効率重視から共感のマーケティングへ

 山野辺氏はコロナ禍以前から広告の受容性が低下し、テレビの録画視聴やデジタル広告などでもCMはスキップできるようになったことを指摘。さらにコロナ禍で個人のメディアとの接触時間が増加し、コンテンツそのものも埋もれるようになったのではないかと言う。「広告のパフォーマンスだけ追求するような(効率重視の)偏ったコミュニケーションではなく、つながりをつくっていく、エンゲージメントを意識したマーケティングが大事。共感がポイントだ」(山野辺氏)。

「コロナ禍の今だからこそ、顧客の気持ちの変化をいち早く察知して、マクドナルドとして何をお伝えしていくのかを真摯に考えていくことが大切」と日本マクドナルド マーケティング本部 ナショナルマーケティング部 マネージャー 山野辺普人氏
「コロナ禍の今だからこそ、顧客の気持ちの変化をいち早く察知して、マクドナルドとして何をお伝えしていくのかを真摯に考えていくことが大切」と日本マクドナルド マーケティング本部 ナショナルマーケティング部 マネージャー 山野辺普人氏

 TwitterのBranded Likesの採用は、その共感を得る意味があったという。

 「『月見バーガー』は『月を見る。心が上を向く。』をテーマに月を見上げて大切な人とつながる幸せの様子を、心温まる感動のストーリーとしてテレビCMやWebムービーなどで描いたもの。そのブランディングを進める中で、Branded Likesは相性がいいのではと直感的に思った」と山野辺氏。一貫したメッセージ展開の中で、Branded Likesは「全体のコミュニケーションの一部として活用」した。

 実装したのは「いいね」をタップすると、ハートマークが月見の満月になるというアニメGIF。タップしたユーザーが月見を楽しめるだけでなく、そのユーザーのフォロワーにも広がる仕組みで、結果、発売日の「月見バーガー」ツイート数は前年比3.5倍となり、終日トレンド入りした。

 「マーケティングビジョンの『LIKEからLOVEへ』を実現し、顧客とのつながりを醸成することをデジタルでも考えて活動してきた。コロナ禍の今だからこそ、顧客の気持ちの変化をいち早く察知して、マクドナルドとして何をお伝えしていくのかを真摯に考えていくことが大切だと思っている」(山野辺氏)

消費者コミュニケーションとは何か

 一方、Twitter Japanの山川氏は、Twitterにおける「消費者コミュニケーション」について、「消費者の生のつぶやき(ツイート)から見える、新たな消費活動の兆しになりそうな動きをいち早く捉えて、企業のコミュニケーションに生かしていくこと、と理解している」という。

 ブリーフィングの中で山川氏が言及したのが、自身が担当する自動車メーカーの事例だ。彼らにとって重要だったのが、「今まで車の購入に見向きもしなかった層が真剣に車の購入を検討しているというツイートが、緊急非常事態宣言が発令される前から多く見られた」事実を素早くキャッチすることだったという。

 「その証左として、昨今、自動車教習所が若者で活況を呈している、というニュースもあった。ただ、ここでより重要だったのは、新しい車購入関心層にとっては、SUVという言葉でさえ専門用語でよく分からない、ということだった」(山川氏)

 とかく専門誌や専門Webサイトなどでは、専門用語で語られることが多く、「そもそもどこへいけば車の購入のためのフローを始められるのかすら分からない、といった発言もあった。このことから、実はメーカーからの情報発信は、車の購入を経験したことがある人のみを対象にしていたのではないか、コロナ以前においても新しい顧客層の開拓を自ら疎外していたのではないか、という仮説が成り立った」と山川氏。

 今後、商材やサービスはそれを求める消費者特性に寄り添ったコミュニケーションにしていく必要がある。Twitterを分析し、こうした消費者のインサイト(いつもは意識していない心の声)を拾うことで、速度を増して細分化していく購買行動をより早く捉えることができるというのが山川氏の指摘だ。