コンテンツ配信プラットフォームのnote(東京・港)は2021年1月12日、ECサイト構築サービスのBASEを引受先とした第三者割当増資を実施し、資本業務提携した。目的はD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)ブランドの支援だ。ブランドストーリーを伝えるnoteと販売チャネルのBASEをシームレスに連携し、ファン育成、集客、販売を一気通貫で実施できるようにすることを目指す。noteの加藤貞顕CEO(最高経営責任者)とBASEの鶴岡裕太CEOが狙いを語った。
「モノがあふれ、どこでも買えるようになる中で、自分ならではの消費が広がっている。noteを利用するイラストレーターを応援したい人がグッズを購入するように、モノよりストーリーごと買う消費嗜好(しこう)が広がっている」
noteの加藤氏は、noteを通じて起こっている新たな消費をこう説明する。製品そのものの価値を重視する「モノ消費」から、製品の利用や購入の体験を重視する「コト消費」へ、消費の動向が移り変わっているといわれる。このコト消費の延長線上として、共感するクリエーターやブランドオーナーを支える「応援消費」市場が広がっている。
D2Cの勃興は最たる例だ。ネットの普及により、多様化した嗜好を満たすブランドと消費者が出合いやすくなる土壌が整い、SNSはそれを加速させた。成功しているD2Cブランドは「Twitter」や「Instagram」を活用して、顧客と直接コミュニケーションをして共感を生み出し、購入につなげている。「細分化された嗜好とマッチしやすい時代だからこそ、ブランドオーナーはこだわっているポイントを熱量高く伝えていくことが重要だ」(加藤氏)。その一環として、情報発信や顧客とのコミュニティーづくりを目的にnoteを活用するD2Cブランドが増えている。
例えば、愛媛県八幡浜市でみかんを栽培する濵田農園は、「究極のみかん」を合言葉に、みかんづくりにかける思いや、みかん風呂といった皮まで有効活用する方法などをnoteで記事として掲載。みかんジュースなど、自社製品を使った商品の販売につなげている。
そうしたブランドオーナーの情報発信を購買に結び付けるため、noteはECプラットフォームとの連携を進めてきた。まず、noteと連携するECプラットフォームで販売している商品情報を記事中に埋め込める「note for shopping」機能を18年9月に開始。続いて20年2月には、note利用者が自分のページのメニューに「ストア」を追加して、商品一覧を掲載できる機能を開始した。
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