焼き肉チェーン「焼肉 平城苑」などの焼き肉レストラン事業を展開する平城苑(東京・足立)は2021年4月10日、和牛専門のハンバーガー店「Wagyu Burger(ワギュウバーガー)」を東京・日本橋の「コレド室町テラス」に出店した。コロナ禍で減退した和牛の消費を促進するため、他業種展開を本格化する。
A5ランク和牛100%をうたうWagyu Burgerは、平城苑秘伝のたれを隠し味に使った「THE和牛バーガー」(1430円、税込み、以下同)を看板メニューとする"ワンランク上"の和牛専門ハンバーガー店。ファストフードとしてのハンバーガーとは一線を画し、和牛料理の1つとしてハンバーガーを提供するのがWagyu Burgerのコンセプトだ。
同店のハンバーガー調理の監修は、グルメバーガーとして人気のハンバーガー店「GOLDEN BROWN(ゴールデンブラウン)」のオーナーシェフ・久富信矢氏。バンズは全国に約30店舗を展開するブーランジェリー「MAISON KAYSER(メゾンカイザー)」が開発したものだ。またドリンクにもこだわり、和カフェブランド「nana's green tea(ナナズグリーンティー)」が監修した抹茶・ほうじ茶ドリンクなどを用意している。
Wagyu Burgerのオープンに当たっては、持ち帰り需要が2割程度あるとみて、約8600万人の利用者がいるLINEの「モバイルオーダー(スマートフォンを使った事前注文システム)」を導入。オンラインフード注文・配達プラットフォームのUber Eats(ウーバーイーツ)とも提携し、デリバリーにも対応した。
Wagyu Burgerの想定客単価は1500~2000円で、コレド室町テラスの買い物客や周辺のオフィスワーカーをターゲットに平日150食、休日200食を見込んでいる。
2021年1月末で営業を終了したハンバーガー店「AURORA Burger(オーロラバーガー)」の店舗があった場所での新規オープンとあって、平城苑の近藤昭人専務は「前の店が米国産のブランド牛を使っていたので、その逆を行って和牛バーガーにした」と笑うが、新業態の本当の狙いは和牛消費の促進だ。
新型コロナウイルス感染症拡大による飲食店の自粛営業が続き、20年春以降は和牛の需要が減退しているという。そんななかで創業50周年を迎えた平城苑は、年間約500頭の仕入れ量を維持する方針を打ち出し、「50周年感謝還元キャンペーン」として「和牛生産者応援フェア」「和牛消費応援フェア」などと銘打った数々の施策で和牛の消費を促してきた。
平城苑が20年11月に出店した「和牛放題の殿堂 秋葉原 肉屋横丁」(東京・千代田)も、和牛消費促進の一環だと近藤専務。こちらは焼き肉、しゃぶしゃぶを提供する店舗で、焼き肉の「和牛まみれコース」が5980円、しゃぶしゃぶの「和牛しゃぶしゃぶコース」が4680円という価格設定ながら、A5ランクの和牛が食べ放題(100分)ということもあって連日盛況だという。
平城苑が和牛に特化したさまざまな業態を展開できるのは、和牛を「一頭買い」しているからだと近藤専務は説明する。「Wagyu Burgerが使用しているのは、主に煮込み用に使われてきたスネ肉などの部位。だからこそ和牛100%のハンバーガーをこの価格帯で提供できる」(近藤専務)
実は平城苑では、同じコレド室町テラス内に「東京焼肉一頭や」という高級焼き肉店を出店しており、その経験からコレド室町テラスの客層や混雑する時間帯などを推定したとのこと。価格やボリューム感は他の和牛バーガー店を参考に、同等以上のレベルにしたという。「商圏、立地、ターゲット層が合えば2号店も出したい」と近藤専務は意欲を見せる。
(写真提供/平城苑)