アサヒグループ食品は2021年2月4日、同年の事業方針を発表した。20年の売上収益は、11月に吸収合併を発表したアサヒカルピスウェルネスの一部事業実績を含め1246億円と前年比70億円増なのに対し、事業利益は同21億円減の109億円となる見込みだ。コロナ禍の影響が各ブランドの命運を分けた。
外出制限でミンティアは苦戦
コロナ禍で新しい生活様式への切り替えが提案される中、好調だったのが、フリーズドライ食品の「アマノフーズ」でもとりわけ人気の味噌汁、栄養調整食品の「1本満足バー」、サプリメントの「ディアナチュラ」、シニア向け食品「バランス献立」シリーズだった。
とりわけ大きく伸長したのが、プロテイン入り商品が充実した1本満足バーで、消費者の運動意識の向上により前年比44%増となった。
ディアナチュラは健康意識の高まりでこれまでサプリメントを摂取しなかった20~30代を捉えることに成功。発売以来13年連続で売り上げを更新し、同13%増となった。アマノフーズは巣ごもり消費や備蓄需要で同9%増、また、在宅介護の増加によりシニア向け食品も同17%アップした。
一方で前年比69%と苦戦したのがタブレットブランドの「ミンティア」だ。20年4月の緊急事態宣言発令以降、リモートワークや休校、オンライン授業への移行といった措置が拡大し、通勤・通学などの外出が激減、喫食機会を逃したことが要因。売上金額・個数ともにシェア1位の主力ブランド・ミンティアを「回復軌道に戻すことが21年度の最優先課題」と、コンシューマ事業本部副本部長の桜井容子氏は話す(データはインテージ「食品SRI/キャンディ(錠菓市場)/全国(沖縄を除く)/全業態2005.5~2020.12(個数)2007.5~2020.12(金額)」に基づく)。
21年度は、ミンティアのブランド価値を「オンタイムリフレッシュから、オン/オフを問わない、上位概念の『心のリフレッシュNo.1ブランド』へリブランディングする」(桜井氏)。リモートワーク時のリフレッシュ用に大容量ボトル容器タイプを21年3月15日に発売するほか、マスク着用時にぴったりの優しい清涼感が味わえる“マスク着用時専用”「ミンティア +MASK」を3月1日に発売。同日には、ビタミンAや1日分のマルチビタミンが取れる栄養機能食品を「ミンティアエクスケア」シリーズから発売し、健康需要にも応える。
アサヒカルピスウェルネスとのシナジー強化
20年11月に合併を発表、21年1月に完全統合したアサヒカルピスウェルネスは、乳酸菌「L-92」を配合したサプリメント「アレルケア」などの通販事業と乳酸菌素材を用いたBtoB事業などを展開していた。今後は、製品開発で協力するほか、情報を共有して活用したり、物流、コールセンターを効率化したりして連携を強める。20年9月に食品事業本部とベビー&ヘルスケア事業本部を統合してアサヒグループ食品内に新設されたコンシューマ事業本部とともに、消費者視点強化に向けた組織体制を強化する。
製品開発においては、アサヒカルピスウェルネスの知見も生かし、「ディアナチュラ」のラインアップを拡充する。マルチビタミンなど人気のベーシックアイテムに乳酸菌やビタミンDを配合した製品を複数投入。さらに「カルピス」乳酸菌の研究から生まれた、睡眠の質や腸内環境改善、記憶力、計算作業の効率をサポートする製品も発売する。
設備投資については、約44億円を投入する計画。需要が増加している1本満足バーやアマノフーズの生産能力向上に主に投じるという。アマノフーズを製造する岡山工場では包装ラインを増設し、生産能力を約1割アップさせ、21年度に4.2億食の供給を目指す。
(写真提供/アサヒグループ食品)