資生堂がスキンケアブランド「アクアレーベル」の新ライン「アクアウエルネス」を発表し、2021年8月21日に商品の販売を開始した。新ラインの商品ロゴは、広い層が「自分向けと思えるように」とシンプルで強い書体を採用。ユニバーサルデザインを取り入れ、女性だけでなく幅広い人たちが手に取りやすいパッケージにした。発売に先立ち、8月19日にはローンチおよび新商品発表会を開催。併せて同社が7月に行った調査結果から、「ウエルネスビューティー」への関心が高まっていることを示すなど、新ライン立ち上げへの自信がうかがえた。

アクアレーベルの新ライン、「アクアウエルネス」の新商品。左から「アクアローション(さっぱり)」「同(しっとり)」(公式オンラインストアの税込み価格は1496円)、「アクアミルク」(同1683円)、「マルチアクアバーム」(同1078円)
アクアレーベルの新ライン、「アクアウエルネス」の新商品。左から「アクアローション(さっぱり)」「同(しっとり)」(1496円/税込み・編集部調べ)、「アクアミルク」(1683円/同)、「マルチアクアバーム」(1078円/同)

「肌の状態を健やかに保つ」がウリ

 アクアウエルネスから発売した商品は、「アクアローション(さっぱり)」「同(しっとり)」「アクアミルク」「マルチアクアバーム」の全4品目。

 コンセプトは「素肌力にこだわるあなたへ」。発酵から生まれるアミノ酸を配合し、吸い込まれるような浸透感を得られるアクアウエルネスの商品を使うことで、乾燥などの肌トラブルを防ぎ、潤った健やかな肌へ導くというものだ。

 開発に当たっては、「必要なものを必要なだけ配合する」「日本の知恵を取り入れる」「環境変化を生き抜く自然の力を取り入れる」「人へのやさしさを考え抜く」「人々の未来を考える」という5カ条を設定したという。

 注目の一つが「日本の知恵を取り入れる」で、具体的にはアクアレーベルがこだわってきた「磨き上げられた日本の水」を使用し、「発酵食品を取り入れる」食生活から発想を得た「ツバキ種子発酵エキスGL」、「旬のものを取り入れる」から発想を得た「四季の恵みうるおい成分」である、サクラ(ソメイヨシノ葉エキス)、オクラ(オクラ果実エキス)、米(加水分解コメエキス)、ツバキ種子(ツバキ種子発酵エキス)など保湿成分を配合している。

 また新型コロナウイルス感染症の流行などによる生活の変化に対応すべく、「環境変化を生き抜く自然の力を取り入れる」として過酷な環境でも水分を守るという、天然由来の「トレハロースGL」を配合。いずれの成分も「肌の状態を健やかに保つ」ためのセールスポイントになっている。

新型コロナ流行で肌への意識も変化

 なぜ今、新ラインのローンチなのか。

 資生堂には「エリクシール」「d プログラム(d program)」「プリオール」など、ユーザーの年齢やニーズに合わせたブランドがあり、それぞれスキンケア商品を出している。今回新ラインを立ち上げたアクアレーベルは、その中でも2006年の誕生以降、「機能、品質には妥協しないことと、求めやすい価格帯のバランスにこだわっている」(資生堂ジャパン スキンケアマーケティング部バイスプレジデントの坂下真実氏)、いわば手に取りやすいブランドだ。主に1000円前後から2300円前後までの商品がラインアップされている。

 同社アクアレーベルグループブランドマネージャーの渡辺直人氏によれば、「15周年を迎えたアクアレーベル全体の累計販売個数は1億個を超える」。近年ではエイジングケアを担う高保湿ケアの商品に加え、「洗顔後のスキンケアはこれ1本で。」とうたうオールインワン商品が、オールインワンスキンケア市場で8年連続売り上げ1位を記録するなど好調だ(「インテージSRI セルフオールインワンスキンケア市場」13年1月~16年12月および「インテージSRI+ セルフオールインワンスキンケア市場」17年1月~20年12月の推計販売規模〈金額〉ブランドランキング。洗顔・メーク落とし除く)。

 販売が好調な一方で、近年は「ダイバーシティーへの意識の高まりや、新型コロナの流行などにより社会情勢が変化し、消費者の意識も変わってきた。これに伴い、アクアレーベルとしては、さらなる進化が必要と考えた」(渡辺氏)という。

肌が健康になるために何ができるか

 これを裏付けるデータとして、同社は7月に20~40代の女性500人、男性55人を対象に行った「肌の健康意識に関する調査」を提示。

 調査によれば、新型コロナの流行後、「健康意識は比較的高く、日常生活で気をつけている(いた)」と回答した人が約50%となり、新型コロナ流行前の約1.5倍に増加。

新型コロナウイルスが拡大する前後の健康意識
新型コロナウイルスが拡大する前後の健康意識 資生堂「肌の健康意識に関する調査」より
資生堂「肌の健康意識に関する調査」より

 また肌のケアについても、新型コロナ流行後の生活の変化で「とても意識するようになった」(16.6%)、「やや意識するようになった」(34.2%)人が、合わせて5割以上だったという。要因としては、新型コロナ流行による健康意識への高まりに加え、多方面で指摘されているように、マスクを着けての生活で肌荒れが課題になっていることも大きいだろう。「理想とする肌」に関する設問では、「環境に左右されない健康的な肌」という回答の増加が最も多く、次いで「肌荒れしにくい丈夫な肌」「ニキビやできものができにくい丈夫な肌」が多かったことからもうかがえる。

理想とする肌
理想とする肌 資生堂「肌の健康意識に関する調査」より
資生堂「肌の健康意識に関する調査」より

 こうした中、「新しいラインの着眼点として、(肌が)健康になるためにどういった考え方ができるのか、議論してきた」と渡辺氏。その中でたどり着いたのが、「健康のために自然の一部や働きを取り入れる『日本の知恵』に着目し、その考え方を生かしたスキンケア」提案だったという。

容器は老若男女が扱いやすい、ユニバーサルデザインを取り入れている
容器は老若男女が扱いやすい、ユニバーサルデザインを取り入れている

老若男女が使えるラインアップに

 アクアウエルネスの商品は、「老若男女が使えるラインアップにしたいと考え、安心・安全に対応し、使いやすさに配慮したユニバーサルデザインを取り入れて設計した。また無香料、アルコールフリー、パラベンフリーになっている」(渡辺氏)。子供から大人まで幅広く使える商品として開発・販売していく予定だ。

 またサステナブルにもこだわり、容器の一部にサトウキビの搾りかすを発酵して得られる、バイオエタノールを原料とする植物由来のプラスチックを使用。二酸化炭素(CO2)排出量を石油由来のプラスチック使用時と比べ、約31%削減しているという。

 ドラッグストアに代表されるような、アクアレーベルが並ぶ売り場には、各社のスキンケア商品が数多く並ぶ。その中で、新規参入となるアクアウエルネスが「健康」や「ユニバーサルデザイン」を打ち出し、狙い通り「あらゆる層に」選ばれる商品となれるか、注目される。

2021年8月19日に行われた発表会にはYouTuber芸人のフワちゃんと、女性お笑い芸人のぼる塾も登壇し、「日常のスキンケア」などについてトークセッションを行った
8月19日に行われた発表会にはYouTuber芸人のフワちゃんと、女性お笑い芸人のぼる塾も登壇し、「日常のスキンケア」などについてトークセッションを行った

(画像提供/資生堂)

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