パナソニックは2011年に発売した電気シェーバーのフラッグシップモデル「リニアシェーバー(ラムダッシュ)」を約10年ぶりにフルモデルチェンジ。21年6月6日に発売する。新開発の6枚刃システムを採用。コロナ禍での生活変化によるヒゲそり回数の減少をはじめ、多様化するヒゲそり習慣に対応する。

2021年4月15日に観世能楽堂(東京・中央)で行われた発表会には、モデルのDaisukeさんが登壇した
2021年4月15日に観世能楽堂(東京・中央)で行われた発表会には、モデルのDaisukeさんが登壇した

月産1万台予定の高級シェーバー

 パナソニックが国産初のメンズシェーバーを発売してから2021年で66周年を迎える。その間に、グローバルでの累計出荷台数は2億2000万台になった。今回が8世代目となる「リニアシェーバー(ラムダッシュ)」は新開発の6枚刃システムを採用したのが最大の特徴だ。発売されるのは「ES-LS9AX」「ES-LS9N」「ES-LS5A」の3機種で、月産台数は合計1万台を予定している。価格はオープン。予想実売価格はES-LS9AXが6万6000円前後(税込み)、ES-LS9Nは5万5000円前後(同)、ES-LS5Aは4万4000円前後(同)。

今回フルモデルチェンジした「リニアシェーバー(ラムダッシュ)」は3機種。予想実売価格は左から「ES-LS9N」は5万5000円前後(税込み)、「ES-LS9AX」は6万6000円前後(同)、「ES-LS5A」は4万4000円前後(同)
今回フルモデルチェンジした「リニアシェーバー(ラムダッシュ)」は3機種。予想実売価格は左から「ES-LS9N」は5万5000円前後(税込み)、「ES-LS9AX」は6万6000円前後(同)、「ES-LS5A」は4万4000円前後(同)

 同シリーズはこれまで5枚刃だったが、6枚刃システムを新開発。長いヒゲやくせヒゲをスムーズに取り込める「アゴ下トリマー刃」を2枚、短く寝たヒゲをとらえてカットしやすい「くせヒゲリフト刃」を2枚、最薄部41マイクロメートルで短いヒゲを根元から深くしっかりカットしやすい「フィニッシュ刃」を2枚という6枚の刃を、毎秒約220ストロークという高速リニアモーター駆動で作動させる。これにより、同社従来品の約4倍、長いくせヒゲをカットできるようになった。また新密着5Dシステムで顔の形状に合わせてヘッドと刃がしっかり密着。6枚刃による圧力分散と合わせて肌の負担が従来比10%減になったという。

 同社アプライアンス社ビューティ・パーソナルケア事業部事業部長の林真一氏は、ラムダッシュシリーズは国内工場(滋賀県の彦根工場)で開発から製造まで行っているからこそ、「早ぞり」「深ぞり」「肌へのやさしさ」というシェービングの3大ニーズに応える製品に仕上がったと自信を示す。

 「ラムダッシュには3つの強みが生かされている。まず『刃の製法』。一般的なシェーバーにはニッケル加工の刃が使われるが、弊社では日本刀と同じ鋳造製法により、外刃にステンレス刃物鋼6枚刃を採用している」と林氏。このため強度が高く、替え刃の回数が少なく済むのがメリットだという。

 また30度鋭角ナノエッジ内刃を振動させてスピーディーかつパワフルにそり上げられるのも特徴で、この刃にダイレクトに振動を伝える「テクノロジー」が第2の強みと説明。「1秒に220ストロークを繰り出す軽量小型化されたリニアモーターは、ヘッド内に搭載している」(林氏)

 最後の強みは「匠の技」。刃1枚当たり1300個の穴があるが、その金型は髪の毛の100分の1レベルの微細加工が必要だといい、そこには人の手が欠かせないという。

コロナ禍前にヒゲそりの多様性に着目

 早ぞり、深ぞり、肌へのやさしさという3大ニーズに応えるとしながらも、新型コロナウイルス感染症の拡大でリモートワークが広がる中、ヒゲそりに求められる機能が変化している点にも着目したと、同社アプライアンス社コンシューマーマーケティングジャパン本部マーケティングマネージャーの筧淳石氏は説明する。

 「新しい生活様式が広がる中、在宅ワークやマスクの常用化でヒゲそり習慣が変化し、頻度としては3日に1回そるという人が2倍に増えた。しかし2、3日放置したヒゲはそりにくく、きれいに仕上げるには時間がかかる。当社の調査によれば、長く伸びたヒゲやくせヒゲをそりづらいと思った人が6割近くいることが分かっている」と筧氏。このため、プレカットの機能を高め、くせヒゲをアゴ下トリマー刃で効率よくとらえられるように調整したという。

ヒゲをそる頻度は下がっていると同社は説明
ヒゲをそる頻度は下がっていると同社は説明

 ただ、新しい生活様式に合わせたこれらの説明をしたのは、発表がこの時期になったため。同社ビューティ・パーソナルケア事業部商品企画部の正津卓真氏は、今回のフルモデルチェンジの企画着手自体は3年前であること、ヒゲそり習慣の多様性にはその時点で注目していたことを強調した。

 「当時、高級シェーバーの性能は十分高まっていた。一方でニーズや不満について理解したい、把握したいという思いから、日本だけでなくグローバルで試作品を持ってヒアリングを重ねてきた。その結果、ヒゲそり習慣の多様性という点に気づいた。(メーカーとしては)ヒゲの生え方に逆らってそるのが電気シェーバーの正しい使い方と認識しているが、そり方も、持ち方さえも、人によって様々だと痛感した。よってメーカーとしては、どのような人が、どのようなそり方習慣を持っていても、(ある程度)快適にシェービングができるという世界観を目指して企画開発に取り組むことになった」(正津氏)

 もちろんコロナ禍の影響でリモート会議などが増え、パソコン画面に映った自分の顔や身だしなみを意識する男性は増加している。とはいえ、ヒゲそり習慣の多様性は、コロナ禍以前から進んだ生活スタイルの多様性が関係していた。

 「リサーチする中で、平日の4~5日は整える程度にしておき、土日に日焼けしたいからと伸びたヒゲを一気にそるというスタイルの人にも出会った。ヒゲそり習慣、方法は多種多様。コロナ禍でヒゲそりの頻度が下がったことも、こうした多様化の1つの形ととらえている」(正津氏)

体感商品をどう展開していくかが鍵

 また、従来の高級電気シェーバーはシルバーやメタリックのデザインを採用する傾向があったが、「今回は新しいヒゲそりの世界観を創出したいと考え、クラフトブラックというマット調のブラックにした」(正津氏)。できる限り無駄をそぎ落とした形状にし、グリップを握ると白色LEDによって必要な機能の文字だけが浮かび上がるようになっている。

 発表会に登壇したモデルのDaisukeさんは、「肌が弱い方ですが、2、3日そらないことがあっても、これなら(肌荒れせず)大丈夫」とそり心地について話した。

 なお、電気シェーバーは体感商品であるため、コロナ禍ではこれまでの「店頭で体感してもらう」というマーケティング戦略が取りづらいと林氏。この点については、商品の良さを伝えるために、動画をWeb上で公開し、店頭でも流すという。また、あくまでもフラッグシップモデルとして上質感にこだわり、「持つことの喜びを感じる商品」として、感性的な部分に訴えかけるような展開をしていきたいとの見解も示した。

デザインにもこだわっているが、質感、性能を含めて、これまでのような店頭販売での戦略をとらずに、誰にどのように訴求していくかが鍵(写真提供:パナソニック)
デザインにもこだわっているが、質感、性能を含めて、これまでのような店頭販売での戦略をとらずに、誰にどのように訴求していくかが鍵(写真提供:パナソニック)