2020年春に続く2回目の緊急事態宣言は、外食各社にどんな影響を与えたか。20年1月の既存店売上高月次データから探ったところ、バーガーチェーンが好調、ファミリーレストランは不振という、前回とほぼ同じ構図だった。
イートインを20時で閉めるほうが売り上げが伸びる……。そんな珍現象が日本マクドナルドで起きている。
新型コロナウイルス対策として2020年春に続いて2回目となる「緊急事態宣言」が、21年1月7日に1都3県に対して発出され、1月13日には7府県を追加。計11都府県に拡大した。外食産業にとって稼ぎ時である夜の営業時間を20時で打ち切るのは手痛い。だがその“痛み”は、業態によって温度差がある。対象エリアで一律に20時閉店となることで、夕食の食事タイミングを失った人がテークアウトに流れ、その恩恵を受けたケースが見受けられた。日本マクドナルドをはじめとする大手バーガーチェーンである。
日本マクドナルドの21年1月の既存店売上高は前年同月比118.7%。14~15年にかけて起きた期限切れ鶏肉や異物混入問題で売り上げが落ち込んだその反動で16年に急回復したことはあったが、17年以降では初の大幅増加だ。もっともマクドナルドは、20年5月にも前年同月比115.2%を記録している。最初の緊急事態宣言が発出され、多くの店で店内客席を終日利用中止にした月だった。
逆境になればなるほどマクドナルドの売り上げが伸びるのは、イートインや他の外食店で食べるはずだった需要をテークアウトやデリバリーで取り込んだためだ。全国3000弱の店舗の半数以上はドライブスルーに対応していて、デリバリーも、自前のクルーが届けるマックデリバリーサービスの他、ウーバーイーツ、出前館の対応店舗を広げたことで、家族の夕食をまとめて注文するケースが増えた。それが客単価の前年同月比122.7%という数字に表れている。
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