日本で2021年8月17日に発売されたアウディの「Q5スポーツバック」。ミドルサイズの多目的スポーツ車(SUV)「Q5」をクーペのようなスタイルにしたのが特徴だ。コンパクトSUV「Q3」シリーズの「Q3スポーツバック」同様、販売拡大につながるのか。

Q5スポーツバックでQ5販売に弾み

2021年8月17日に発売された「Q5スポーツバック」。ミドルサイズのSUV、アウディ「Q5」をクーペのようなスタイルに仕上げたモデルで価格は729万円(税込み)~。7月に行われたオンライン発表会には前社長フィリップ・ノアック氏が登壇した
2021年8月17日に発売された「Q5スポーツバック」。ミドルサイズのSUV、アウディ「Q5」をクーペのようなスタイルに仕上げたモデルで価格は729万円(税込み)~。7月に行われたオンライン発表会には前社長フィリップ・ノアック氏が登壇した
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 ドイツのアウディの日本法人、アウディジャパン(東京・品川)が多目的スポーツ車(SUV)「Q5」の新型車、「Q5スポーツバック」を2021年8月17日に発売した。価格は税込み729万円~だ。

 Q5スポーツバックはBMW「X3」やポルシェ「マカン」などがひしめくミドルサイズSUVのQ5を、クーペのようなスタイルに仕上げた。外観はアウディのアイコンであるフロントのシングルフレームグリルやルーフを専用のデザインに変更。Q5のイメージを受け継ぎつつ、若々しさとスポーティーな雰囲気を高めている。

 クーペスタイルの投入は、アウディの販売拡大戦略の1つといえる。近年、2ドアクーペのイメージを受け継ぐ4ドアクーペを積極的に展開しているが、SUVにも拡大することで販売数は増加傾向にある。

 アウディの4ドアクーペSUVとしては、コンパクトSUVの「Q3」のクーペスタイルモデル「Q3スポーツバック」(20年8月発売)、アウディブランドとして日本市場初となった電気自動車(EV)「e-tronスポーツバック」(20年9月発売)がすでに販売されている。特にQ3シリーズは、Q3スポーツバックが販売数の6割を占めている。同様に、クーペSUVのQ5スポーツバックの発売で、Q5シリーズ全体の販売に弾みをつけたいところだろう。

21年3月8日に日本市場で発売となった「Q5」。価格は681万円(税込み)~
21年3月8日に日本市場で発売となった「Q5」。価格は681万円(税込み)~
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クーペのようでもSUVの使いやすさ

 Q5スポーツバックのボディーサイズは、全長4.695×全幅1.9×全高1.66メートルで、Q5に比べ全長で1.5センチ長く、全高で5ミリ低いだけだ。取り回しなどはQ5同等の扱いやすさと考えてよいだろう。クーペのようなスタイルに変わっても、トランク容量は標準で510リットル(Q5は520リットル)、最大で1480リットル(Q5は1520リットル)と十分確保している。

ボディーサイズは全長4.695×全幅1.9×全高1.66メートル
ボディーサイズは全長4.695×全幅1.9×全高1.66メートル
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 主力となる標準車の動力源は、電動化した最新式のクリーンディーゼルに一本化。2リットル直列4気筒直噴ターボディーゼルエンジン(TDI)に、ベルト駆動式オルタネータースターター(BAS)と12Vリチウムイオンバッテリーを用いた、マイルドハイブリッドシステム(MHEV)を採用している。

 アウディ独自のAWDクラッチ付きクワトロ四輪駆動システムと7速Sトロニックトランスミッションを組み合わせており、システムが4WDを不要と判断すると、AWDクラッチにより後輪を切り離し、前輪駆動車となる仕組みで、燃費向上につながる。

 また、スポーツカー顔負けの性能を求めるドライバー向けに、高性能モデル「SQ5スポーツバック」も用意した。

 標準モデルは「40 TDIクワトロ アドバンスド」とスポーティーな仕様の「40TDIクワトロ Sライン」の2種類で、「Sライン」をベースに装備を充実させた限定車「ファーストエディション」も用意。高性能モデルはSQ5スポーツバックのみ。

トランク容量は標準で510リットル(Q5は520リットル)、最大で1480リットル(Q5は1520リットル)と十分なサイズがある
トランク容量は標準で510リットル(Q5は520リットル)、最大で1480リットル(Q5は1520リットル)と十分なサイズがある
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輸入車ブランドトップ10の中で最も成長

前社長フィリップ・ノアック氏は21年8月1日付でドイツ本社に帰任した
前社長フィリップ・ノアック氏は21年8月1日付でドイツ本社に帰任した
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 21年7月14日に行われたアウディジャパンのオンライン発表会では、前社長フィリップ・ノアック氏が登壇し、21年の上半期の販売実績について、「世界販売では市場全体の回復がみられた」と説明。中国・欧州・米国での販売回復が大きく貢献したという。8月2日のアウディの発表でも「21年1~6月に、アウディは世界中で98万1681台の車両を販売し、上半期としてはアウディ史上最高の販売台数を記録」とあり、その好調ぶりがうかがえる。

アウディは21年1~6月(上半期)に全世界で98万1681台を販売し、前年同期比38.8%の増加となった(20年上半期は70万7225台)
アウディは21年1~6月(上半期)に全世界で98万1681台を販売し、前年同期比38.8%の増加となった(20年上半期は70万7225台)
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 ノアック氏はまた「日本の実績は前年同期比38%増となる1万2854台。日本での輸入車市場全体の伸び率は約19%で、これを大きく上回っており、輸入車ブランドトップ10の中で最も成長している」と日本での好調ぶりも強調。その要因として、前述のコンパクトSUVのQ3シリーズのフルモデルチェンジをはじめ、マイナーチェンジながら大きく変わった「A4」シリーズと「A5」シリーズ、主力車種となるコンパクト車「A3」シリーズなど、この2年間、新型車を積極的に投入してきたことを挙げた。高性能モデルも良い効果をもたらしており、特にステーションワゴン「RS6アバント」や4ドアクーペ「RS7スポーツバック」、SUV「RS Q8」の3台が好調だという。

 21年下半期もコンパクトSUV「Q2」のクリーンディーゼルモデルと高性能コンパクトSUV「SQ2」を秋ごろに、コンパクトな高性能モデル「RS3」を冬ごろに投入する見込みで、積極姿勢は崩さないという。

こだわりのユーザーに支持される高性能モデル「RS」シリーズも販売が好調。その中でも、好調なモデルのひとつが写真の「RS7スポーツバック」だ
こだわりのユーザーに支持される高性能モデル「RS」シリーズも販売が好調。その中でも、好調なモデルのひとつが写真の「RS7スポーツバック」だ
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アウディジャパン社長交代で変化は

 今後をにらんだEV戦略についても、21年発表の4ドアクーペ「e-tron GT」は計画を大きく上回るペースで受注。初年度分は完売しており、「秋の納車開始までに、より勢いを増すだろう」とノアック氏は説明する。EVのコンパクトSUV「Q4 e-tron」は22年に発売する計画で、25年までにプラグインハイブリッド車(PHV)を含む14車種を電動化し日本に投入すると話した。

 アウディは26年以降の新型車は全てEVにすると明言しているが、現在はまだ電動車の中ではハイブリッド車やPHVが中心で、中でもマイルドハイブリッドの役割は大きい。今後はハイブリッド車からEVへのスムーズなシフトが課題といえる。

 「21年の日本のアウディの販売は、V字回復を見せており、前年を超える計画だ。22年はさらにこれを上回るだろう」と強調したノアック氏は、18年9月から務めたアウディジャパンの社長職を離れ、21年8月1日付でドイツ本社に帰任。後任はマティアス・シェーパース氏で、9月1日付けで社長に就任する。シェーパース氏は16年1月にアウディジャパンの100%子会社(当時)であるアウディジャパン販売の社長に就任し、販売現場での経験を深めながら、特にアフターセールスや顧客満足の向上に力を注いだという実績がある。18年9月からアウディフォルクスワーゲン台湾の社長を務めていたシェーパース氏が、日本でどのような采配を振るうのかにも期待が高まる。

21年9月1日からアウディジャパンの社長を務めるマティアス・シェーパース氏
21年9月1日からアウディジャパンの社長を務めるマティアス・シェーパース氏
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(画像提供/アウディジャパン)