「仮面ライダー」50周年と「たまごっち」25周年を記念して、バンダイが2021年12月に発売する「仮面ライダーっち 50thアニバーサリーVer.」(以下、仮面ライダーっち)。育てると、昭和・平成・令和の仮面ライダー40種類以上、シークレット7種類以上のいずれかに成長するという、仮面ライダーファンもたまごっちファンも物欲をそそられるコラボアイテムだ。バンダイのECサイト「プレミアムバンダイ」と「ライダーストア」で限定発売。7月16日~8月17日に行ったプレミアムバンダイの事前予約も好調だったという。同商品が誕生した経緯を同社担当者に聞いた。

バンダイが2021年12月に発売する「仮面ライダーっち 50thアニバーサリーVer.」。価格は2530円(税込み)
バンダイが2021年12月に発売する「仮面ライダーっち 50thアニバーサリーVer.」。価格は2530円(税込み)

 バンダイではかねてより仮面ライダーの変身ベルトをはじめ、多くの関連玩具を開発・販売してきた。一方でバンダイオリジナルの玩具としてたまごっちがあり、「いつかコラボしてみたいという思いは常にあった」と、同社トイディビジョン ネットワークトイ企画部 企画チーム チーフの笹田光太郎氏は言う。

 それが仮面ライダー50周年、たまごっち25周年、昭和・平成・令和と3世代にわたる仮面ライダーもそろったタイミングで実現したのだ。

 たまごっちには、サイズが通常の同製品よりも小さい「たまごっち nano」シリーズがあり、これまでも『新世紀エヴァンゲリオン』や『STAR WARS』『鬼滅の刃』とのコラボ商品を展開している。仮面ライダーっちはそのシリーズの新製品という位置づけでもある。

 試作モデルを実際に見せてもらったが、サイトなどで見る写真よりも小さく、丸みを帯びた卵のフォルムも含めて「かわいい」という印象。コレクターズアイテムとしてもちょうどいい大きさで、愛着の湧くデザインになっていると感じた。

試作段階の「仮面ライダーっち」。手のひらに乗せてみると、その小ささが分かる
試作段階の「仮面ライダーっち」。手のひらに乗せてみると、その小ささが分かる

女性含む幅広い層が予約

 仮面ライダーっちは21年7月16日~8月17日までバンダイのECサイト「プレミアムバンダイ」で事前予約を受け付けたが、受注状況は好調だという。

 その理由は、幅広い層にリーチしていること。プレミアムバンダイで仮面ライダー関連の玩具を購入するユーザーは男性比率が高いが、仮面ライダーっちは女性購入者も多いという。世代別の中心は30代だが、10~70代まで行き渡っている。

 仮面ライダーは、1971年の放送開始から50年の間に、親・子・孫の3世代に人気を広げてきた。平成仮面ライダーシリーズでは、シリアスでスリリングなストーリー展開や、“イケメン”新人俳優の起用で、女性人気も獲得している。平成仮面ライダー出身で、その後ブレークした俳優が多いのは広く知られているところだ。

 「そこで広がったファン層の中で、コア向けの商品を買うにはハードルが高いと感じるファンにも仮面ライダーっちは受け入れてもらえたのでは」と、同社トイディビジョン アジアトイ戦略部 ECチームの金子裕加氏。確かにプレミアムバンダイで仮面ライダー関連商品を探すと、本格的な変身ベルトなどが目に付く。これらの購入には躊躇(ちゅうちょ)しても、仮面ライダーっちならデザインもかわいく、価格も2530円(税込み)と手ごろで購入しやすい。

 一方で、プレミアムバンダイにアクセスするようなファンが対象であれば、カラー液晶を搭載するなどもう少し高機能で高価格の商品にしても購入してもらえたのではないかという疑問もある。

 これについて笹田氏は、「キャラクターを自分で育てて進化させるといったたまごっちの遊び方の根幹部分と買いやすい価格を考えると、旧来のたまごっちのスタイルに近い、たまごっち nanoシリーズが最適と判断した。仮面ライダーファンだけでなく、たまごっちファンや新しいお客様にも手にしてもらいたいという思いもあった」と話す。

仮面ライダーはモノクロのドット絵で液晶に表示される
仮面ライダーはモノクロのドット絵で液晶に表示される

 ちなみに仮面ライダーは2等身にデフォルメした姿のほか、各ライダーのクレストマーク(紋章)や本来の等身で表示する全身も収録されている。同社トイディビジョン ネットワークトイ企画部 デジタル戦略チーム アシスタントマネージャーの坂本深大氏によると「デフォルメをかわいくしつつも、本来の等身もたまごっち nanoのサイズで見せる」ことがこだわりのポイントだそうだ。

たまごっちもウエアラブルに

 ここまでは仮面ライダーグッズとしての展開だが、一方で仮面ライダーっちはたまごっちの新製品でもある。たまごっちは90年代に一世を風靡し、その後も子供を中心に人気を獲得してきた。20周年の2017年には初代を復刻したことでも話題になった。同社によるとたまごっちシリーズの世界累計販売数は8300万個以上(21年3月末時点)。発売から25年たった今も、バンダイの主力商品であることは間違いない。

 たまごっちは現在も独自の進化を続けている。それが21年11月に発売予定の「Tamagotchi Smart(たまごっちスマート)」だ。スペシャルサポーターにはガールズグループのNiziUを起用し、販売促進にも力を入れる。

「Tamagotchi Smart(たまごっちスマート)」
「Tamagotchi Smart(たまごっちスマート)」

 実は、25年前に生まれたたまごっちはもともと腕時計型を想定していたのだという。同社のたまごっち特設サイトに掲載されている最初の企画書からもそれはうかがえる。ただ、当時は手軽さなどの理由から、バッグに取り付けられるキーホルダー型を選んだ。

 現在では技術が進化し、スマートウオッチが広く普及したこともあり、ウエアラブル端末もより身近になっている。そんな「今の時代に合わせて作ったのがTamagotchi Smart」(笹田氏)というわけだ。

 また、坂本氏は「Tamagotchi Smartはたまごっちとして初めてタッチ液晶を搭載、マイクも備えている。キャラクターに話しかけたり、なでたりしてコミュニケーションできる。話しかけやすい、いつも一緒という点でも身に着けてもらえる商品をイメージした」と話す。

 こうした新機軸商品も含め、25周年以降もたまごっちを主力商品として育てていく考えだ。仮面ライダーっちが新たに投入されたたまごっち nanoシリーズをまとめた商品サイトを8月初旬に立ち上げたのもその一環。同サイトでは、既存商品に加え、アニメ『PUI PUI モルカー』とコラボした『PUI PUI モルカっち』(10月9日発売予定)や人気テレビアニメ『呪術廻戦』とコラボした「じゅじゅつっち」(12月24日発売予定)などの情報を発信する。

 「コラボをすることで、今までたまごっちに触れたことがない方にも買っていただく機会が増えている。また、Tamagotchi Smartはコラボでたまごっちを知った方にも手に取ってもらいたい。より広い層に響く商品展開でたまごっち全体を盛り上げていく」(金子氏)

人気テレビアニメ『呪術廻戦』とコラボした「じゅじゅつっち」は2021年12月24日発売 ©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会 ©BANDAI
人気テレビアニメ『呪術廻戦』とコラボした「じゅじゅつっち」は2021年12月24日発売 ©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会 ©BANDAI

 最後に、仮面ライダーっちをプレミアムバンダイとライダーストアでの限定販売とした理由についても聞いてみた。仮面ライダーとたまごっちという同社の人気シリーズだけに、より多くの人に届きやすい一般販売を選択しなかったのはなぜか。

 金子氏は、「販路が(ECサイトとライダーストアに)限定されるとプロモーションが難しいのではという見方はあると思う。ただ、現在はSNSも広がっていて、消費者は欲しいアイテムがあれば自ら情報にアクセスできる時代になっている」と説明した。

 実際、仮面ライダーっち発売の情報は、プレミアムバンダイ、「仮面ライダーおもちゃウェブ」サイト、たまごっちの各公式Twitterで発信し、認知を広げた。また、プレミアムバンダイでは、Facebook、LINE、Instagramでも公式アカウントを運営し、写真による訴求力が大きい玩具系の情報発信源として活用している。「販路は関係なく、商品の魅力がちゃんと伝わって、お客様に欲しいと思ってもらえればどこで売っても、しっかりと届く」と金子氏。既存の販路と合わせ、ブランドサイトやSNSによるプレミアムバンダイの利用者拡大にも力を入れる。

左から、バンダイ トイディビジョン ネットワークトイ企画部企画チーム チーフの笹田光太郎氏、同社 同ディビジョン 同企画部 デジタル戦略チーム アシスタントマネージャーの坂本深大氏、同社同ディビジョン アジアトイ戦略部 ECチームの金子裕加氏
左から、バンダイ トイディビジョン ネットワークトイ企画部企画チーム チーフの笹田光太郎氏、同社 同ディビジョン 同企画部 デジタル戦略チーム アシスタントマネージャーの坂本深大氏、同社同ディビジョン アジアトイ戦略部 ECチームの金子裕加氏

(写真提供/バンダイ、写真/平野亜矢)

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