定額制動画配信サービスの「U-NEXT」は、2021年8月期の第1四半期決算補足説明資料で、同サービスの会員数が209万人に達したことを明らかにした。月額1990円(税別)と、他社サービスに比べて2倍近い利用料ながら、定額制動画配信事業者としての市場シェアはNetflix、DAZN、Amazonプライム・ビデオに次ぐ第4位(20年2月、GEM Partners「動画配信市場5年間予測 2020-2024年レポート」より)。コロナ禍を背景に動画配信サービス業界全体で利用者が増えているが、それに加えてU-NEXTには、“共存の時代”に向けた同社独自の戦略がある。
複数サービスへの加入が当たり前に
動画配信サービス先進国である米国では、事業者の増加に伴ってコンテンツおよびユーザーの争奪戦が激化。各事業者はオリジナル作品に注力するようになった。それらのオリジナル作品を視聴するには、それぞれのサービスへの加入が必須であるため、同国では複数の動画配信サービスを利用する世帯が半数以上を占めるようになっている。
U-NEXT社長の堤天心氏は「同様の傾向は日本でも見られ、他社の動画配信サービスも併用しているU-NEXTユーザーは多い」と話す。映画・映像エンターテインメントに特化した市場分析データを提供しているGEM Partners(ジェムパートナーズ、東京・港)の調査によれば、日本国内の定額制動画配信サービス利用者は平均で1.7のサービスを利用しているという。
新型コロナウイルス感染症拡大が引き金となって、2020年3月以降、定額制動画配信サービスの利用者が急増した。U-NEXTに関して言えば、外出自粛が続いた20年4月から6月にかけては新規加入者数が前年の3倍以上になったとのことだ。もちろんコロナ禍の影響は否めないが、それに加えてU-NEXTには、他社サービスと共存するために同社が掲げる3つの戦略があった。

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