九州に本拠を置くディスカウントストアのトライアルカンパニー(福岡市)が、グループ外への「スマートストア」の提供を加速させる。トライアルグループ以外で初めて「スマートショッピングカート」を導入した、リテールパートナーズ(山口県防府市) 傘下の丸久(同)が運営するスーパー「アルク到津店」で、当初の期待以上の成果が上がったことを受けての取り組みだ。トライアルグループとリテールパートナーズの今後の展開を追った。

レジカート利用率が目標の20%を突破した丸久運営の「アルク到津店」店内で、レジカートを押して買い物する利用客(写真/トライアルホールディングス)
レジカート利用率が目標の20%を突破した丸久運営の「アルク到津店」店内で、レジカートを押して買い物する利用客(写真/トライアルホールディングス)

 トライアルカンパニーがグループを挙げて普及に努めるスマートストアを一言で言えば、「AI(人工知能)カメラ」やタブレット搭載の「スマートショッピングカート」、大型の「デジタルサイネージ」などを店内に備え、そこから得られるデータを分析して、来店する顧客に効率的にアプローチし、収益増を図るという店だ。

 福岡県や佐賀県、千葉県などにあるトライアルグループのディスカウントストアなど23店舗には、既にスマートショッピングカート約2500台が導入済み。カートに加え、AIカメラやデジタルサイネージを導入した店も徐々に増やしており、グループ店舗のスマートストア化を推し進めている。

月間買い上げ額7%アップを達成

 トライアルグループが開発したこうした機器やソリューションを、トライアルグループ以外で初めて導入したのが、リテールパートナーズだ。2020年7月9日、傘下の丸久が運営する、北九州市にあるスーパー「アルク到津店」に、同グループが開発したスマートショッピングカートを、「レジカート」という名称で40台導入。その効果を確かめてきた。

 「短期的には十分な成果が出た」

 リテールパートナーズ取締役の青木保氏はこう強調する。カート導入に当たってリテールパートナーズが設定していたKPI(重要業績評価指標)は2つ。1つは、来店客の中でレジカートを利用する割合を示す「利用率」が20%を上回ること。もう1つは、レジカート利用者の「月間買い上げ額」が、レジカート導入前と比べて5%アップすることだった。実際には、導入から4カ月強が経過した20年11月半ば時点で、前者の利用率は20%を突破。後者の月間買い上げ額は想定を上回る7%アップに到達し、目標をクリアした。

 この結果を踏まえ、リテールパートナーズは次の段階へ進む。21年4月に丸久が北九州市に開く新店舗に、レジカートに加えてデジタルサイネージとAIカメラも導入。本格的なスマートストアとしてオープンする。

 スマートストアとして開業する新店舗は、年商16億~20億円、延べ床面積800坪前後(約2640平方メートル)、約100台の駐車スペースと、丸久が運営するスーパーの中で典型的な規模の店を選んだ。40~50台のレジカート、AIカメラ、デジタルサイネージを導入し、KPIとして前述の「利用率」が25%を上回ることを目指しつつ、「何台くらいのカメラやサイネージを、店内にどのように配置すると効果が高まるのか検証していく」(青木氏)考えだ。トライアルグループのAIソリューション会社で、スマートストア化の旗振り役を務めるRetail AI(東京・港)が、リテールパートナーズのこの検証も支援する。

 Retail AIは、トライアルグループ内の店舗のスマートストア化を順次進める一方、リテールパートナーズの力を借りて「スーパーをスマートストア化する際のひな型を形成」(Retail AI社長の永田洋幸氏)。さらに、ディスカウントストアやスーパー以外の業態の小売り、例えばドラッグストアなどでスマートストア化に関心のある企業と提携し、スマートストアを多くの小売り業態に広めていく考えだ。

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