飲料大手のアサヒ飲料(東京・墨田)は、缶コーヒーの新商品「ワンダ モーニングショット ブラック」(185g、税込み124円)を2021年9月14日より全国発売する。狙いはリモートワークの普及に伴って増えているオン/オフの切り替えニーズだ。
気分転換ニーズを狙ってブラックタイプを投入
アサヒ飲料の缶コーヒー「ワンダ」は、1997年の発売以来「1日の“快適なオン”に寄り添い、お客様の人生をWONDERFUL(ワンダフル)にする」をミッションとしてきたブランドだ。中でも2002年発売の「モーニングショット」は「朝の気持ちをオンにする朝専用缶コーヒー」をキャッチコピーに打ち出し、ヒットにつながった。飲む時間帯を絞る一方で、仕事に取りかかる前の1本という習慣を提案したことが奏功し、いまや同社の主力製品の1つとなっている。
21年上期のコーヒー飲料市場全体の販売金額が前年同期比101%程度の伸びにとどまっているのに対し、ワンダブランドは同104%と好調。「モーニングショット」を含むショート缶、「極(きわみ)」を含むボトル缶ともに市場でのシェアを拡大しているという。
新商品の「ワンダ モーニングショット ブラック」は、コロナ禍で在宅勤務が普及した昨今の“気分転換ニーズ”に応えるものだ。大手マーケティングリサーチ会社のインテージ(東京・千代田)が約300人を対象に実施した「新型コロナウイルスによる飲料購買行動・飲用シーン変化実態把握調査」によれば、在宅勤務者の約4割が「プライベートとの切り替え(オン・オフ)がつけづらい」と感じているとのこと。この層を狙ったのが“快適なオン”を提供するワンダ モーニングショット ブラックというわけだ。
モーニングショットシリーズとしての投入を選んだのは、同シリーズがショート缶だということもある。ワンダブランドにはボトル缶もあるが、これから仕事を始めるというタイミングではショート缶が持つ「リフレッシュ感」「ショット感」が好まれる。また、減少傾向にあったショート缶の購入率・購入者当たり本数ともに持ち直しの動きが見えてきたこともショート缶を採用した理由の1つだ。
またモーニングショットシリーズに追加投入する商品に無糖ブラックタイプを選んだ理由について、アサヒ飲料 マーケティング本部 マーケティング一部 コーヒーグループリーダーの河口文彦氏は「気分転換ニーズや健康意識の高まりにより、飲料全体で無糖系の需要が増加しているため」と説明する。
アサヒ飲料が20年に400人余りを対象として実施した調査では、ブラックコーヒーを飲む理由として「気分転換・リフレッシュできるため」と回答した人が30%を超えたという。またコーヒー飲料の需要を販売本数ベースで見ると、ブレンドが前年同期比1.2%減、微糖が同0.3%減となっているのに対し、ブラックタイプは同1.3%増となっており、全体の42%を占める。
アサヒ飲料では、21年3月にスタートした吉本興業とのコラボレーション動画CM「朝ワン動画」の配信を継続。加えて下期には人気コンテンツのデザイン缶も発売する予定だ。また在宅勤務による買い置き需要の拡大を受けて、スーパーなどの量販店における6缶パックの販売も強化していく。同社では発売から1年間で300万ケースの販売を見込んでいる。なお、ワンダ モーニングショット ブラックと入れ替わる形で従来の「ワンダ ブラック」は終売となる。
(写真提供/アサヒ飲料)