて取り組む企業でも活用しやすいようテンプレート機能があるほか、記事ページ上でインタラクティブに交流できるようコメント機能などが備わっている。

 Pulseは、モチベーションを可視化し、自律的なチームづくりをサポートするツール。会社の行動指針を体現している従業員へ称賛を送れる「さすが!」機能や、毎週Slackのチャットで届く仕事の調子への質問に5段階指標で回答する「調子どう?」機能などがある。後者は管理画面上でグラフ化されているので、一目でコンディションの傾向を確認できる。

 正式版ではPulseに新機能として「1on1」が追加される。1on1とは、上司と部下もしくは同僚同士で週1から月1の頻度で、1対1の対話を行い、目標の擦り合わせや課題解決の相談をするもの。この機能を追加した経緯を、「組織のモチベーション向上を後押ししてきたが、可視化された組織課題を解決するところまで支援したいと考えた」とウォンテッドリーCEOの仲暁子氏は話す。21年9月中にリリース予定だ。

21年9月中にリリース予定の「1on1」機能。1on1での議題や課題とアクションをメモすることができる。この画面は1on1の当事者のみ見ることができるようになっている
21年9月中にリリース予定の「1on1」機能。1on1での議題や課題とアクションをメモすることができる。この画面は1on1の当事者のみ見ることができるようになっている
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拡大しているエンゲージメント市場

 同社がエンゲージメント事業に注力する背景には、同市場の拡大がある。矢野経済研究所は、20年の国内従業員エンゲージメント診断・サーベイクラウド市場規模は、事業者売上高ベースで前年比124.8%の38億2000万円になると推計した。コロナ禍による在宅勤務の増加や、昨今のSDGs(持続可能な開発目標)やESG投資の潮流を背景に、さらなる拡大が見込まれている。

従業員エンゲージメント診断・サーベイクラウド市場規模推移・予測
注1.クラウドサービス提供事業者売上高ベース 注2.2021年は見込み値、2022年以降は予測値(矢野経済研究所調べ)
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 これまで採用関連事業を展開してきた同社が、入社後の従業員の定着、活躍を支援するエンゲージメント事業にも注力することで、顧客企業にとって長期的なパートナーとなり得るだろう。

 β版はリクルートメントマーケティングに特化したVisitの有料プラン契約企業に無料で提供していた。正式版では、同プランの月額利用料ごとに無料枠上限を設定する形に変更する。上限を超えた場合、1サービス利用時は1人当たり600円、3サービス利用時は1人当たり1300円追加課金する仕組みだ。採用で終わらないプラットフォームにすることで、解約率を下げる狙いがある。

 これまでβ版の利用企業は、延べ1900社に上る。「1年後には2倍以上の4000社突破を目指し、開発を進めていく」と仲氏は語る。

(写真提供/ウォンテッドリー)