メルセデス・ベンツ日本(東京・品川)は、2021年最初の日本での新型車として、フラッグシップセダン「Sクラス」を1月28日に発売した。同日開催の発表会には上野金太郎社長が登壇した。AR(拡張現実)ナビゲーションなどの新技術を搭載し、指名買いする法人客などに訴求する。

オンライン発表会では上野金太郎社長が新型「Sクラス」を自ら運転した試乗リポートを配信。また後席乗車時の快適性の高まった空間、静粛性の高さもアピールした
オンライン発表会では上野金太郎社長が新型「Sクラス」を自ら運転した試乗リポートを配信。また後席乗車時の快適性の高まった空間、静粛性の高さもアピールした

 8年ぶりにフルモデルチェンジし、第7世代となった「Sクラス」は、エグゼクティブや富裕層が愛用する大型セダン。トヨタ「センチュリー」やレクサス「LS」、BMW「7シリーズ」やアウディ「A8」といったライバルがひしめく大型高級車の中でも、人気の高いモデルだ。2020年9月のドイツ本国でのオンライン発表会後、日本でも想定以上に問い合わせがあったという。メーカー希望小売価格は1293万~1724万円(税込み)と、安くても1200万円を超えているが、指名買いする法人客も多いモデルのため、本国での発表から4カ月という短期間で導入となったと考えらえる。

 上野金太郎社長によると新型Sクラスは「デザイン、技術、安全性、快適性のすべてにおいて、今、顧客はラグジュアリーに何を求めるか。それを突き詰めて提案する、これからのクルマそのもの」だという。つまりメルセデス・ベンツの中でも先駆的なモデルと位置付けられる。

メルセデス・ベンツの新技術を搭載

 実際に同車にはメルセデス・ベンツの新技術が複数搭載されている。

 安全面で大きいのは、後席左右設置が世界初となる、「リアエアバッグ」を採用したこと。形状をキープするフレーム部分と、頭部を受ける中央のクッション部分に分かれた構造で、事故の際、後席乗員の頭部と首の負荷をリヤエアバックにより最大30%も減らせるという。

 またドライバーを支援する安全運転支援機能は、メルセデス・ベンツのフラッグシップらしく充実。快適性・安全性の両面で多くの新機能を追加し、作動領域の拡大や使いやすさを高めた。

 その1つがインフォメーション機能だ。新機能(オプション)として3D表示可能なメーターパネル「3Dコックピットディスプレイ」を採用。警告や車間を自動で維持するアクティブディスタンスアシスト・ディストロニックの作動状況などを3Dで表示する。

12.8インチ有機ELメディアディスプレイ
12.8インチ有機ELメディアディスプレイ

 さらにセンターコンソールからシームレスにつながる「12.8インチ有機ELメディアディスプレイ」には、AR(拡張現実)を使い、路上の映像に案内を立体的に表示する「ARナビゲーション」機能が付いている。このARによる情報はフロントウインドー(ヘッドアップディスプレー内)にも表示可能で、オプション設定ながら、世界で初めて搭載する機能だという。

 今回導入されたボディーサイズは2種類。1つは標準車で、全長5.18×全幅1.92×全高1.505メートル、ホイールベースは3.105メートルと、かなりゆとりがある。もう1つは、ロングボディー車で、全長5.29×全幅1.92×全高1.505メートル、ホイールベース3.215メートルのもので、このサイズアップが後席スペースの拡大に充てられた送迎車にも最適な大型高級車らしい造りだ。

 今回の日本仕様車は搭載エンジンも2種類用意した。クリーンディーゼルの「S400d」は、3.0リッター直列6気筒ディーゼルターボエンジンを搭載し、最高出力330ps、最大トルク700Nmを発揮する。48Vマイルドハイブリッド仕様の「S 500」は、3.0リッター直列6気筒ガソリンターボエンジンを搭載し、最高出力435ps、最大トルク520Nmを発揮。さらに、S500には、最大トルク250Nmを発揮するアシストモーターが加わるので、スペックから想像するよりも力強い加速が得られるだろう。

 もっともどちらを選んでも、排気量が3.0リッターと大きめなので、力強く、静かな走りが期待できる。

ロングボディー車の「S 500」の後部座席
ロングボディー車の「S 500」の後部座席

納期を急ぎ買い替えにつなげる

 送迎用の社用車やハイヤーなどにも採用される、運転手付きの高級車の需要が高いSクラスは、後席に座る顧客などが心地よく過ごせることを重視している。

 これを反映した導入記念限定車「ファーストエディション」は、ロングボディーの「S 500 4MATICロング」をベースに、後席に安全・快適装備などの豪華装備を加えており、限定数は540台、価格は1938万~2040万円(税込み)とかなり高額だ。とはいえ、含まれる豪華装備は、通常オプションとなるもので、カタログモデルに追加装備する場合は、さらに納車までに時間がかかる。あらかじめ搭載済みのファーストエディションを用意することで、納期を短くし、スムーズに買い替えてもらおうという意図が感じられる。

 エンジン2種、ボディーサイズ2種、つまり4タイプのみの導入に絞ったのも、多くの問い合わせを受け、本国とのタイムラグを少なくし、販売することを優先したためと考えられる。ラインアップの拡充については、すでに本国で販売されている、より高級な仕様となるメルセデス・マイバッハ Sクラスも、準備が整い次第、早期に導入されることになるだろう。

 日本自動車輸入組合(JAIA)が21年1月に発表した20年のブランド別輸入車新規登録台数によれば、メルセデス・ベンツは5万7041台。他メーカー同様に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、前年比は85.7%と落ち込んだものの、輸入車メーカーの中では1位で、5年連続のトップだった。

「Sクラス」は法人需要も高いため、買い替えにつながる、より豪華な仕様が求められる傾向がある
「Sクラス」は法人需要も高いため、買い替えにつながる、より豪華な仕様が求められる傾向がある

(写真提供/メルセデス・ベンツ日本)