オイシックス・ラ・大地が立ち上げた新ブランド「Upcycle by Oisix(アップサイクル・バイ・オイシックス)」のアップサイクル商品が人気だ。同ブランドで取り扱っている商品全てが2021年7月8日の発売から1週間で売り切れとなり、その後も入荷しては即品薄・売り切れという状況が続いている。
オイシックス・ラ・大地の新サービス「Upcycle by Oisix」は、同社が取り組んでいる食品ロス削減に向けた活動の一環だ。Upcycle by Oisixがいう「アップサイクル商品」とは、食品の製造過程で廃棄される部位に付加価値を与えて流通に乗せた商品のことを指す。
同ブランドサイトでは現在、ブロッコリーの花蕾(からい)をカットした後に残る茎を利用した「ここも食べられるチップス ブロッコリーの茎」(税込み430円、以下同)、漬物の製造工程で生じる大根の皮を使った「ここも食べられるチップス だいこんの皮」(430円)、豆乳とおからパウダーを使った「おからを使った SOYドーナツ」(365円)、おからの煎餅「食べ切サイズ きらず揚げ しお」(322円)など、入荷状況に応じて10種類前後のアップサイクル商品を取り扱っている。
「初回分として用意していた数量が1週間でなくなってしまい、現場は大慌てだった。ブロッコリーは想定の3倍、大根の皮は想定の2倍の注文があり、最初はシステムのエラーではないかと思った」と話すのはオイシックス・ラ・大地の経営企画本部 新規事業開発準備室 グリーンプロジェクト リーダーの東海林(とうかいりん)園子氏と同プロジェクトの三輪千晴氏。消費者の食品ロスに対する関心の強さというよりも、食品に対する安全・安心志向に刺さったことが想定外の売れ行きにつながったと両氏はみている。
というのも現状、アップサイクル商品を購入できるのはオイシックス・ラ・大地の宅配サービス利用者のみだからだ。オイシックス・ラ・大地では「たべもの安心宣言」として「Oisixは、つくった人が自分の子どもに食べさせられるもののみをお届けします。」と表明しており、宅配サービスの会員はそうした意識が高いと考えていいだろう。
オイシックス・ラ・大地によれば、同社が販売する野菜の加工を担当しているグリーンリーフ(群馬県昭和村)では、月当たり最大で約1.5トンのブロッコリーの茎、約4トンの大根の皮が廃棄されていたとのこと。しかし、それらを先述のチップスの原料として利用することで、ブロッコリーの茎は1袋当たり約300グラム、大根の皮は同約170グラムのロス削減になるという。実際、発売から2カ月足らずの21年8月26日までに2.5トンのフードロス削減に成功している。
他のアップサイクル商品としては「ニッポンエール 愛媛県産河内ばんかんドライフルーツ」(214円)、ニッポンエール 愛媛県ゆず ドライフルーツ」(214円)、「Upグラノーラ」(756円)などもある。
ドライフルーツは、そのままでは食べにくいかんきつ類の皮を加工したもの。またUpグラノーラは、欠け、割れ、変色などの理由で廃棄されていたカシューナッツとドライフルーツを利用したアップサイクル商品だ。
21年7月16日からは保育施設向け給食事業「すくすくOisix」でもアップサイクル商品の提供を始めており、「野菜が苦手な子どもも食べられて、食育にもつながる」と好評を博しているとのこと。
オイシックス・ラ・大地では、3年以内に食品ロス市場が20億円超の規模になるとみており、今後はアップサイクル商品の販路を外食産業などにも広げていく計画だ。
(写真提供/オイシックス・ラ・大地)