Luup(ループ、東京・渋谷)は2021年4月15日、電動キックボードのシェアリングサービスの実証実験を4月下旬に開始すると発表した。ポイントは、ヘルメットなしで乗れること。すでに電動キックボードが普及する諸外国の利用形態に一歩近づいた形だ。電動キックボードのシェアリングサービスを通じて、Luupはどんなモビリティの未来を描いているのだろうか。
電車やバスに乗るほどではないが、歩くとちょっと遠い。そんな「ラストワンマイル」の移動手段として、世界各国で普及している電動キックボードのシェアリングサービス。日本国内では、独Wind Mobilityが2019年7月に公道でのサービスを開始したが撤退。20年8月からは、Curious Edge(キュリオス エッジ、東京・千代田)が運営する「movicle(モビクル)」が東京都港区でサービスを展開しているほか、数社が参入を目指している。
海外のシェアリングサービスとの大きな違いが、電動キックボードの位置づけだ。海外では運転免許やヘルメット不要で乗れる地域が多い。ところが日本では、電動キックボードは50cc以下の原付きバイク(第一種原動機付き自転車)という扱いとなる。そのため、原付き免許や普通自動車免許といった免許を携帯し、ヘルメットをかぶって乗る必要がある。もちろん歩道走行は不可で、自転車専用通行帯(自転車レーン)の通行も交通違反となる。自転車と比べて格段に厳しいルールが、日本で電動キックボードがなかなか普及しない一因になってきた。
特例制度で「ヘルメットは任意」を実現
そんな中、Luupは21年4月下旬から「ヘルメットは任意」の電動キックボードシェアリングサービスを開始すると発表した。経済産業省の新事業特例制度を利用した実証実験という位置づけだ。今回の実証実験に限り、電動キックボードを原付きではなく農耕トラクターなどと同じ「小型特殊自動車」と位置づけることで、「ヘルメットの着用義務なし」を実現した。法制度自体が変わったわけではなく、あくまで解釈の変更で対応した特別なケースだ。
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