キリンビールは2021年3月16日に「麒麟 発酵レモンサワー」を発売する。世界で初めて、酵母で発酵させたレモン果汁を使った香料無添加の缶入りレモンサワー。RTD(レディ・トゥ・ドリンク)商品開発、ビール商品開発、未来飲料の3研究所が合同で開発した。20年秋にスタートした高付加価値ブランドの第2弾となる。

2021年3月16日に発売する「麒麟 発酵レモンサワー」。想定小売価格は350ミリリットル缶が174円、500ミリリットル缶が240円(いずれも税別)
2021年3月16日に発売する「麒麟 発酵レモンサワー」。想定小売価格は350ミリリットル缶が174円、500ミリリットル缶が240円(いずれも税別)

 「麒麟 発酵レモンサワー」は、レモン果汁を酵母発酵させることで生まれる55種の香気成分を生かし、これまでレモン味の風味作りに不可欠だった香料・酸味・甘味料を一切使わないことで「自然なおいしさを実現した」(キリンビール)。55種の香気成分には、濃厚さやまろやかさ、華やかさなどが含まれる。同社によると、発酵レモン果汁を用いた香料無添加の缶入りレモンサワーは世界で初めてだという。

 2021年2月25日に行ったRTD事業方針説明会に登壇したマーケティング部RTDカテゴリー戦略担当の嶋村麻里氏は、「キリンの114年の発酵技術が生んだ商品。お酒が好きな40~50代男女をターゲットに、100年残るブランドに育てたい」と、意気込みを見せた。

 嶋村氏によると、同社ではチューハイ製品に発酵技術を生かしたい思いを20年以上抱きながらも、なかなか結実せずにいたという。麒麟 発酵レモンサワーの開発には、RTD商品開発研究所に加え、ビール商品開発研究所、ほぼすべての酒類と清涼飲料の研究開発を行う飲料未来研究所の3チームが合同で携わった。3つの研究所が1つの製品を共同開発するのは同社で初めてだ。

 RTD商品開発研究所が原料の選別やブレンドなど味の根幹を担い、飲料未来研究所が持つ発酵技術を駆使し、ビール研究所が発酵タンクを用いてプロトタイプを作製した。

 RTDに対しては独特なアルコール感を嫌う人が多く、キリンビールがビール類とRTDを併飲する20~50代男女118人を対象に実施した調査でも、約8割が「人工的である」と答えた。ところが、麒麟 発酵レモンサワーを他社製品と比較した味覚調査では、人工感の無さを挙げた割合が最も高く、「自然な味わい」「レモン感」もトップで、キリンビールのRTDで史上最高の味覚好意度を獲得した。

 レモン果汁を酵母発酵することでわずかな酸味成分や糖分とともに生まれる豊富な香気成分を、アルコールと一緒に取り込むことで、アルコール感がやわらぐという。

 キリンビールは20年秋に、「自然とつくる、人に心地いいお酒」をコンセプトとした、「おいしさ」と「健康感」を両立する高付加価値RTDカテゴリーを立ち上げた。その第1弾として発売した「麹レモンサワー」の20年の販売実績は出荷数量112万ケースで、目標値の約3倍を達成した。発酵素材の米麹を用いたことで、ブランドイメージとして「健康に配慮できそう」という健康感を抱く人が多いという。

 また、麹レモンサワー購入者は非購入者に比べて平均購入単価が高く、購入本数も多い。つまり、健康感とおいしさを求め高付加価値のRTD商品を購入する人はロイヤル化しやすいといえる。

 ポテンシャルの高い高付加価値カテゴリーに、競合の多いレモンフレーバーをあえて投入するのは、その成長度の高さゆえ。RTDのフレーバー別販売容量で2年前には全体の32%程度だったレモンフレーバーは、20年には44%を占めるまでに拡大し、同年の市場規模は前年比で33%も成長した。コロナ禍における食中酒需要の高まりで人気の衰えないレモンフレーバーで、新規性をアピールすることで、このカテゴリーのさらなる活性化を狙う。麒麟 発酵レモンサワーを第2弾として投入し、約800万人の新規流入を見込む。

RTD全体で市場上回る

 キリンビールの20年のRTDの販売実績は前年比12%増と、市場を超える伸長を見せた。育成を続けてきた「氷結」「麒麟特製サワー」「本搾り」の堅調な推移に加え、新ブランドの「麹レモンサワー」のヒットも後押しした。

 氷結は、20年秋に発売し、予定の2.8倍の売り上げを見せた「無糖レモン」のヒットもあり、販売実績は前年比1.3%増の約4088万ケースで2年連続の前年超えだった。

 麒麟特製サワーは、春のリブランディングでV字回復を果たし、とりわけ「麒麟特製レモンサワー」の販売実績が前年の3倍と好調だった。ブランド全体で前年比41.4%増の約1319万ケースを売り上げた。

 本搾りの販売実績は前年比22.6%増の約1469万ケースで、9年連続の2桁成長を達成した。

 21年のRTD全体の販売目標は、前年比4.9%増の約7500万ケース。市場全体としては5~10%程度の成長と見込んでおり、目標がそれを若干下回るのは「20年の販売実績が想定以上に良く、その上振れを勘案した結果」(常務執行役員マーケティング部長の山形光晴氏)としている。

2021年2月25日のRTD事業方針説明会に登壇したマーケティング部RTDカテゴリー戦略担当の嶋村麻里氏(左)と、常務執行役員マーケティング部長の山形光晴氏
2021年2月25日のRTD事業方針説明会に登壇したマーケティング部RTDカテゴリー戦略担当の嶋村麻里氏(左)と、常務執行役員マーケティング部長の山形光晴氏

(写真提供/キリンビール)