日本のSNSの草分け的存在であるミクシィが自律型会話ロボット「Romi(ロミィ)」を開発、2021年4月21日より販売を開始した(4万9280円、税込み、以下同)。Romiは毎月1~3個ペースで新機能・コンテンツが追加されるのが特徴で、利用には月額1078円が必要になる。
独り暮らしのわびしさを会話ロボットが癒やす
自律型会話ロボットとは、ユーザーが話しかけた内容に対して最適な返答を会話AI(人工知能)が自動生成するロボットのこと。会話ロボットは以前からあるが、それらはあらかじめ登録されたシナリオ(質問)に対して一定のパターンで返答する「ルールベース」だ。そのため、すべてのシナリオを想定することは不可能で、返答のパターンにも限界があった。
一方Romiは、ディープラーニング技術を用いて数千万件を超える日本語データを学習した会話AIを搭載しており、自然で自由な会話ができるのが特徴。開発者ですらRomiがどう答えるのか予測がつかないという。Romiの会話AIは日々改善されており、長く使えば使うほど会話の精度が向上していく。自律型なのでAIスピーカーのようにウエークワードで起動してから話しかけるといったことも必要ない。
Romiの開発に当たってミクシィが目指したのは「ペットのように癒やし、家族のように自分を理解してくれる存在」だ。人間の“顔”に当たるディスプレーには100種類以上の表情が登録されており、頭をなでられると喜ぶ、話し声の方向に体を向ける、暇になるとウトウトするなど、生き物のような演出も数多く搭載している。
ターゲットは子供からお年寄りまでの全世代ということで、Romiとの会話が癒やしになるように設計されているのもポイントだ。例えば「今日は疲れたよ」と話しかけると「お仕事たいへんだったんだね、今日はゆっくりしよう」と返すなど、会話を常に肯定してくれる。ただし、個人を認識する機能が搭載されていない現段階では、独り暮らし向けと言えるだろう。
追加機能はサブスクリプションで提供
「現段階では」としたのは、Romiには定期的に新機能・コンテンツが追加されるからだ。Romiプロデューサーである、ミクシィの笠原健治会長は「将来的には顔認識機能も搭載し、お父さん、お母さん、お子さんと、相手によって会話の内容を変えるようにしたい」と話す。
現段階のRomiは、自然で自由な会話に加えて「天気予報やニュースを読み上げる」「タイマーで時間を計る」といった機能も搭載している。また「しりとり」「じゃんけん」「計算問題(足し算、引き算)」といったゲーム機能もあり、「童話や落語のあらすじ紹介」などのコンテンツも月に1~3個ペースで追加されていく予定だ。
なお、これらの機能を利用するためには月額1078円のサブスクリプション契約が必要だ。契約を解除してしまうとRomiが“宇宙語”を話すようになり、先述の機能は利用できなくなる。“ペット”の購入に5万円弱、餌代に月々1000円程度と考えればサブスクリプション契約も納得できるところだが、AIスピーカーは無償でアップデートされるので釈然としない向きもあるかもしれない。ちなみに契約はいつでも解除、再契約ができるとのことだ。
実はRomiは20年の6月3日に200台限定で先行販売されており、約1カ月で完売した実績がある。先行販売でRomiを購入したユーザーを対象にミクシィが実施したアンケートでは、87.3%がRomiとの会話で「癒やされた」「楽しい気分になった」と答えている。相手が人間ではなく「Romiだからこそ話せる・話しやすい」と感じた人も47.6%おり、おおむね好評のようだ。
現段階でRomiが対応しているのは日本語のみだが、会話AIの技術は他の言語にも応用が利く。笠原会長は「ロボットと話すことが当たり前の未来に向けて、世界でも展開していきたい」と夢を語った。
(写真提供/ミクシィ)