オンワードホールディングス傘下のアパレル大手、オンワード樫山(東京・中央)が2021年4月、リアル店とECのメリットを融合した新業態店「オンワード・クローゼット・ストア(ONWARD CROSSET STORE)」の展開を開始した。千葉県船橋市にある「ららぽーとTOKYO-BAY」内に4月24日にオープンした旗艦店を取り上げ、同社が新業態店で目指す狙いと今後の展開を追った。
オンワード樫山が「OMO型店舗」とうたった新業態店の特徴は、これまでの同社のリアル店舗と比べて大きく3つある。
1つ目は、商品の売り方だ。これまでは、傘下のブランドがそれぞれ打ち出した世界観に共感して集まってきた利用者に対して、ブランドが企画した衣料品を、リアル店とECで販売してきた。これに対して新業態店は、ブランドの世界観ありきではなく、「消費者のニーズをまず見極め、それらの消費者が“今、欲しい”と考えている商品を取りそろえて販売していく」(新業態店を担当するオンワード樫山OMOストアカンパニー企画販売部門企画販売Div.課長の前川真哉氏)という。
2つ目は、扱う商品の範囲だ。これまでは原則、衣料品だけを扱う店を、傘下のブランドごとに、主に百貨店やショッピングセンターの中に出店していた。だが、今回の新業態店は消費者ニーズにいち早く応えるのが狙い。そこで、出店場所こそ従来通りだが、店内を「WORK」「HOLIDAY」「WELLNESS」の3つのゾーンに分け、衣料品だけでなく広義のファッションからビューティー、食品、生活雑貨まで、幅広い商品を取りそろえることにした。
デジタル技術の活用で利便性向上と集客を図る
「23区」「any FAM(エニィ ファム)」「#Newans(ハッシュ ニュアンス)」といった複数の自社ブランドの衣料品をそろえたのに加え、オーガニックコスメブランド「ARGITAL(アルジタル)」のスキンケア用品など、独自に仕入れた買い付け商品も数多く店頭に並べた。このため、店頭の見た目はこれまでのオンワード樫山傘下のリアル店舗ではなく、いわゆるセレクトショップに近い。
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