ムーブメントにするための産官連携

 一方、アルペンスポーツマーケティング部プランニンググループの斉藤胤人マネジャーは、ワークティブプロジェクトの意義について、「ライフスタイルが多様化し、スポーツの捉え方も変化して、自宅でのスポーツが日常の一部に溶け込んでいるように感じている。コロナ禍で外出や活動が制限される中、日常生活の中で体を動かす必要性を多くの方が感じているのでは」と指摘。同社のスローガン「スポーツをもっと身近に」とワークティブという働き方が一致することから、プロジェクトに参画したと話す。「21年2月のザ シティ発売後、多くのお客様から反響を得ており、ワークティブの広がりを感じる」と言い、今後さらに拡販していく考えを示した。

21年版のザ シティもスポーツデポ・アルペン限定販売
21年版のザ シティもスポーツデポ・アルペン限定販売

 前川氏によると、ニューバランスジャパンが「渋谷」に着目したのは、先進企業が多く集まる情報の発信拠点であり、様々な人々が集うカルチャーの発信拠点でもある点だという。「ワークティブをムーブメントとして広げていくうえで、個人や一企業としてではなく、フレキシブルかつチャレンジングな地域行政との連携が必須。それができるのが渋谷だと考えた」(前川氏)と話す。

 一方、渋谷の未来像などをデザインするために発足した産学官民連携組織である渋谷未来デザインとしても、「コロナ禍での働き方」は主要なテーマ。渋谷未来デザインの長田新子理事は「スタートアップやベンチャー企業含めて、日々ビジネスにチャレンジする方々にパフォーマンスを発揮していただける環境の整備を継続的に推進したい。自分らしく働いてほしいという思いから、このプロジェクトに参画した」と説明した。

 「今後は渋谷エリアを拠点としてモニター企業や団体を募集したり、渋谷未来デザインが主催するフェスイベント『Social Innovation Week』などの場でより深く検証したりといったことを考えている。これらを基に、実践につながるワークティブという働き方の提案強化を図る予定だ」(前川氏)

働き方と合わせたアパレル提案で拡販

 21年3月29日に行われた発表会で、前川氏は「仕事のシーンで使える、快適で動きやすいプロダクトの提案を行い、働く人々の健康推進に寄与していきたい」と話した。背景にはやはり、コロナ禍で在宅・リモートワークが増えたことにより、コロナ禍以前よりアパレル市場が縮小していることがあるだろう。

 矢野経済研究所が行った国内アパレル市場に関する調査(20年)によれば、19年の国内アパレル総小売市場規模は前年比99.3%の9兆1732億円と、コロナ禍の影響が少ない段階ですでにマイナス推移していた。それがコロナ禍で外出控えや消費の冷え込みが起き、さらにインバウンドの低迷によって、大幅な市場規模の縮小も予測されている。

 その中で、働き方そのものと合わせてアパレルを提案することは、ザ シティというコレクションそのものの価値を高め、拡販にもつなげられる。

 ザ シティは当初、30~40代の男性にフォーカスしていたが、ワークティブを広めるとともに、20代など若い世代へもアプローチしていくという。

ザ シティは、パンツやジャケットまで、シワになりづらい特殊な合成繊維を採用しており、着たまま汗をかいても気にせず洗濯機で洗えるのも特徴
ザ シティは、パンツやジャケットまで、シワになりづらい特殊な合成繊維を採用しており、着たまま汗をかいても気にせず洗濯機で洗えるのも特徴