日本でDX(デジタルトランスフォーメーション)の効果を高めるにはどうすればいいのか。台湾デジタル担当大臣のオードリー・タン氏は「DXが機能していくにはデジタルの発達だけでは不十分」と話す。台湾でDXが進展した要因、そして今の日本に足りないものとは。
DXの目的は民主的な社会を実現すること
台湾デジタル担当大臣のオードリー・タン氏は2021年3月11日、「Sansan Evolution Week 2021」で「How to accelerate DX(DXを加速させていく方法)」と題する基調講演を行った。同氏は16年、台湾のデジタル担当の政務委員(閣僚)に35歳という史上最年少の若さで就任。新型コロナウイルスの早期感染拡大防止に貢献するなど、目覚ましい実績を上げてきた。なお、講演のモデレーターは一橋大学名誉教授の石倉洋子氏が務めた。
講演の冒頭で、タン氏は「DXは人をつなげていくもの。機械をつなげていくITと混同してはいけない」とその本質を強調した。
「DXの正しい道のりは、デジタル化によって人々が意思表明できる機会を増やし、社会への参画を促すこと。多くの人々の意見が通る民主的な社会を目指していくべきだ。DXが浸透すれば、台湾のように成⻑が見込める社会になるだろう」(タン氏)
DXが浸透して民主的な社会を実現させるためには「多くの人々が社会に参加できるよう、インクルージョン(包括)していくことが重要」とタン氏は述べる。
この記事は会員限定(無料)です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー