2021年1月27日、アイリスオーヤマ(仙台市)とソフトバンクロボティクスグループ(東京・港)は、新会社アイリスロボティクス(仙台市)の設立を発表した。2月1日付で設立された新会社の資本金は1000万円で、出資比率はアイリスオーヤマ51%、ソフトバンクロボティクス49%。
マーケットインの発想とロボティクス技術の融合
新会社設立の狙いは、製品開発・販売を得意とするアイリスオーヤマと、人型ロボット「Pepper(ペッパー)」の開発元としてロボティクス技術に定評のあるソフトバンクロボティクスグループの提携による相乗効果だ。
アイリスロボティクスが掲げる事業内容は、法人向けロボットの販売、新規ロボットの企画開発・新サービスの創出、ロボットを活用した業務変革コンサルティングの3つ。新会社の初年度売り上げ目標は50億円だが、アイリスオーヤマとソフトバンクロボティクスグループ、両社の販路を生かしたグローバル展開を進めることで2025年までには累計売り上げ1000億円を目指す。
アイリスロボティクスが取り扱いを予定しているのは、ソフトバンクロボティクスグループがホームセンターや飲食店向けに販売しているAI(人工知能)除菌清掃ロボット「Whiz i(ウィズアイ)」および配膳・運搬ロボット「Servi(サービィ)」のアイリスエディションだ。この2モデルは、アイリスオーヤマの提供するLED照明やセキュリティーカメラといったIoT(モノのインターネット)機器との連携機能を搭載し、商品管理や防犯などに役立てるという。
また詳細は不明ながら、22年度中に新型ロボットを市場に投入する計画もある。それらは基本的に業務用だが、将来的には家庭用ロボットの開発も検討しているとのことだ。
発表会ではアイリスオーヤマ社長の大山晃弘氏が「アイリスロボティクスのミッションはロボットで社会の課題を解決すること」と語り、現在の日本社会が抱えている課題として「(新型コロナウイルス)感染対策」「高齢化」「人手不足」「持続的成長」の4つを挙げた。
「当社はwithコロナに対応するため、マスクやAIサーマルカメラなどの感染症対策用品を販売してきた。さらに非接触化を推進するため、新会社を通じてロボットソリューションを提供していく。また社会の高齢化に伴う労働力不足などの課題に取り組み、持続可能な社会の実現にも貢献していく」(大山氏)。
同じく発表会で登壇したソフトバンクロボティクス社長兼CEO(最高経営責任者)の冨澤文秀氏は「アイリスオーヤマの“マーケットイン”の発想からくる企画・開発力と当社のロボティクス技術を組み合わせれば、さらに便利な世の中が実現できる」と新会社への期待を述べた。アイリスロボティクスが目指すのは、RaaS(Robot As A Service、サービスとしてのロボット)のナンバーワン企業だ。
(写真提供/アイリスロボティクス)