2021年2月3日、楽天とSHIBUYA109エンタテイメント(東京・渋谷)は共同で「フリマアプリから見える、最新の若者消費解説セミナー」を開催。同セミナーからは、フリマアプリで“ヲタ活グッズ”をせっせと購入するアラウンド20女子の実態が見えてきた。

ラクマとSHIBUYA109 lab.の共同調査から分かったアラ20女子の消費行動は、フリマを活用したヲタ活だった
ラクマとSHIBUYA109 lab.の共同調査から分かったアラ20女子の消費行動は、フリマを活用したヲタ活だった

ヲタ活にフリマアプリを活用するアラ20女子の実態

 楽天が運営する「ラクマ」は、累計2500万ダウンロードを超えるフリマアプリの定番。またSHIBUYA109エンタテイメントが運営するSHIBUYA109 lab.(シブヤイチマルキューラボ)は、アラウンド20に特化したマーケティング研究機関だ。オンラインで共同開催されたセミナーでは、現役女子高生・女子大生をゲストに招き、フリマアプリの利用状況などからコロナ禍における若者の消費実態を分析した。

 このセミナーで明らかにされたのは、フリマアプリをSNSや通販サイトと同列に位置付け、“ヲタ活”(“推し活”ともいう)にいそしむアラ20女子の消費スタイルだ。彼女たちは、欲しい物をインスタグラムで探すときと同じ感覚で、フリマアプリで商品を検索するとのこと。定価では手が届かない商品も、フリマアプリに出品されたものなら安く買えるというわけだ。

 では、アラ20女子はフリマアプリを使ってどんな商品を買っているのか。ラクマが2020年11月に実施したユーザー意識調査では「ヲタ活グッズ」と回答したアラ20女子が全体の47.3%(n=1880、複数回答)に上った。ヲタ活グッズとはアイドルやアーティストの関連商品のことを指すが、CDやDVDではなく、“推し”を応援するためのグッズ。ラクマでアイドル・アーティスト名をキーワードに検索すれば、キーホルダーやクリアファイル、うちわ、缶バッジ、写真立てなどなど、さまざまなヲタ活グッズが見つかる。

●アラ20女子が2020年にフリマアプリで購入したもの(n=1880、複数回答)
●アラ20女子が2020年にフリマアプリで購入したもの(n=1880、複数回答)
出典:楽天「ラクマ」ユーザー意識調査、対象者条件:ラクマのユーザー(15~22歳の女性)、調査期間:2020年11月18~24日、調査方法:インターネット調査

 またSHIBUYA109 lab.が実施した調査では、アラ20女子400人中276人(69%)が何らかの“ヲタク”を自認しており、ヲタ活のために年間で15万円以上を使うアラ20女子が15.6%もいることが分かった(N=167)。

 年間15万円という金額は、世代的には高校生・大学生に当たるアラ20女子にとって大金のはずだが、そこには1次流通と2次流通を巧妙に使い分けるアラ20女子の“錬金術”がある。

 そのカラクリを解き明かすキーワードが「担降り・推し変」だ。これはアイドル・アーティストファンの間で使われる“共通言語”で、それまで応援してきたアイドル・アーティストの“担当”を降りて、“推し”を変えること。応援する対象が変われば、それまで愛用してきたヲタ活グッズも不要になる。いらなくなったヲタ活グッズはフリマに出品し、販売した代金で新たに応援するアイドル・アーティストのヲタ活グッズを購入するわけだ。

フリマアプリで不要な物を売り、その代金で新品を購入する
フリマアプリで不要な物を売り、その代金で新品を購入する

 アラ20女子はフリマアプリでヲタ活グッズを探す際に、一部のヲタクにしか通じない“共通言語”を多用するという。その理由は「同じ言葉を使っている人ならば感性が近い」と判断する材料になるからだ。自身に合う物・好きな物を見つけるためのリテラシーの高さは、デジタルネーティブであるアラ20女子ならではだろう。ちなみに彼女たちがラクマで検索したキーワードを19年と20年で比較すると、「地雷」が163倍、「チャイボーグ」が4倍、「病みかわいい」が1.6倍となったとのこと。これはSNSとも関連があるようで、インスタグラムでハッシュタグ検索すると、「#地雷」は11.6万件、「#チャイボーグ」は5.5万件、「#病みかわいい」では8.7万件がヒットする(21年2月8日現在)。

 コロナ禍による外出自粛で、アラ20女子たちがフリマアプリに触れる時間も増えている。またイベントやコンサートが開催されなくなり、交通費・宿泊費などの“遠征”費用もかからなくなった。アラ20女子のヲタ活を軸としたフリマ市場には、まだまだ成長の余地がありそうだ。

(写真提供/楽天「ラクマ」、SHIBUYA109エンタテイメント)

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