累計販売台数が2020年夏に30万台を突破するなど、日本で支持されるBMW傘下の英プレミアムコンパクトカー・ブランド、MINI。その主力モデルであるハッチバックモデルのマイナーチェンジ版が21年5月21日に日本で販売開始。しかし電気自動車(EV)モデルは未導入のままだ。

マイナーチェンジ版MINI 5ドア、MINI 3ドア、MINI コンバーチブルの発売当日には都内で発表会も行われた。(左から)ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン) ナショナル・セールス・マネージャーの山口智之氏、MINIディビジョン 本部長のピーター・メダラ氏、プロダクト・マネージャーの丹羽智彦氏
マイナーチェンジ版MINI 5ドア、MINI 3ドア、MINI コンバーチブルの発売当日には都内で発表会も行われた。(左から)ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン) ナショナル・セールス・マネージャーの山口智之氏、MINIディビジョン 本部長のピーター・メダラ氏、プロダクト・マネージャーの丹羽智彦氏

20年に累計30万台突破の人気車種

 ドイツBMW傘下の英プレミアムコンパクトカー・ブランド、MINIの主力モデルであるハッチバックモデルのマイナーチェンジ版が、2021年5月21日に日本で発売となった。新価格はMINI 3ドア・シリーズが273万~482万円(税込み)、MINI 5ドア・シリーズが290万~427万円(同)、オープンカーのMINI コンバーチブル・シリーズが385万~538万円(同)。マイナーチェンジ自体は21年1月27日、既に欧州で発表されている。日本市場におけるMINIの人気を見込んで、約4カ月という早さで投入されることとなった。

 20年の輸入車販売でMINIブランド全体の新規登録台数は前年比84.8%とコロナ禍の影響を受けて落ち込んだ。しかし2万196台という数字は、輸入車ブランド別では年間第4位(車名別ではMINIは16年から5年連続で1位)。またBMW製のMINIの累計販売台数は20年夏に30万台を突破しており、輸入車としてトップクラスの人気がある。

輸入車販売市場において、MINIは車名別で16年から5年連続1位
輸入車販売市場において、MINIは車名別で16年から5年連続1位

個性派のMINIらしいデザイン変化

 MINIは伝統的な英国車の1つだったが、94年にBMW傘下となり、01年からはBMWが開発している。現行型は13年に世界初公開されたBMWによるMINIの3世代目で、今回の改良型ではデザイン面での個性が増している。

 一目見て分かるのが、丸目ライトと大型フロントグリル、丸みを帯びたハッチバックというMINIらしいデザインを受け継ぎながら、シンプルさを追求したこと。伝統的に外装に取り入れてきたクロームメッキモールを削減し、環境負荷低減にも配慮。代わりにピアノブラック加飾を採用したオプションを設定した。

バンパー中央部分はこれまでブラックだったが、ボディーと同色に変更。アクセントになっている
バンパー中央部分はこれまでブラックだったが、ボディーと同色に変更。アクセントになっている

 新たに選択できるようになった、個性的なMINIらしいアイテムが「マルチ・トーン・ルーフ」で、車両前方には深みのある青(ソール・ブルー)、中央部分に移動するにつれ明るい水色(パーリー・アクア)、後方部分は濃いブラック(ジェット・ブラック)という3色が組み合わされたグラデーションデザインになっている。おのおのの塗料を乾ききる前に塗り重ねていくウエットオンウエット塗装を施しており、1台1台、微妙に仕上げが異なる。

「マルチ・トーン・ルーフ」を選ぶとデザインのカスタマイズ性が高まる
「マルチ・トーン・ルーフ」を選ぶとデザインのカスタマイズ性が高まる

 MINIの内外装は、自由にカスタマイズできるのが魅力の1つだが、インテリアの新提案となる世界共通仕様の「Trim(トリム)」と名付けた新しいデザインパッケージを用意。シンプルな仕上げの標準仕様「エッセンシャル・トリム」を基準に、伝統的なMINIの世界観を感じさせる「クラシック・トリム」、スポーツ志向の「ジョン・クーパー・ワークス・トリム」、上質さを際立たせた「ミニ・ユアーズ・トリム」の4種類で、それぞれのトリムをベースにしながら装備を選択できる。

 メカニズム面は変更がなく、ガソリン仕様の1.5リットル3気筒ターボエンジンと2.0リットル4気筒ターボエンジン、クリーンディーゼル仕様の1.5リットル3気筒ターボエンジンがある。BMWジャパンによれば乗り味などの熟成は進められていると言う。ただ、今回も電気自動車(EV)は用意していない。

 では今後はどうか。

「MINI クーパーSコンバーチブル」のインテリア
「MINI クーパーSコンバーチブル」のインテリア

MINI ELECTRICはまだか

 21年3月17日にドイツで行われたBMWグループの年次総会では、30年初頭までにMINIの全ラインアップをピュアEVにすると発表。早ければ25年が新型内燃エンジン搭載モデル投入最後の年となり、27年までにはMINIの50%以上をピュアEVにすると言う。

 ところが今回、日本での改良型MINI発表会では、電動化戦略について、ほとんど触れられなかった。既にドイツや英国では、20年から販売されているMINI 3ドアハッチバックをベースにしたEV「MINI ELECTRIC」も、日本導入の話は出ていない。

21年3月17日、ミュンヘンのBMW Weltで開催されたBMWグループ年次総会で、30年初頭までにMINIの全ラインアップをピュアEVにすると発表された(写真提供/BMW)
21年3月17日、ミュンヘンのBMW Weltで開催されたBMWグループ年次総会で、30年初頭までにMINIの全ラインアップをピュアEVにすると発表された(写真提供/BMW)

 日本では、MINIの愛らしさを現代的にアレンジしたファッション性の高さや世界観でファンを増やしてきた面も大きい。特に近年の躍進のきっかけとなったのが、2011年に日本に導入された異端的なSUV(多目的スポーツ車)の初代「MINIクロスオーバー」だ。MINIでありながら5ドア、SUV、3ナンバーの大きめボディーという、従来のMINIの価値観を打ち破るモデルだったが、特にファミリー層に支持され、瞬く間に人気を得た。現行型から用意されるようになった5ドアハッチバックも、MINIらしいデザインと5ドアの使い勝手の良さで、支持されているのは間違いない。よってライフスタイルにさえ合えば、日本のMINIファンとMINI EVは親和性が高いようにも思える。航続距離が250キロメートル以下(英公式サイトでは145マイル)なので、街乗りとしては十分だが、価格を考えると(英国で2万6000ポンド、日本円で約403万円)、まだガソリン車やクリーンディーゼル車を選ぶ人が多そうだ。

 例えば現行型「MINI クロスオーバー」は、日本でもプラグインハイブリッド「COOPER SE ALL4」が設定されているが、エントリーグレードが税込み395万円なのに対し、税込み510万円と高価だ。そのため他グレードより販売は伸びていない。

 現時点の日本では、欧州に比べて補助金も少ないので、ユーザーが旨味を感じない点も大きいだろう。

 日本車も同様だが、価格を抑えるにはどうしたらいいか、バッテリーをどこに積むか、航続距離をどこまで伸ばせるかなど、コンパクト車のEV化は課題が多い。MINIブランドが日本でのEV展開に慎重なのは、こうしたことが背景にあるようだ。

「MINI ジョン・クーパー・ワークス」(MINI 3ドア・シリーズ)と「MINI ジョン・クーパー・ワークス・コンバーチブル」(MINI コンバーチブル・シリーズ)
「MINI ジョン・クーパー・ワークス」(MINI 3ドア・シリーズ)と「MINI ジョン・クーパー・ワークス・コンバーチブル」(MINI コンバーチブル・シリーズ)

(写真/大音安弘)

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