米国を中心に世界各国へ進出しているECモール大手「eBay(イーベイ)」への出店を通じた、日本発の「越境EC」ビジネスが拡大している。定番の売れ筋商品であるトレーディングカードやキャラクター商品だけでなく、ここへきて売上高を急激に伸ばしているのが、イーベイ・ジャパン(東京・渋谷)がマーケティングを支援する「楽器」である。越境ECで日本発の楽器が売れる理由を追った。
日本のセラー(売り手)がeBayを経由して海外のバイヤー(買い手)にものを売る日本発の越境ECビジネス──。2020年には、この越境ECビジネスのうち、楽器と関連商品を対象にした「Musical Instruments」カテゴリーの売上高が、前年比19%も増加した。中でも、ギターの音に変化を付けるエフェクターや音響機器など「プロオーディオ&エキップメント」としてくくられる領域の伸びが大きい。20年第4・四半期(20年10~12月)には、前年同期比で45%も増えている。
これまでも、トレーディングカードやキャラクター商品、それに女性向け衣服やアクセサリー、時計などが日本発の商品として、eBayではよく売れていた。20年になってからの楽器の急激な売れ行き増は、異例と言ってよい。
米国の買い手が日本の売り手の丁寧さを認識
なぜ日本発の楽器の売れ行きが急に伸び始めたのか──。それも「YAMAHA」や「ROLAND」といったメーカーの日本製ギターや音響機器だけでなく、「Fender」や「Gibson」といった外国製の中古ギターまでもだ。そこには2つの理由がある。楽器、それも“日本発”を欲しがる買い手の事情と、そうした楽器を出品・販売する日本の売り手を後押しするイーベイ・ジャパンの取り組みである。
イーベイ・ジャパンが扱う越境ECビジネスの約60%は北米向けである。そして北米では、「コロナ禍のおかげで“巣ごもり”を余儀なくされたユーザーの多くが、空いた時間を趣味などの時間に振り向けた」(イーベイ・ジャパン カテゴリーマネージメント部マルチカテゴリーマネージャーの市田良介氏)。その結果、趣味として演奏を楽しもうと考えたユーザーの多くが、手軽に弾けそうなギターなどの楽器をeBay上で購入し始め、それが楽器の売れ行き急増の一因になっているというわけだ。
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