ユニクロは同社のサステナビリティーに関するメッセージや活動を世界に伝えるグローバルサステナビリティアンバサダーに「ドラえもん」を起用すると発表した。いつもの青色から緑色に変わり「ドラえもん サステナモード」として「服のチカラで、未来を変える。」とメッセージを発信する。
地球・社会・人を重点領域に
「複雑に捉えられがちなサステナビリティーという言葉や活動を、どの世代にも分かりやすく伝えられるドラえもんの利点を生かして発信したい」。2021年3月22日の「ユニクロ グローバルサステナビリティアンバサダー発表会」に登壇したファーストリテイリング取締役グループ上席執行役員の柳井康治氏は、世界的に幅広い世代から支持されるドラえもんを同社のサステナビリティー活動のアイコンとして活用する狙いをこう説明した。
また、柳井氏は「地球・社会・人」という同社のサステナビリティー活動の重点領域についてそれぞれの目標を紹介した。「地球」領域では、50年までにCO2(二酸化炭素)排出量ゼロや、再生プラスチックから製造した「ドライEXポロシャツ」など主要原材料のサステナブルな調達、製造工程での水の使用量を最大99%削減する「BLUE CYCLE JEANS」といった資源の有効活用、などの目標を掲げ、「地球への負荷を減らす」とする。
「社会」領域では、次世代教育プログラムで全国の学校に出張し、リサイクルから難民へ衣料が届くまでの授業をしたり、社会的弱者へ衣料を支援したり、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とのパートナーシップで難民支援をしたり、年間200人に就業を提供したりすることで「社会の持続的発展に寄与」する。
「人」領域では、全国13万人以上の同社従業員の就業環境を整え、さらにサプライチェーン上の安全や健全な労働環境もパートナーと共に構築する。縫製工場で働く女性のキャリアの育成にも力を入れるため、国連女性機関(UN Woman)や 国際労働機関(ILO)と共に活動し、「人がいきいきと働ける環境をつくる」。
ユニクロは01年に社会貢献室を設置するとともに、障がい者雇用や難民への衣料支援など、本格的にサステナビリティー活動を開始した。06年には、全商品を対象にしたリサイクル活動をスタート。これはその後、店舗で回収した服を原料に新しい服を作る取り組み「RE.UNIQLO」につながっていく。11年にはUNHCRとパートナーシップを構築し難民雇用にも乗り出している。
21年2月には、こうした20年間にわたる同社のサステナビリティー活動と今後の取り組みをまとめた「サステナビリティレポート2021」を発表(関連記事:「ファストリ柳井氏が「サステナビリティ」宣言 企業が先に行動を」)。これまでは日本語と英語のみの表記だったのを、事業展開する25カ国・地域の13言語で発行し、グローバルでの発信を強化した。
柳井氏は、サステナブルな企業であることを発信することが世界における競争力に与えるインパクトについて、「環境意識を持たない企業、ブランドは選んでいただけない時代になっている」と語る。
「無駄なものを作らず、必要なものだけ、必要な量だけを販売するというビジネスモデルに変わっていかなければいけない。ユニクロはファストファッションではなく、長く使える服を作っているという自負がある。大量廃棄につながりにくいブランドの性質を持っており、着終わった後もRE.UNIQLOを通じて社会に還元されていくことを目指す」(柳井氏)
ドラえもん同様、ロゴも新しく緑色のサステナビリティー専用ロゴを追加し、サステナビリティー活動のPR時に活用する。メッセージは「THE POWER OF CLOTHING」とし、「服のチカラで、未来を変える。」という思いを世界に発信する。

(写真提供/ファーストリテイリング)