新型コロナウイルス感染症の影響により、ソーシャルディスタンスを確保しながら移動できる手段として自転車が注目されている。人気自体はコロナ禍の影響は少なく、2019年の需要が20年も堅調に推移。その勢いは21年も続いている。今後の市場動向について探ってみた。
健康増進・レジャーアイテムとして好調の自転車
1997年「京都議定書」によって二酸化炭素削減案が掲げられた頃はエコな乗り物として、2006年に「メタボリックシンドローム(メタボ)」が新語・流行語大賞のトップテンにノミネートされて以降は特に健康増進アイテムとして、そして11年の東日本大震災時には人力の移動や節電手段として、自転車は注目を浴び、販売台数を伸ばしてきた。
自転車国内販売動向を調査する自転車産業振興協会によると、数年前から国内の自転車生産台数や輸入台数は増加傾向にあり、新型コロナウイルス感染症の拡大が影響した21年に入っても好調な売り上げは続いているという。
売り上げが好調な理由は、単に「自転車がソーシャルディスタンスを確保しやすい乗り物だから」だけではない。
電動アシスト自転車の活用拡大によって幅広い年齢層が自転車を使い、健康増進やレジャーを楽しむなどの動きが継続していることも好調の一因だ。脱炭素社会実現に向けて、世界の様々な国や日本各地でシェアサイクルが普及してきているのに加え、自転車走行帯の整備なども進み、活用の場が広がっていることも人気が続いている理由に挙げられる。
こうしたことから、アフターコロナの社会でも、自転車市場の成長が期待される。
台数減でも1台当たりの単価が上昇
経済産業省「生産動態統計」によれば、20年の完成自転車の出荷数量は162万885台で出荷金額は770億878万8000円。同19年は162万7322台、732億9443万6000円。つまり20年は前年に比べ出荷台数は約6500台減ったが、逆に金額が37億1435万2000円増えたことになる。全体の出荷金額が増加したのは、軽快車(一般車。シティーサイクル、ママチャリなどともいわれる)の出荷台数と金額が落ちているのに対し、1台の単価が比較的高い電動アシスト自転車の出荷台数、金額が増えているためだ。
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