日本コカ・コーラ(東京・渋谷)は、2021年3月8日に「紅茶花伝」のブランドロゴを刷新すると発表した。新ブランドのコンセプトは「ティーハウス」。これまで同ブランドになかった無糖ストレートティーをラインアップに加えるほか、SNSでキャンペーンを展開するなど消費者とのコミュニケーションにも注力する。
1992年にダージリンティー、ミルクティー、レモンティーが登場して以来、“茶葉と製法へのこだわり”をうたって着実にファンを増やしてきた「紅茶花伝」ブランド。現在はロイヤルミルクティーとクラフティー3種(贅沢しぼりピーチティー、贅沢しぼりオレンジティー、レモネード)を展開しているが、2021年3月8日からはブランドロゴを刷新した上で全製品のパッケージを統一、無糖ストレートティーをラインアップに追加する。また、これに合わせてSNSでのキャンペーンや店頭でのサンプル配布など、消費者とのコミュニケーションにも注力していくという。
紅茶花伝ブランドを強化する3つの戦略
紅茶花伝ブランドの強化に向けた施策は3つある。第1の戦略はロゴの刷新およびパッケージの統一だ。その狙いは、これまで製品ごとにばらばらだった消費者へのアプローチを、紅茶花伝ブランド全体でのアプローチに一本化すること。日本コカ・コーラ マーケティング本部 ティーカテゴリー 紅茶・機能性茶グループ マネジャーのイ・スヒョン氏は「好評を得ていた『厳選素材×おいしいひと手間』というこだわりをすべての製品に共通する強みにしようと考えた」と話す。
また第2の戦略である無糖ストレートティーの投入、すなわちラインアップの拡充については「紅茶ブランドに求められる要素としては『茶葉の味がしっかりしていること』『香りが華やかなこと』『後味がスッキリしていること』の3つが挙げられる。しかし、既存の4製品だけではこのニーズに十分に応えられていないのではないかという思いがあった」とイ氏。紅茶飲料市場は大きくミルクティー、ストレートティー、フルーツティーの3セグメントに分かれるが、無糖ストレートティーの登場で、ようやくすべてのセグメントに商品が出そろうことになる。
紅茶飲料市場は購入者数・購入頻度・購入量ともに増加傾向にあり、18年から20年までの3年間の市場伸長率は平均で8.4%増(インテージ調べ)と好調だ。中でも無糖ストレートティーは、同期間での伸長率が平均18%増と大きく伸びている。紅茶花伝ブランドの無糖ストレートティーは市場では後発となるが、高圧・短時間で抽出する独自の「エスプレッソ製法」が他社製品との差異化のポイントになるという。
日本コカ・コーラ 東京研究開発センター 製品開発 ティーグループ プロジェクトマネジャーの福原丈生氏は「エスプレッソ製法では、圧力や温度、時間などを変え、紅茶に最適な抽出条件を見極めた。無糖ストレートティーに関しては、他の製品開発と比べて圧倒的に多い150を超える試作品を作った」と、開発の苦労を語る。
そして第3の戦略として日本コカ・コーラが打ち出したのが「新コミュニケーション」だ。この戦略では「厳選素材に、おいしいひと手間かけました。」をキーメッセージに、こだわりの店主が営む「ティーハウス」を舞台としたテレビCMを制作、紅茶花伝ブランドが訴求してきた“茶葉と製法へのこだわり”をアピールする。また、Twitter公式アカウントのフォロー&リツイートで「紅茶花伝」5本セットがもらえるキャンペーンなどを展開するほか、各商品を絡めたアレンジレシピを店頭や自社Webサイトで提供する予定だ。店頭での配布などに使用するサンプルは200万本を用意したとのこと。
ロゴの刷新とパッケージの統一、無糖ストレートティーの投入、そして消費者とのコミュニケーションの強化。この3つの戦略は、もともと紅茶飲料市場の平均伸長率を上回って伸びている紅茶花伝ブランドにとって“虎に翼”となりそうだ。
(写真提供/日本コカ・コーラ)