ブランディングのコンサルティング事業を手掛けるインターブランドジャパン(東京・渋谷)は2021年2月25日、日本ブランドの価値評価ランキング「Best Japan Brands 2021」を発表した。新型コロナウイルス感染症拡大により生活様式が一変したこの1年は、過去初めて全自動車ブランドの価値が減少。一方、ゲーム会社からコミュニケーションインフラへと領域を広げた任天堂などが大きくブランド価値を高めた。
インターブランドジャパンはブランドを「常に変化する事業資産である」と定義しており、企業の収益を生み出す成長ドライバーと考えている。そのため、ランキングではブランドに対する好意度や認知度などに加え、収益貢献を踏まえた独自のロジックでブランド価値を金額で算出している。
算出のポイントは3つ。1つ目は財務分析で、将来的な収益性の高さを重視する。2つ目がブランドの収益貢献度だ。ブランドが将来の収益に与える影響力で評価する。3つ目は「ブランド強度」と呼ぶ指標。将来的にブランドが収益に与える確実性を評価する。
ブランド強度は3カテゴリーで算出する。社内指標の「リーダーシップ」はブランドの目指す方向性の定義や、それを実行する組織の力で評価する。社外指標「エンゲージメント」はブランドの独自性、ブランド体験の一貫性、顧客を巻き込む共創性が基準となる。最後は関与度を表す「レレバンス」でメディアを通じた存在感や影響力、愛着度などで評価する。こうした算出基準を踏まえ、ランキングを見ていこう。
1位はトヨタだ。ブランド価値515億9500万ドルで、13年連続で1位となった。2位はブランド価値216億9400万ドルのホンダで、自動車ブランドが続く。ただし、2社ともにブランド価値は前年よりも減少している。そのほか、13位のスバルは前年比で7%減、25位のスズキは12%減と自動車ブランドは軒並みブランド価値を落とした。「すべての自動車ブランドが前年比でマイナスとなった。日本のランキングを開始して以来、初めてのことだ」とインターブランドジャパンの並木将仁社長は言う。自動車ブランドの価値低下の要因は、コロナ禍でブランド価値を急上昇させた任天堂と対比すると分かりやすい。
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