終息の兆しが見えないコロナ禍の中で、危機感が高まっているアパレル業界。近年、商品の単価下落などによる経営悪化に苦しんでいたところに、新型コロナウイルス感染症拡大を防ぐための外出自粛が追い打ちをかけ、今や“総崩れ”状態だ。そんな中、スポーツ用具メーカーのアシックスがウィメンズファッションに参入し、注目されている。

サステナブルを重視した女性向けライフスタイルブランド「UNOHA(ウノハ)」の商品をECサイトおよび期間限定ポップアップストアで販売開始。ラウンジウエア、バッグ、シューズなどをそろえる
サステナブルを重視した女性向けライフスタイルブランド「UNOHA(ウノハ)」の商品をECサイトおよび期間限定ポップアップストアで販売開始。ラウンジウエア、バッグ、シューズなどをそろえる
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 アシックスは2021年3月5日より、サステナブルを重視した女性向けライフスタイルブランド「UNOHA(ウノハ)」の商品をECサイトおよび期間限定ポップアップストアで販売開始。21年春夏コレクションとして、アクティブな機能性ウエアや幅広いシーンで着用できるラウンジウエア、バッグ、シューズなどをそろえる。価格帯は1万円前後。21年春夏コレクションでは、シューズは8500~1万2000円、アパレルは5300円~1万8000円、バッグは3000~1万5000円。

製品約6割にサステナブルな素材使用

 プロダクトのおよそ6割に、サステナブルな素材を使用し、パッケージもリサイクルペーパーをはじめとしたエコ素材を採用している。今後、ユニセックスラインの立ち上げや海外進出も視野に入れ、5年後に50億円の売り上げを目指す。

 21年3月9日に行われた記者発表会で広田康人社長は、「人々が安心して安全にスポーツを楽しむには、持続可能な地球環境と社会環境が必要不可欠。アシックスが掲げるサステナビリティー・ビジョンに基づき、UNOHAを人々の日常に寄り添うブランドとして育てていきたい」と抱負を語った。

「誰もが一生涯、スポーツを通じて心身ともに健康でい続けられる社会の実現に貢献していきたい」と語る広田康人社長
「誰もが一生涯、スポーツを通じて心身ともに健康でい続けられる社会の実現に貢献していきたい」と語る広田康人社長
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 UNOHAの企画開発に携わったのは、アシックスがダイバーシティ&インクルージョンの取り組みの一環として発足させた、女性社員中心のプロジェクトチーム「Women's Creative Studio(ウィメンズクリエイティブスタジオ)」。プロジェクトを立ち上げた千田伸二常務執行役員は、「男性社員が多いアシックスで、女性社員を中心としたプロジェクトチームを作るのは、私の(アシックスでの)35年のキャリアで初めてのチャレンジ。大変緊張感を持って進めたが、新しい気づきも多く、たくさんの収穫を得ることができた」と振り返った。

「今後、ユニセックスラインの立ち上げや海外進出も視野に入れている」と語る千田伸二常務執行役員
「今後、ユニセックスラインの立ち上げや海外進出も視野に入れている」と語る千田伸二常務執行役員
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日本初の環境認証レザーバッグも発売

 UNOHAというブランド名は、枝を空洞にすることでエネルギーをうまくコントロールしバランスをとる植物「卯の花」に由来している。UNOHAのウィメンズクリエイティブスタジオ・マネージャーの三浦亜友氏は、「スポーツのシーンだけではなく、一人ひとりのライフスタイルに寄り添い、“ココロとカラダ”のバランスを整えるお手伝いができればという思いからブランドを立ち上げるにいたった」とブランドコンセプトを語った。

 商品紹介では、日本で初めてレザーワーキンググループ認証(環境パフォーマンスを評価し基準を満たしたなめし加工業者に与えられる認証)を受けたレザートート、レザーの端材を活用したリサイクルレザーやペットボトルをリサイクルしたメッシュ素材を使用したシューズなど、環境に配慮した製品作りであることを強調した。

環境に配慮したレザー素材使用のトートバッグを手にするウィメンズクリエイティブスタジオ・マネージャーの三浦亜友氏
環境に配慮したレザー素材使用のトートバッグを手にするウィメンズクリエイティブスタジオ・マネージャーの三浦亜友氏
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ウエスト周りでクロップしたデザインによりスタイルアップも期待できるトップスや、立体的なパターンにより、心地よいフィット感と美しいシルエットを実現しているレギンスなど、着映えするデザインも注力ポイント
ウエスト周りでクロップしたデザインによりスタイルアップも期待できるトップスや、立体的なパターンにより、心地よいフィット感と美しいシルエットを実現しているレギンスなど、着映えするデザインも注力ポイント
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 同ブランドは3月16日~4月5日まで渋谷スクランブルスクエア 2F Space2で期間限定のポップアップストアを出店。その後も年内はポップアップストアでの展開を予定している。

21年3月5日~13日までの期間限定で原宿キャットストリートに出店されたポップアップストア第1号
21年3月5日~13日までの期間限定で原宿キャットストリートに出店されたポップアップストア第1号
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21年春夏コレクションは、緑味を含む明るい青色の千草をシーズナルカラーとして、日本で親しまれてきたぬくもりを感じる柔らかい色合いで展開している
21年春夏コレクションは、緑味を含む明るい青色の千草をシーズナルカラーとして、日本で親しまれてきたぬくもりを感じる柔らかい色合いで展開している
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女性の多面的な日常への“寄り添い”

 記者発表で何度も繰り返された「人々の日常に寄り添うブランド」という表現を体現しているのが、ビッグシルエットのワンピース「EASY DRESS」だ。その名の通り、上からバサッと羽織るだけでサマになり、着心地が楽。ビッグシルエットでもだらしなく見えないので、多様なシーンで着用できる。「ジムで汗を流した後に、タンクトップとレギンスの上から羽織っていただくこともできる」(アシックス)というから、まさに「EASY DRESS」だ。

EASY DRESSは1万9800円。ネックラインのデザインが前後で違うので、2WAYで着ることができる
EASY DRESSは1万9800円。ネックラインのデザインが前後で違うので、2WAYで着ることができる
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記者発表で、「オンとオフのバランス」についてトークセッションをした河北麻友子氏(中央)と、ぺこぱ
記者発表で、「オンとオフのバランス」についてトークセッションをした河北麻友子氏(中央)と、ぺこぱ
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 記者発表のゲストとしてこのドレスを着用して登場したタレントの河北麻友子氏も、「生地がしっかりしていて、見せたくないボディーのラインを拾わないから、きれいに見える」と高評価。またリネンのトートはひもを調節することでショルダーバッグとしてもハンドバッグとしても使え、内側のポーチはジムの後にウエアを入れて、そのまま洗濯機に入れられるなど、“女性の生活に寄り添った”工夫が感じられた。

 環境問題は生活に密着しているテーマのため、一度関心を持ち始めると、あらゆることが気になってきて購買行動に深くかかわってくる。女性視点を生かした使い勝手のよさをフックに、より環境意識の高い女性から、サステナブル消費への道筋をつけるのがアシックスの狙いと見られる。

(写真提供/アシックス)