日本コカ・コーラは、低アルコール飲料の新ブランド「ノメルズ ハードレモネード」を2021年6月21日に立ち上げる。同社には「檸檬堂」というレモンサワーのヒット商品がすでにあるが、新商品がターゲットにしているのは檸檬堂の購入層よりも若い20~30代だ。
檸檬堂が取り込み切れなかった層を狙う
日本コカ・コーラの発表によれば、低アルコール飲料(ビール、発泡酒、新ジャンルを除くアルコール度数10%未満の酒類)の市場は2020年の段階で5000億円規模。18年から20年にかけて約12%成長しており、なかでもレモンフレーバーの低アルコール飲料は全体の4割を占めるまでになっているという。
新商品である「ノメルズ ハードレモネード」(以下、ノメルズ)の「ハード」は「ソフト」の対義語で、ノンアルコール飲料のことを「ソフトドリンク」と呼ぶのに対し、日本ではアルコール入り飲料のことを「ハードドリンク」と呼ぶことにちなんでいる。アルコール入りのレモネードだから「ハードレモネード」というわけだ。
日本コカ・コーラ マーケティング本部 アルコールカテゴリー ブランドマネジャーの東條渚氏は「低アルコール市場のさらなる成長のためには、檸檬堂とは異なる新しい価値観を提案するブランドが必要だと考えた。日本でも専門店が登場するなど、レモネードは注目度が高い。低アルコール飲料市場におけるレモンフレーバーのトレンド、また米国での人気を受けて、ハードレモネード専門ブランドのノメルズを立ち上げた」と、新ブランド開発の背景を説明する。
19年発売のレモンサワー専門ブランド「檸檬堂」ですでにヒットを飛ばしている日本コカ・コーラだが、「檸檬堂と違い、ノメルズは普段あまり酒を飲まない若者に向けた製品設計になっている」と東條氏。
檸檬堂の購入層はアルコールが好きな30~40代。そこでノメルズでは、低アルコール飲料市場で購入者数が伸びている20~30代をターゲットに据えた。
東條氏は「日本の酒場文化」を商品コンセプトとする檸檬堂との差異化を図るため、「米国・西洋のカフェ文化」をノメルズの商品コンセプトの1つとした。ジンの香りのもとであるジュニパーベリー(セイヨウネズ)を風味付けに使い、米国や欧州のカフェ文化を象徴するフードトラックをパッケージに施したのもそうした理由からだ。
「ソフトドリンクがルーツの大人向けのレモネード」というもう1つの商品コンセプトも、焼酎をレモン果汁で割って作るレモンサワー、つまり檸檬堂の逆を行く。酒が主体ではなく、あくまでソフトドリンクにアルコールを追加しただけという"気軽さ"を伝えようとしているわけだ。
「昨今の20~30代にとっての酒は酔うためのものではなく、みんなと楽しく過ごすため、一人でゆったり過ごすためのツール。そうした人たちに身近に感じてもらうためには色彩感、かわいらしさも重要だと考え、パッケージもポップなデザインにした」(東條氏)
また、ノメルズには「3人の若者が立ち上げたハードレモネードを販売する店」という世界観を設定。それを伝えるため、3種類のフレーバー「オリジナル」「サワー!サワー!サワー!」「ビターサワー」に3人の若者をキャラクター付けした。ターゲット層である20~30代に「自分たちと同世代の若者=自分たち向けのブランド」と感じてもらうことを狙っているという。
日本コカ・コーラでは21年6月14日からTwitterでフォロー&リツイートキャンペーンを開始しており、22日からはテレビCMもスタートする。「既存の低アルコール飲用者だけでなく、酒は好きだが低アルコール飲料はあまり飲まないという層まで獲得したい」と東條氏。檸檬堂とタッグを組んでRTD(Ready to Drink、レディー・トゥ・ドリンク、容器入り飲料)アルコール市場の活性化を目指している。
(写真提供/日本コカ・コーラ)