エイベックス所属のアーティストが、中国の人気オーディション番組で11人のグループのメンバーに選ばれ、中国デビューした。一気にスターに駆け上がったのは、それぞれ日本で別のグループに所属していたサンタ、リキマル、ミカの3人――。オーディションへの参加は、エイベックスが加速するアジア戦略の一環だった。

11人のメンバーでデビューした「INTO1」(イントゥーワン)
11人のメンバーでデビューした「INTO1」(イントゥーワン)

 「PRODUCE 101 JAPAN」という番組名にピンとくる人も少なくないだろう。吉本興業らが関わり、アイドルグループの「JO1」がデビューしたオーディション番組だ。「PRODUCE 101」はもともと韓国のオーディション番組だが、冒頭の3人が参加していた「創造営」は、これをモチーフに3年前に始まった。中国テンセントが中国国内向けの「テンセントビデオ」と海外向けの「WeTV」で配信しており、シリーズの合計再生回数が50億回を超えるといわれる人気番組だ。

 そのシーズン4である「創造営2021」に挑んだのがエイベックス・エンタテインメント(東京・港)で日米ハーフの男性グループ「INTERSECTION」、日中混合の男性グループ「WARPs UP」というグループに所属していた合計5人。うち冒頭で名前を挙げた3人が約2カ月のオーディションを勝ち抜き、2021年4月24日に中国でデビューした。

 「中国でのオーディションなので、まさか日本から3人もメンバーに入るとは思っていなかった」。興奮気味に話すのは、エイベックス・アジアの髙橋俊太社長だ。デビューメンバーは中国人、タイ人など11人。視聴者からの投票などで選ばれ、日本人3人の得票数はいずれも1600万票を超えた。グループ名は「INTO1」(イントゥーワン)。インターナショナル、インターネットといったイメージを含む。

「創造営2021」の最終回のパフォーマンスの様子
「創造営2021」の最終回のパフォーマンスの様子

 創造営2021に挑んだ5人は、中国に到着後、新型コロナウイルス感染症拡大対策のための2週間の隔離生活を経てオーディションに参加した。メンバーは中国語も話せず、右も左も分からない異国の地で中国やタイなどからの参加者と共同生活をしながら歌やダンスの練習を続けた。スマートフォンも没収され、オーディション期間中に日本の家族に連絡できたのは中国の旧正月前夜の1回だけだったという。20年11月末に中国に入ってから番組終了までは約5カ月。最終回では、涙を流しながら中国語で喜びを語るほどに……。選ばれた11人のメンバーでデビュー曲も披露した。

左からミカ(INTERSECTION出身)、リキマル(WARPs UP出身)、サンタ(WARPs UP出身)
左からミカ(INTERSECTION出身)、リキマル(WARPs UP出身)、サンタ(WARPs UP出身)
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