ネットワークにつながる最新キッチン家電の「頭脳」ともいえる、「キッチンOS」。そのプラットフォーマーとして知られるのが、欧州のDropだ。すでにDropのキッチンOS搭載家電は3000万台を超えるという。同社CEO兼共同創設者のBen Harris氏が、キッチンOSの現状と今後について語った。

DropのキッチンOSは、すでに多くの家電メーカーの機器に組み込まれている
DropのキッチンOSは、すでに多くの家電メーカーの機器に組み込まれている

 2020年12月に開催された「Smart Kitchen Summit JAPAN 2020」(主催シグマクシス)に、Dropを率いるBen Harris氏が登壇した。同氏はホームクッキングに親しんできたことから、大学在学中にゆで卵メーカーやトースターなどの製品開発を手がけてきた。そこからガストロノミー、フードサイエンスなどをキッチンに持ち込むことを模索するようになり、大学を卒業してからは製品のデザインに関するコンサルティングなどを行うようになったという。そして2014年には、アップルのiPadと連携するスマートクッキングスケール「Drop Connected Kitchen Scale」を開発。同年11月にはアップルストアに並ぶようになった。

 「こうしたIoTキッチン機器にニーズがあることを示すいい例になった。それから消費者とのつながりの中でニーズを模索し、キッチン関係企業と話し合っていく中で、キッチンをつなげる役割を担いたいという思いが生まれてパートナーを探すようになった。IoTキッチン機器はいろいろあったが、それらをつなぐためには改善の必要があったからだ」(Ben Harris氏)

DropのCEO兼共同創設者であるBen Harris氏
DropのCEO兼共同創設者であるBen Harris氏

 そこで17年に打ち出したのが「Drop Kitchen OS」だ。これは、パソコンの世界でいうところのWindowsやMacOS、モバイルならiOSやAndroidに当たるもの。料理レシピやそれに応じた調理コマンドなど、IoTキッチン機器とスマートフォンの橋渡しとなり、様々なアプリケーションを動かす。

 「現在のパートナーはボッシュ、ケンウッド、エレクトロラックス、LG電子、パナソニックなどで、今後はさらに多くのメーカーが加わることになる。こうした家電メーカーがすでに我々と連携し、リソースの共有をしている。それ以外もプラットフォームに加えていきたい」(Ben Harris氏)

「Kitchen OS」搭載家電は3000万台超え

 すでにDropと連携する家電は3000万台を超えているという。「こうした製品によって料理自体がよりシンプルで楽なものになる」とBen Harris氏は語る。今後の課題については、より多くの家電メーカー、さらにはスマートフォンメーカーとの連携が重要だとBen Harris氏は語る。

 「私の自宅のキッチンには複数のコネクテッド家電があり、日々の生活で活用しているが、実際にこうした素晴らしい技術をまだ使ってる人は多くない。それは使いにくいとか、よく分からないとか、導入しにくいということがあるのだと思う。コネクテッドホームやコネクテッドキッチンを実現するためには、ファームウエアからソフトウエア、バックエンドのインフラ、アプリへのプラグインなどをフルスタックで提供し、お互いにつながる必要がある。それができないと、消費者が期待する価値を届けることはできない」(Ben Harris氏)

 ただ、Wi-FiやBluetooth経由でスマートフォンや他の機器とつながるキッチン家電をゼロから開発するためには3年ほどかかる。そこでDropは、クラウド経由でレシピやマニュアルなどをやりとりするIoTモジュールを新開発したという。それを導入することで、IoTキッチン家電の開発期間は「6カ月に短縮できる」とBen Harris氏は語る。

 「これを活用することでBluetoothを使って家電を見つけ出すことができ、Wi-Fi経由ですべての機器をつなげられる。このように家電をクラウドや消費者につなげていくことが簡単にできるようになった。このモジュールが皆さんの家電とつながってデータ分析が展開される。ここが非常に重要な要素だ。パートナー企業は誰の家電が動いているのかを分析して製品の開発サイクルを回し、マーケティングや製品開発の改善ができる。このモジュールは21年初頭にリリースする予定で、これは我々にとって非常に重要なピースになる」(Ben Harris氏)

新しいIoTモジュールを見せるBen Harris氏(右上)。2021年初頭にリリースするとのことだ
新しいIoTモジュールを見せるBen Harris氏(右上)。2021年初頭にリリースするとのことだ
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