ペットボトル入りコーヒーが2021年4月に発売されるや品薄で出荷停止になり、話題を集めた米コカ・コーラ傘下のコーヒーブランド「コスタコーヒー」。21年7月13日には、JR原宿駅に国内初のテークアウト専門スタンドショップを開店した。モバイルオーダーに対応し、手淹(い)れコーヒーでも日常的な利用を促す。

2021年7月13日、JR原宿駅竹下口改札を出てすぐの場所にオープンした「コスタコーヒー 原宿駅店」。営業時間は平日が午前8~午後6時、休日は午前9~午後7時
2021年7月13日、JR原宿駅竹下口改札を出てすぐの場所にオープンした「コスタコーヒー 原宿駅店」。営業時間は平日が午前8~午後6時、休日は午前9~午後7時

 2021年7月13日にオープンした「コスタコーヒー 原宿駅店」は、日本コカ・コーラが「コスタコーヒー」ブランドの下で直営する国内で初めてのテークアウト専門店。バリスタがその日の気候に応じて豆のひき具合を調整する本格的な手淹れコーヒーを提供する。

 20年7月に銀座ロフト内のカフェ「ロフトフードラボ」に期間限定でオープンしたポップアップストアと異なり、原宿駅店は常設店。ブランドの代表的なメニューに加え、エスプレッソをアイスクリームにかけて食べる「アフォガート」や、氷とエスプレッソや、いちごなどのソースを一緒にブレンドする「フロスティーノ」といった原宿駅店限定のメニューも発売する。

原宿駅店限定で発売する「アフォガート」と「フロスティーノ」
原宿駅店限定で発売する「アフォガート」と「フロスティーノ」

 同店では、スマホから事前予約・決済ができるモバイルオーダーを採用している。5分後以降で受取時間を設定し、決済を完了。店頭では注文番号を伝えるだけで受け取れる。日本コカ・コーラ コスタ ディビジョン シニアマネジャーのアンキット・チョータイ氏は「通勤や通学などで、毎日原宿駅を通る方により便利に利用してもらえる」と語る。もちろん、店頭での注文や決済も可能で、現金のほか交通系ICカードやクレジットカードが使用できる。

モバイルオーダーのサイトではまず店舗選択。メニュー画面から好きな商品を選ぶ
モバイルオーダーのサイトではまず店舗選択。メニュー画面から好きな商品を選ぶ
サイズアップやミルクの種類の変更も可能。受取時間は5分後から設定できる
サイズアップやミルクの種類の変更も可能。受取時間は5分後から設定できる

 コスタコーヒーは1971年にロンドンで誕生し、世界41カ国で3800店以上を展開する欧州最大のコーヒーブランド。2019年に米コカ・コーラ傘下となり、アジア4カ国目となる日本市場には20年春に参入した。21年4月にコンビニなどでペットボトル入りコーヒーを発売したところ、予想を上回る人気で品薄となり出荷停止になったことで話題を集めた(参考記事:「『コスタコーヒー』人気で出荷停止 ジョージアとの棲み分けは?」)。

 ペットボトル入り飲料に続き、スタンドショップの開店でコスタブランドを本格展開する日本コカ・コーラ。コーヒーショップは多々あるが、コスタコーヒーでは「おいしさ」にこだわるという。

 国内のコスタコーヒーのメニュー開発にも携わる日本バリスタ協会技術研究委員長の篠崎好治氏は、「国内大手メーカーのコーヒー製品は原価との兼ね合いでコーヒー粉末の量が少なめ。風味を出すために濃いめにローストしているので豆が焦げてしまい、苦みのある味や匂いが発生しがち。一方、コスタの焙煎(ばいせん)はミディアムレベルで、しっかりと豆のフレーバーを出している」と語る。

 また篠崎氏によると、日ごと時間ごとに変化するしけり具合で豆の味がぶれるため、コスタ店舗ではバリスタが湿気に合わせてマシンの刃を調節し、豆のひき具合を適正に保つという。「コーヒー豆は外気を吸収しやすいため、例えば湿気の強い日は刃の隙間を狭くして、細かくひく」(篠崎氏)

受け取り時は店頭で注文番号を伝えるだけ
受け取り時は店頭で注文番号を伝えるだけ

 20年春に国内市場に参入して以降、飲食店への卓上マシン導入や映画館、野球場などへの無人カフェマシン設置、キッチンカーやポップストアの展開などを積極的に進めてきたコスタコーヒー。現在では同ブランドのコーヒーを飲める店舗は、首都圏を中心に350以上に達している。今回、日本コカ・コーラ直営の店舗を人通りも多い原宿駅前にオープンしたことで、より幅広い利用者に向けたタッチポイントができた。21年中を目指している直営カフェオープンに向け弾みがつきそうだ。

(写真提供/日本コカ・コーラ)

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