商業施設では無人販売や展示にも活用

 一方、商業施設との連携によるサービスを模索するのが、20年12月にスタートした小田急線本厚木駅直結の複合商業施設「本厚木ミロード」での実証実験だ。

 これは施設内の3店舗の商品をロッカーで受け取れるというもので、例えば購入商品の裾上げを依頼した場合、従来なら自宅に配送してもらうか、再来店して受け取る必要があったが、スマートコインロッカーを利用すれば、施設の営業時間に縛られることなく、早朝4時から24時まで商品を受け取ることが可能。

 また従来のQRコード型受け取りロッカーと異なり、荷物を取り出した人のログが残るので、第三者の不正利用による盗難が防げるという。なお、店舗からの受け取りの場合、ユーザーはロッカー使用料の支払いが不要だ。

小田急線本厚木駅直結の複合商業施設「本厚木ミロード」に2020年12月4日から設置されているスマートコインロッカー。施設内の3店舗の商品をロッカーで受け取れる
小田急線本厚木駅直結の複合商業施設「本厚木ミロード」に2020年12月4日から設置されているスマートコインロッカー。施設内の3店舗の商品をロッカーで受け取れる

 さらに三菱地所と提携した「商品の無人販売」を、21年1月8~29日に実施。多機能型市場有楽町「micro FOOD & IDEA MARKET」(東京・千代田)店内に、中が見える透明なアクリルボックス製のスマートコインロッカーを設置。ロッカーの中に置かれた商品を外から見て、欲しいと思ったらロッカーから直接購入できるようにした。非対面・非接触でのショッピングが可能となるため、コロナ禍においては「売る側、買う側ともにメリットを感じてもらえるのでは」(田中氏)と今後のPR戦略を練っている。

 同じロッカーではアート作品の展示も実施。銀座の画廊などでは1週間の展示に30万円かかることも多いというが、1週間5000円で展示可能にした。「今のアーティストはインスタグラムで作品をPRしている人が多い。駅や商業施設という好立地のスペースを、低価格で借りられ、手軽にPRできるサービスは、広がる可能性が高い」(田中氏)と期待を寄せている。

有楽町「micro FOOD & IDEA MARKET」内に設置された透明なアクリルボックス製のスマートコインロッカー
有楽町「micro FOOD & IDEA MARKET」内に設置された透明なアクリルボックス製のスマートコインロッカー

西武鉄道の駅での駅配サービスは好調

 西武ホールディングスと提携し、西武鉄道の駅でスマートコインロッカーを使った駅配サービス「BOPISTA(ボピスタ)」はECサイトからのデリバリー利用も視野に入れた実証実験だ。専用ウェブサイトで注文したお薦め商品を、西武鉄道の駅構内に設置されるスマートコインロッカーを利用し、自分の好きなタイミングで受け取ることができる。21年2月8日から、西武池袋本店で、スイーツ7ブランド13種類、コスメギフト3ブランド4種類を対象商品としてトライアル導入中だ。

 専用ウェブサイトに出店したそごう・西武の広報担当者によると、女性の利用が約6割、受取場所は池袋駅が約6割を占めた。ただしトライアル導入中にバレンタイン催事「チョコレートパラダイス」を開催していた影響か、バレンタイン直前は所沢駅と富士見台駅の女性利用客が急増。昼休みごろに注文して帰宅時間に受け取るケースと、夕方から夜に注文して明朝に受け取るケースが多かったとのこと。またバレンタインならではだったのが、購入者がチョコレートを渡したい相手とロッカーの鍵を共有し、スマートコインロッカーでの受け取りの体験ごとプレゼントするというケース。「当初想定していなかったようなご利用で、今後の可能性を感じている」(そごう・西武の広報担当者)。

専用ウェブサイトで注文したお薦め商品を、最寄りの西武鉄道の駅構内に設置されたスマートコインロッカーで受け取ることができる
専用ウェブサイトで注文したお薦め商品を、最寄りの西武鉄道の駅構内に設置されたスマートコインロッカーで受け取ることができる
ボピスタの取扱商品例。「TOKYOチューリップローズ/チューリップローズ12個入り」2268円(税込み)
ボピスタの取扱商品例。「TOKYOチューリップローズ/チューリップローズ12個入り」2268円(税込み)

ECでの活用、再配達問題解決にも

 スマートコインロッカーの起点は、コインロッカー不足という課題解決に向けたものだったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、密を避けた非接触・非対面の購買を求める声に応えるものとして、あるいは、宅配物の再配達問題に挑むものとしても注目される。

 ECサイト利用率はコロナ禍以前から上昇しており、経済産業省による「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」によれば2019年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、19.4兆円(前年18.0兆円、前年比7.65%増)、BtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は353.0兆円(前年344.2兆円、前年比2.5%増)に拡大。コロナ禍で非接触型の買い物需要が高まっているとすると、20年はさらに市場が拡大し、宅配利用率も上昇していることが考えられる。これは同時に再配達の増加が懸念されるもとにもなっており、物流各社が解決に向けてさまざまな提案をしている最中だ。

 スマートコインロッカーも今後、設置数が増えれば、再配達削減に貢献するのではないかと考えられる。

(写真提供/SPACER)