スポーツブランド、ニューバランスジャパン(東京・千代田)が「産地直“走”」をうたう「FRESH HOME CAMPAIGN」を実施している。ランニングシューズ「FRESH FOAM」の新色発売に合わせたキャンペーンだ。走る場の限られているランナーと、打撃を受けている食品の生産者をつなぐ応援企画で、初心者ランナー増加も視野に入れている。

スーパースポーツゼビオ東京御茶ノ水本店で行われた「FRESH HOME CAMPAIGN」発表会にはYouTuber芸人のフワちゃんが登壇。フワちゃんは陸上部出身で、高校時代は校庭やトラックを走るためシューズのクッション性を考えていなかったが、「今はアスファルトを走るのでクッション性を重視している」と話した(写真提供/ニューバランスジャパン)
スーパースポーツゼビオ東京御茶ノ水本店で行われた「FRESH HOME CAMPAIGN」発表会にはYouTuber芸人のフワちゃんが登壇。フワちゃんは陸上部出身で、高校時代は校庭やトラックを走るためシューズのクッション性を考えていなかったが、「今はアスファルトを走るのでクッション性を重視している」と話した(写真提供/ニューバランスジャパン)

 スポーツブランド、ニューバランスジャパンは「FRESH FOAM(フレッシュフォーム)」シリーズのランニングシューズ「FRESH FOAM 1080」の新色を、2021年7月9日より順次販売している。価格は1万7600円(税込み)。

 これに合わせ、8月10日に「FRESH HOME CAMPAIGN」を開始した。目標の距離を走りきったランナーに、その距離に応じて産地直送品を抽選でプレゼントする“走って応募”、FRESH FOAMを購入した人に産地直送品や夏を楽しむグッズを抽選でプレゼントする“買って応募”の2つのコースを用意。「産地直“走”」をうたい、各地で開催予定だったマラソン大会が軒並み中止になるなど走る場が限られているランナーと、飲食店休業や観光需要の減少により打撃を受ける生産者という2者をつなぎ、応援する。

 同社ではキャンペーンを本格派ランナーが楽しむだけでなく、「生産者支援をしたい」あるいは「このプレゼントが欲しい」という初心者層の「走るきっかけ」にしたいという。

都市部でのトレーニングに初心者にも

 ニューバランスのFRESH FOAMとは、衝撃を吸収する機能性を備える、独自のミッドソールのテクノロジーだ。ランナーの悩みとして多い、関節への負担や、蒸れによる靴擦れなどのリスクを低減できるように、クッション性や通気性などを重視して開発された。単一素材でクッション性がありながら安定性もあるのが特徴で、FRESH FOAMを使用したランニングシューズの第1弾モデルは、11年に発売された。

 19年にはこのテクノロジーを進化させた「FRESH FOAM X」が登場。フルマラソンからジョグトレーニングまで幅広くサポートする「FRESH FOAM TEMPO」や、未舗装路を快適に走破する機能性を持つトレイルモデル「FRESH FOAM MORE TRAIL」など、多様なモデルを展開している。

 FRESH FOAM 1080はシリーズの中でも究極のクッション性を追求したという最上級モデルで、今回、新色が追加されたのは21年2月に発売された同モデルの11代目だ。なお追加カラーはメンズモデルがホワイト、トレック(以上オフィシャルストア、公式オンラインストア限定カラー)、イエロー、インディゴ、ヘリウム(以上展開店舗限定カラー)。ウィメンズモデルはホワイト(オフィシャルストア、公式オンラインストア限定カラー)、ペールブルー、ガーネット(以上展開店舗限定カラー)となっている。

 ニューバランスジャパンのマーケティング部PRシニアスペシャリストの小沢真琴氏は「FRESH FOAM 1080ははき心地が良く、軽く、クッション性と安定性があり、アスファルトの上を走る都会のランナーがトレーニングを積む場合にも、安心してはき続けてもらえる」と話す。また同社マーケティング部GTMマーケティング メットアスリートグループのスペシャリスト/ランニングの林錫峰氏は「足への負担が少なく、ライトなユーザーにも向いている」と言う。

21年2月に発売された11代目のFRESH FOAM 1080の新色の1つ、トレック(メンズモデル。オフィシャルストア、公式オンラインストア限定カラー)(写真提供/ニューバランスジャパン)
21年2月に発売された11代目のFRESH FOAM 1080の新色の1つ、トレック(メンズモデル。オフィシャルストア、公式オンラインストア限定カラー)(写真提供/ニューバランスジャパン)

通気性の良さ、暑い時期にアピール

 新色発売から1カ月がたったこのタイミングでキャンペーンを実施することになった理由について、「夏場は気温が高く走りにくくなるが、それがFRESH FOAMの通気性や心地よく楽に走れる機能性を知ってもらうのに最適と考えた」と小沢氏。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響で各地でのマラソン大会が中止となる中、ランナー自身のモチベーションが下がっているため、「ランナーが楽しく走れるイベントを」(小沢氏)と企画したと言う。

 「ランニングを楽しんでもらうイベントをしたいと考えたが、みんなで集まって走ることはできない」(小沢氏)。一方で、走る楽しさを共有するには、共通の目標、目的が設定されているほうがいい。そこで1人で楽しめるモチベーションをどう作るか、どういう目標なら参加してもらえるかを考え、「FRESH」に掛けた“フレッシュ”な産直品を同社がランナーにプレゼントするキャンペーンを打ち出すことにした。

 キャンペーンとして生産者支援を盛り込んでいるものの、参加者には特にそれを意識せず「他の人とSNSで共有しながら走ることを楽しんでもらう。その結果、産直品がもらえればうれしいだろうし、それをまた仲間と共有したくなるだろう。しかも生産者にも喜んでもらえる。関わる人がみんな喜べるイベントになればと思った」(小沢氏)と言う。

「FRESH HOME CAMPAIGN」の応募受付期間は8月10日から9月12日まで(写真提供/ニューバランスジャパン)
「FRESH HOME CAMPAIGN」の応募受付期間は8月10日から9月12日まで(写真提供/ニューバランスジャパン)

バーチャルのイベントも企画していく

 スポーツメーカーが「走って応募する」というようなキャンペーンをするのは珍しいことではないが、同社としては初めての試みだという。「マストバイキャンペーンはあったが、景品提供先である生産者とランナーをつなぐという立て付けは初めて」(小沢氏)と言い、参加者からどのような反応が返ってくるかにも注目している。

キャンペーンは「走って応募コース」と「買って応募コース」の2つ(写真提供/ニューバランスジャパン)
キャンペーンは「走って応募コース」と「買って応募コース」の2つ(写真提供/ニューバランスジャパン)

 「ランニングのレベルの高い人、大会に向けて頑張る人だけではなく、この景品がもらえるならチャレンジしようという、ランニング初心者にも注目してもらえるのではないかと期待している。ランニングは、シューズさえあればすぐにできるし、1人でもできる。しかも生産者支援になるというストーリーがあれば、より喜んでもらえる企画になるのではないか」(小沢氏)

 笹川スポーツ財団が20年6月、10月、21年2月に全国の18~70歳代を対象に行った定点調査「新型コロナウイルスによる運動・スポーツへの影響に関する全国調査」によると「新型コロナウイルス感染拡大以降の実施率上位5種目はいずれの調査でも『ウオーキング』『散歩(ぶらぶら歩き)』『筋力トレーニング』『ジョギング・ランニング』『体操(軽い体操、ラジオ体操など)』」となっている。つまり1人でスポーツ施設を利用しなくても気軽に行えることが、現在のエクササイズ(運動)の条件となっていると考えられ、ランナーが増える可能性は十分にあるといえるだろう。

 小沢氏は「今後は21年6月に行った『TAMAGAWA FKT』(多摩川河川敷を舞台に、同社、世田谷区スポーツ振興財団、オトナのタイムトライアル、Stravaらが実施したマイクロレース)のように、個人で走ったとしてもバーチャル上で共有できるイベントなど、新しい提案もしていきたい」と話す。

 林氏も「新しい形のイベントの可能性を探ることが大事」と、ランナーの増加のための安全に楽しめるイベントに意欲を見せた。

ニューバランスジャパンのマーケティング部PRシニアスペシャリスト、小沢真琴氏は「SNSを通じて、走ったことを発信してもらったり、産地直送の食材がおいしかったと発信してもらうなど、相互に盛り上げられれば」と話した
ニューバランスジャパンのマーケティング部PRシニアスペシャリスト、小沢真琴氏は「SNSを通じて、走ったことを発信してもらったり、産地直送の食材がおいしかったと発信してもらうなど、相互に盛り上げられれば」と話した
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