凸版印刷は2021年4月24日から8月1日まで、東京・文京の印刷博物館P&Pギャラリーで「グラフィックトライアル」を企画している(現在は臨時休業中)。グラフィックデザインと印刷表現の関係を追求し、グラフィックデザインの新たな可能性を追求する実験(トライアル)企画だ。06年にスタートし、21年で15回目となる今回のテーマは「Baton」(バトン)。

「グラフィックトライアル」では、クリエイターごとにセクションを分けて作品を展示。印刷実験の結果である最終的な作品に加えて、プロセスやテスト刷り、印刷技法なども紹介している。なお、緊急事態宣言の状況に応じて開催期間が変わる場合もある
「グラフィックトライアル」では、クリエイターごとにセクションを分けて作品を展示。印刷実験の結果である最終的な作品に加えて、プロセスやテスト刷り、印刷技法なども紹介している。なお、緊急事態宣言の状況に応じて開催期間が変わる場合もある

 参加したクリエイターは、グラフィックデザイナーの佐藤卓氏、美術家の野老朝雄氏、台湾のアートディレクターであるアーロン・ニエ氏、電通のアートディレクター/デザイナーの上西祐理氏、凸版印刷のフォトグラファーである市川知宏氏の5人。

 「次世代に『印刷表現の可能性』のバトンをつなぎたい」という思いで開催したという。

 バトンという同じテーマながら、その表現方法は多岐にわたった。

作家独自のバトンを描く

 佐藤氏は「我々が次の世代に受け渡すもの」と考え、「みそ汁 Miso Soup」という作品を制作。味噌汁のそれぞれの具材を重ね刷りし、具材の味わいや舌触りに合わせて網点の細かさや形状を変えた。

 野老氏の「REMARKS ON BLUE」では藍染めや有田焼など、同氏が長年追い続けてきた「藍色」の表現を模索。同一データのポスターを使い、刷り順や見せ方、環境などを変えて色や表情の違いを見せる。

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