日本を代表するIP(知的財産)の1つ、「機動戦士ガンダム」シリーズ。2020年度にはバンダイナムコグループ全体で関連事業の売上高が950億円を記録した。次の目標は売上高1500億円。それに向け、デジタルとフィジカルを融合した新たな遊びの提案、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを掲げ、IP戦略をさらに推進する。

「GUNDAM UNIVERSAL CENTURY DEVELOPMENT ACTION」のポスターと並ぶのは、バンダイナムコグループでガンダム事業を統括するチーフガンダムオフィサーの藤原孝史氏
「GUNDAM UNIVERSAL CENTURY DEVELOPMENT ACTION」のポスターと並ぶのは、バンダイナムコグループでガンダム事業を統括するチーフガンダムオフィサーの藤原孝史氏

ガンダムを旗印に力を結集

 バンダイナムコグループは2021年夏に向け、「ガンダムブレイカー バトローグ プロジェクト」と「GUNDAM UNIVERSAL CENTURY DEVELOPMENT ACTION」(GUDA)という2つのプロジェクトを始動した。

 前者は「ガンダム」シリーズのプラモデル「ガンプラ」をモチーフにしたゲーム「ガンダムブレイカーシリーズ」とガンプラの連動を強化する取り組み。ゲームとガンプラで共通する、オリジナル機体のカスタマイズを楽しめるようにする。ゲームと玩具の世界観をシームレスにつなぐことで、近年、同グループのエンターテインメントユニットが掲げる「デジタルとフィジカルの融合」を推進するものだ。

「ガンダムブレイカー バトローグ プロジェクト」はゲームとガンプラが連動
「ガンダムブレイカー バトローグ プロジェクト」はゲームとガンプラが連動

 後者は、SDGs(持続可能な開発目標)を推進するためのプロジェクト。ガンダムを旗印に、他社や消費者も巻き込んで人口問題や地球環境問題などに取り組む。

 すでに第1弾となる「ガンプラリサイクルプロジェクト」を21年4月から開始している。グループ傘下のバンダイナムコホールディングス、BANDAI SPIRITS、バンダイナムコアミューズメント、バンダイロジパルの4社が協力し、不要なランナー(プラモデルのパーツが付いた枠)を生産現場、消費者の双方から回収し、ケミカルリサイクルによる新たなプラモデルへの再生などを行う。21年度の回収目標は10トンで、これは国内に出荷しているガンプラのランナーの年間総重量の1%程度。30年までには500トンを目指す。

 21年7月中旬以降には、第2弾となる「ガンダムオープンイノベーション」を実施する予定だ。これは、人口問題や地球環境といったSDGsに関連するテーマについて、国内外から広くアイデアや技術を募集し、共に取り組んでいこうというもの。21年6月に開催した発表会「第1回ガンダムカンファレンス」では、バンダイナムコエンターテインメントの常務で、グループのガンダム事業を統括するチーフガンダムオフィサー(CGO)の藤原孝史氏が「キャラクターをきっかけにするからこそ、幅広い人たちから理解や協力を得られるという側面があると思う。ガンダムを旗印に、未来のためにファンの知恵や力を生かせれば」とそのコンセプトを説明した。

 同発表会にゲスト出演した筑波大学准教授でメディアアーティストの落合陽一氏も、研究者、ガンダムファン両方の視点から「今やガンダムのコアなファンが社会のイノベーションを動かすポジションにいる。(ガンダムを掲げることで)そこを巻き込むのは大事」と評価した。

「第1回ガンダムカンファレンス」には落合陽一氏も登壇
「第1回ガンダムカンファレンス」には落合陽一氏も登壇

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