Nintendo Switch向けゲーム『New ポケモンスナップ』が好調だ。2021年4月30日の発売から1カ月がたった5月末の国内販売本数は22万9443本(ファミ通調べ)と、鮮やかなスタートダッシュを見せている。実は前作は22年前に発売されたもの。今の時代に合わせどう進化させ、ヒットに結びつけたのか。

Nintendo Switch用ソフト『New ポケモンスナップ』は2021年4月30日に発売。価格は税込み6578円(販売/ポケモン、開発/バンダイナムコスタジオ)
Nintendo Switch用ソフト『New ポケモンスナップ』は2021年4月30日に発売。価格は税込み6578円(販売/ポケモン、開発/バンダイナムコスタジオ)

 『New ポケモンスナップ』は、さまざまな島に生息する野生のポケモンを撮影し、その生態を調査していくゲーム。「New」と付いているように、1999年にNINTENDO64用のタイトルとして発売された『ポケモンスナップ』を原点とし、22年ぶりに作られた完全新作ゲームだ。

「ネオワン号」に乗り、野生のポケモンの撮影に挑む
「ネオワン号」に乗り、野生のポケモンの撮影に挑む
おなじみのポケモンたちの、かわいいしぐさを撮影していくゲームだ
おなじみのポケモンたちの、かわいいしぐさを撮影していくゲームだ

 プレーヤーは、自動で進むポッド型の乗り物「ネオワン号」に乗り、自由気ままに生きるポケモンたちの姿をゲーム内のカメラで撮影していく。小さな子供も簡単に楽しめる内容で、かつ「あっちに何かいた!」「こっちで動いた!」などと言いながら、みんなでわいわい遊ぶような状況も想定している。それでいて、ポケモンたちがレアな動きをした瞬間など、決定的なシャッターチャンスを狙い、ハイスコアを狙うというゲーマー向きの奥深さも両立させている。

撮影後は博士に写真をチェックしてもらう。ポーズや大きさによってもらえるポイントが変化。ハイスコアを目指す
撮影後は博士に写真をチェックしてもらう。ポーズや大きさによってもらえるポイントが変化。ハイスコアを目指す

 開発を担当したのはバンダイナムコスタジオ。2015~17年に発売した、格闘ゲーム『鉄拳』とポケモンのコラボタイトル『ポッ拳 POKKÉN TOURNAMENT』(アーケード、Wii U、Nintendo Switch向け)をバンダイナムコエンターテインメントが共同開発したことが、本タイトル開発につながった。「ポケモンの表現や背景の作り込みを褒めていただいたこともあり、『New ポケモンスナップ』の開発のお話をいただいた」と言う。

 『New ポケモンスナップ』でも、同社の表現力を遺憾なく発揮している。自然公園、ジャングル、砂漠、海中といったそれぞれのシチュエーションで、まるで本当にそこで暮らしているかのように生き生きと描かれるポケモンたちの姿は特筆ものだ。心動かされるユーザーも多いようで、「#ポケモンスナップ」などのハッシュタグでTwitterやInstagramを検索すれば、各ユーザーの自慢のスナップが数多く投稿されているのが見つかる。

制作現場の革命「ジャックの豆の木計画」とは

 このように、有名IP(知的財産)が外部の優れたクリエイターと手を組んで新作タイトルを生み出すスタイルが『New ポケモンスナップ』で実現したことは、ゲームの歴史を振り返ると極めて感慨深いことだ。

 それというのも、1999年発売の旧作『ポケモンスナップ』は、外部クリエイターの力を取り入れて開発された先駆的なタイトルだったからだ。90年代はバブルが崩壊し、経済状況が悪化。ゲームの制作現場では、厳しい納期の中、満足いくまで作り込むことなく、新作を次々と発売しなければならないような事態が常態化した。

 そんな状況を打開すべく、任天堂が立ち上げたのが「ジャックの豆の木計画」というプロジェクト。これが旧作の『ポケモンスナップ』誕生の契機となる。

 ジャックの豆の木計画は、ゲーム開発のみならず、アニメーション、CG、演出など幅広い分野のスタッフを外部から一般公募し、その人たちにじっくりと時間をかけてゲーム制作に取り組める環境を提供しようという試み。これには500人を超える応募があり、プレゼンで勝ち残ったスタッフがチームを組んで、任天堂の支援の下、ゲーム制作に取りかかった。

 これは映画を製作するとき、プロデューサー、監督、俳優など、各分野のプロが集い、作品単位でチームを組むのに近いだろうか。今ではゲーム開発現場でもよく見られるが、当時はまだ企業単位でゲームを作るのが一般的だった時代だ。ジャックの豆の木計画は、ゲーム制作のあり方そのものを変えるプロジェクトだったのである。そして、そこから生まれたのが、旧作の『ポケモンスナップ』の原型だった。

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