オリックス自動車(東京・港)は2021年3月1日から、カーシェアリングサービスに平日限定で乗り放題となる「個人平日定額プラン」を新たに導入する。カーシェアの月額固定での乗り放題プランは、大手事業者では初の取り組みとなる。

オリックス自動車が導入する、カーシェアの月額固定での乗り放題プランは、大手事業者では初の取り組みとなるという
オリックス自動車が導入する、カーシェアの月額固定での乗り放題プランは、大手事業者では初の取り組みとなるという

 オリックス自動車が新たに導入する平日限定乗り放題のカーシェアリングサービス「個人平日定額プラン」は2021年2月19日に申し込み開始。3月1日より利用可能となる。カーシェアの月額固定での乗り放題プランは、大手事業者では初の取り組みで、「大手初とうたうのは、大手以外では乗り放題をうたうプランがあった」(レンタカー本部カーシェアリング事業推進チームの竹田義則氏)ため。

 平日のみ対象で、1乗車当たりの利用上限時間を守れば、車種、走行距離、乗車回数(同日内に何度でも利用可能)に関係なく、定額の月額料金で利用できる。オリックスカーシェアの全国のステーションに配備する、全車種が対象となっており、スマートフォンアプリから簡単に予約できる。

 プランは2種類で「1回当たり3時間以内」で月額9900円、「同6時間以内」で同1万6500円(いずれも税込み)。最短15分より、15分単位で平日の最大予約可能時間まで予約できる。なお、NTTドコモと提携している「dカーシェア 専用プラン」には今回のプランは適用されない。

カーシェアは平日の個人利用が増加

 同社によれば、「02年にカーシェアリング事業を開始して以降、業績は伸びており、車両台数、会員数ともに伸びてきたが、コロナ禍においても、市場規模は拡大している」(レンタカー本部カーシェアリング部長の中村健太郎氏)。

 ただしコロナ禍において、カーシェアリングの利用には変化が起きている。これまでは平日に法人会員の利用率が高かったが、20年4月に緊急事態宣言が発出され、在宅ワークやテレワークが広がると、個人会員のカーシェア利用が増加。4月中は社会情勢を反映し、利用控えが起きていたため前年割れとなったものの、解除されて以降は常に前年を上回った。20年6月から21年1月までの個人会員のカーシェア利用はいずれの月も対前年で120%を超えており、最も多かった7月は137%まで増加したという。

 「従来、個人会員は土日・祝日など休日に使うケースが多く、平日はどちらかというと法人会員が営業活動で使うことが多かった。環境の変化に伴い、平日も個人会員が日常の移動手段として使うケースが増加。法人会員も出社せずに自宅近辺からの移動手段として利用するケースが出ている」(レンタカー本部カーシェアリング事業推進チーム長の山中淳氏)

 同社調査によれば、20年9月~21年1月の個人会員の利用状況は、1回当たり3時間以内の利用件数が前年同期比で約23%増、3時間以上6時間以内は前年同期比で約34%増と、短時間での利用が特に増えている。

 「一方で(提供されている)カーシェア個人会員向けプランは、大手各社とも従量料金のみ」(同社資料より)で、コロナ禍後でも大きな変化はないという。

 そこで同社は平日6時間以下の利用を促進する、個人平日定額プランを設定したわけだ。

オリックス自動車 カーシェアサービスのプランの比較
オリックス自動車 カーシェアサービスのプランの比較
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プラン内容の拡大は今後の動向次第

 山中氏によれば、個人会員の構成員そのものは、コロナ禍以前から大きく変わらず、30~40代で子供がいるファミリー層が多い。年少子は小学生以下で、夫婦共働き、世帯年収は全国平均より高いという。維持費や駐車場の空き状況、あるいは環境への視点からマイカーの所有に積極的ではないため、カーシェアを利用。平日は短時間、短距離利用が中心で、休日は6時間を超える長時間の利用が過半を占めてきた。

 それがコロナ禍を契機に変化。新規の個人会員は20~30代が増え、新規入会者数に占める20代以下の割合は12%から34%になった。「今までバスや電車で移動していた層が、カーシェアリングというプライベート空間での移動を望むようになったのでは」(山中氏)という。

 また、以前から利用の多い層についても、子育て世代である20~40代の女性が学校や習い事に子供を送迎したり、両親など高齢の家族を病院に送迎したりといった「『三密』を避けた日常移動需要が高まった」(山中氏)とみている。

 新プランはそうした会員の新たな利用シーンで活用してほしいと考えている。ただ現時点では、採算についての予測は立てておらず、あくまでも「マーケットニーズに応えるためのプラン」(山中氏)として導入した。

 総合市場調査会社の富士経済(東京・中央)が公表した「カーシェア、配車サービスなど MaaS 関連市場を調査」(20年11月20日)によれば、20年のMaaS(Mobility as a Service)市場は、「レンタカー(46.5%)とコインパーキング(35.6%)が大部分を占める見込み」で、これらは今後も堅調な伸びが予想されるとしている。その一方、カーシェア(5.0%)と配車サービス(11.7%)は現時点での構成比は小さい。カーシェアを利用できるステーションの拡大など、インフラの整備が必要なことを考えても急激なシェア拡大は考え難い。

 とはいえ、カーシェア、配車サービスへの期待は大きく、30年にはそれぞれ20%前後に高まると同調査では予測している。

 オリックス自動車の今回のプランは、平日限定のため、休日、中距離の外出時(6時間以上の利用)に使いたいとなると、別途利用料金を支払わなければならない。これについて山中氏は、「今回は平日の3時間でスタートするが、休日バージョンや長時間バージョンなど、利用動向を見ながら判断していく。一番は使いやすい環境を用意すること」と説明した。プランの見直し、環境整備を急ぐことで、市場を拡大する考えだ。

会員数は20年9月末時点で29万4033人だという
会員数は20年9月末時点で29万4033人だという
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(写真提供/オリックス自動車)