パナソニックは独自技術「ナノイーX」技術を発展させた新「ナノイーX」を発表した。開発以来最高濃度となる「OHラジカル」(ウイルスの抑制効果などがあるイオン)を作り出せるようにしたという。コロナ禍で空気清浄機のニーズが高まる中、9月発売の加湿空気清浄機など、同技術を搭載したデバイスを展開する。

新「ナノイー X」を新搭載した加湿空気清浄機「F-VXU90」(オープン価格で想定価格は税込み10万7000円前後)。本体カラーはホワイトと木目調の2モデル。月産台数3200台
新「ナノイー X」を新搭載した加湿空気清浄機「F-VXU90」(オープン価格で想定価格は税込み10万7000円前後)。本体カラーはホワイトと木目調の2モデル。月産台数3200台
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 外出自粛やテレワークの浸透などに伴う在宅時間の増加により、空気清浄機のニーズが高まっている。調査会社の富士経済(東京・中央)によると2020年は世界的に空気の質への意識が高まったことから需要が増加し、前年比110.6%となる2868万台が世界で売れた。25年までは売り上げは微増していくと予測している。

 そんな中で、パナソニックは、同社の独自技術「ナノイー」を進化させた「ナノイーX」技術をさらに向上させ、開発以来最高濃度となる「OHラジカル」(ウイルスの抑制効果などがあるイオン)を作り出せるようになった、新「ナノイーX」を発表。この技術を搭載した加湿空気清浄機の新製品を9月に発売する。

菌などを抑制するOHラジカルが増加

 パナソニックのナノイーは、「水に包まれたナノサイズの微粒子イオン」のこと。空気中の水分を集めて高電圧を加えることで生成される。一般的な空気イオンと大きく異なるのは、菌やアレル物質の水素を奪って働きを抑制する物質、OHラジカルが、水に包まれて安定した状態で存在していることで、菌やアレル物質の抑制効果が長持ちする。パナソニック調べでは、一般的な空気イオンの寿命が数10秒~100秒なのに対し、ナノイーの寿命は約600秒だという。

 有害物質をより早く、より強力に抑制するためには、OHラジカルを増やしてより多くの菌と反応させなければならない。パナソニックはナノイーを進化させ続け、09年には毎秒4800億個だったOHラジカル生成量を、16年には10倍となる毎秒4兆8000億個にまで高め、新ナノイーXでは毎秒48兆個まで向上。当初のナノイーの100倍に相当するOHラジカルが生成できるようになったという。

 この飛躍的な量の増加の秘密は、放電させる対極板の形状の変化にある。初代ナノイーは点での放電だったが、ナノイーXでは4本の線上に放電することで、OHラジカル生成量を10倍に増やした。新ナノイーXでは山形大学の東山禎夫名誉教授と共同で開発を行い、ドーム形状の対極板を採用することで、円すい状に無数のリーダ放電を形成する「ラウンドリーダ放電」によるデバイス開発に成功した。これにより、電子密度の高いOHラジカル生成領域が拡大し、OHラジカルの生成量が一気に増えたのだという。

ナノイーXのデバイス。紫色に光っている部分がOHラジカル生成領域
ナノイーXのデバイス。紫色に光っている部分がOHラジカル生成領域
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アレル物質のスピード抑制に期待

 ではどんな効果が期待できるのか。8月2日に開催した発表会では、新ナノイーXの効果の実証実験結果を公開した。

 実証実験では、1年中飛散し家の中に持ち込まれる花粉、夏に繁殖したダニが大量のフンを排せつするためこれから増えるダニ由来のアレル物質のほか、ペット由来、昆虫由来など30種類のアレル物質の抑制効果を確認した。こうしたアレル物質への対策は、コロナ禍で在宅時間が増加したからこそ急務という。また昨今、換気を行うことが習慣化しており、同社が20年12月に行った調査によると、7割以上の人が、換気時の花粉の侵入を気にしていることが分かった。さらに楽天インサイト調べ(21年)では、コロナ禍で新たにペットを飼う世帯が増加。ペットの健康面や、臭い対策からも、換気意識が高まっているといえる。

 スギ花粉を99%以上抑制する時間を比較する検証では、新ナノイーXでは従来のナノイーXに対して抑制時間が8分の1に短縮。つまり抑制スピードが8倍になった。また花粉には、外皮に付着するアレル物質と殻に覆われた内部に存在するアレル物質があるが、新ナノイーXは花粉を芯まで分解することが分かったという。新ナノイーXでの1時間での抑制効果は、スギ花粉で92.6%、ダニアレル物質で77.8%、ネコアレル物質で72.8%。1時間で7割以上の抑制効果があるという。

スピード脱臭、カビ菌抑制も進化

 このほか脱臭、カビ菌についても進化したと同社は説明する。

 脱臭ではタバコやペットなどの生活臭に加え、ヤング臭、アラサー臭などの世代別臭気など12種類の脱臭効果を検証。その中の1つである加齢臭で比較したところ、新ナノイーXでは、従来のナノイーXと比較して、8分の1の時間で同じ脱臭効果を計測したという。

 カビ菌については、ナノイーXで、住空間に存在する主な8種類のカビ(クロカビ、コウジカビ、アオカビ、ススカビ、アカカビ、カワキコウジカビ、ケカビ、黒色カビ)の抑制効果を検証したといい、その中のクロカビ、ススカビでカビの抑制時間を比較したところ、ナノイーでは抑制に8時間かかったが、新ナノイーXでは抑制スピードが4倍に上り、2時間で抑制できたという。

※これらの検証は試験室で実施したものであり、時間は実使用空間の検証とは異なる。
パナソニックでは新ナノイーXの登場に伴い、店頭などで分かるように、グレード表示を付与するという
パナソニックでは新ナノイーXの登場に伴い、店頭などで分かるように、グレード表示を付与するという
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進化版ナノイーX搭載製品の展開は

 同社では、新ナノイーXを搭載する加湿空気清浄機「F-VXU90」を21年9月21日に発売するのを皮切りに、今後、多くの製品に搭載していく予定だ。これまでナノイーは自社製品だけでなく、自動車メーカー8社96車種(ナノイー、ナノイーXいずれか搭載車種)で展開。全国の鉄道会社11社の車両にも採用されている。さらに業務用エアコンやショーケースなどの業務用デバイスが、オフィスや病院、ホテルなどにも幅広く採用されており、その広がりは欧州・中国・東南アジア諸国連合(ASEAN)をはじめ全世界に拡大しているという。

 こうしたナノイーデバイス生産計画は、20年の年間出荷台数が約850万台だったのに対し、25年には1500万台を目標にする。なおF-VXU90の月産台数は3200台を予定している。

発表会で、新商品F-VXU90の機能解説をしたパナソニックエコシステムズIAQBU 日本事業総括担当の木村敏明氏。新ナノイーX搭載に加え、以前から搭載していた「3Dフロー撃退気流」で花粉を効果的に集じんし、「ミルエア」アプリ対応でユーザー好みの理想の空気環境を整えるという
発表会で、新商品F-VXU90の機能解説をしたパナソニックエコシステムズIAQBU 日本事業総括担当の木村敏明氏。新ナノイーX搭載に加え、以前から搭載していた「3Dフロー撃退気流」で花粉を効果的に集じんし、「ミルエア」アプリ対応でユーザー好みの理想の空気環境を整えるという
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F-VXU90のサイズは高さ約64センチ、幅約39.8センチ、奥行き約28.7センチ
F-VXU90のサイズは高さ約64センチ、幅約39.8センチ、奥行き約28.7センチ
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(画像提供/パナソニック)