東京都が主催し、公益財団法人 日本デザイン振興会が企画・運営を行うイベント「2020年度 東京ビジネスデザインアワード」の最終プレゼンテーションと表彰式が東京・六本木の東京ミッドタウンで行われた。事前審査で選ばれた東京都内にある9社の中小企業が、デザイナーと一緒に新しいビジネスアイデアやデザインを競った。
2021年2月9日に行われた9回目の今回はオンラインによる実施だった。東京都内の中小企業が出したテーマにデザイナーが応え、打ち出した新しいビジネスアイデアやデザインが審査された。最優秀賞は、千葉印刷(東京・渋谷)によるテーマ「42億色を鮮やかに表現する“オンデマンド印刷技術”」に対し、「オンデマンド印刷の新しいカタチ−視覚と触覚で楽しむプロダクト」を提案したSANAGI design studio(東京・練馬)のデザイナー、井下恭介氏と増谷誠志郎氏が獲得した。千葉印刷独自のメタリック印刷技術を生かした「さかなかるた」を提案。リアルなうろこのきらめきが目を引くデザインで、大人も子供も楽しめるコミュニケーションツールを目指した。魚以外にも応用できるだろう。
優秀賞には2件が選ばれ、うち1件は革小物製品などを手掛ける東屋(東京・墨田)のテーマ「精密な柄合わせと職人芸が光る“革製品製造技術”」に応募したオクノテ(東京・墨田)のプランナー、清水覚氏による「東屋(azumaya)ビジネスデザインプロジェクト」が受賞。マーケティングやブランディング、ウェブなども見直し、企業のビジョンと規模に合ったブランド観点の課題解決と既存商品のリブランディングを提案した。今後、市場が縮小する中、新しい事業展開が期待されそうだ。
もう1件は、日本ラベル(東京・板橋)のテーマ「確かな課題解決力で培われた“シール・ラベル印刷加工技術”」で、SANAGI design studioの井下氏と増谷氏が「特殊ラベル印刷技術を用いた新しい遊び体験の提案」を発表し、最優秀賞とのダブル受賞となった。BtoBを中心に事業展開していたがBtoCにも挑戦するため、ブラックライトを当てて楽しむ「化石発見シール」を提案した。自宅で探検家の気分になりそう。巣ごもり需要をつかめば今後、大きな需要が生まれるだろう。
中小企業にこそデザインの力を
今回は20年6月に中小企業からのテーマを締め切り、9月に9つのテーマを発表した。デザイナーからの提案を受け付けたところ170件が寄せられ、このうち7件を選出。デザイナーは中小企業との意見交換などを経て、21年2月9日の最終プレゼンに臨んだ。
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