「#Twitter トレンド大賞 2020」が2020年12月22日に発表された。1位は、「コロナ(新型コロナ)」。未曽有の事態に見舞われステイホームを強いられる中、SNSに向き合う時間が増え、互いを励まし合う投稿が多く見られた一方、史上最大規模のTwitterデモが行われるなど、例年とは異なる様相を見せた。
#Twitter トレンド大賞 2020は、膨大なツイートを基に今年1年のトレンドを総決算するアワード。2020年のすべてのトレンドワードを集計。通年のツイート数やリプライ数、「いいね」の数などを独自のアルゴリズムで解析した。個人への攻撃や個人の不利益につながるツイートや、亡くなった人に関するトレンドは除外されている。
1位から20位の詳細は以下の通り。各順位のかっこ内にはトレンド入りの日付を記載した。
上位はコロナ関連、「鬼滅」は5位
1位:「コロナ(新型コロナ)」(2月27日)
1位はやはり「コロナ(新型コロナ)」。関連するツイートを分析すると、ツイート数は第1波をピークとし、それ以降は減少した。また、ツイート内容をポジティブ、ネガティブに分けたところ、20年3月20日に志村けんさんが新型コロナに感染し亡くなったのを境に「志村さんの死を無駄にしない」などポジティブな投稿が増えたことが分かった。
2位:「#検察庁法改正案に抗議します」(5月10日)
20年1月に黒川弘務・東京高検検事長の20年8月までの任期延長が閣議決定。3月には、検察官の定年を段階的に65歳以上に引き上げるとともに、「内閣や法務大臣が認めれば定年を最長で3年まで延長できる」という規定が盛り込まれた検察庁法改正案が閣議決定された。これに対し、5月に800万件以上の投稿があった史上最大規模の「Twitterデモ」が起こり、結果、改正法案の成立は見送りに。「#検察庁法改正案に抗議します」は5月8日に登場。俳優、演出家、漫画家らの抗議の投稿が相次ぎ、5月10日までにツイート数が延べ480万件を超えるなど急速に広がった。
3位:「緊急事態宣言」(4月7日)
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて近日中に発出と都市封鎖が行われるのではと臆測を呼び、トレンド入りした。医療従事者や公共交通機関、物流、スーパーなどライフラインを支える仕事に従事する人への感謝のツイートは世界中のトレンドに。
4位:「100日後に死ぬワニ」(3月20日)
きくちゆうき氏がTwitterに連続投稿したワニが主役の4コマ漫画。『100日後に死ぬワニ「100日目」』は「最多リツイート部門賞」「最多いいね部門賞」も受賞した。きくち氏は「100日間やっていた前作があり、今回はワニの話をやろうと思った。終わりを意識してもらって、時間の使い方や今何をしたらいいかが見えてくるかなと思いました」と語った。
5位:「鬼滅の刃」(10月16日)
原作の漫画、劇場版とも大ヒットしている「鬼滅の刃」が5位に。自身の作品『君の名は。』が興行収入で『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』に抜かれた新海誠監督が、「悔しいなあと思いつつも、記録が常に上書きされていくのもエンタメの持つ健全さですね」などと投稿したツイートも話題になった。
なお、「アニメ部門賞」には、その『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が「鬼滅劇場版」として選出。国内映画歴代最速で興行収入が300億円に達し、累計観客動員数2000万人を突破した。
6位:「どうぶつの森」(3月20日)
Nintendo Switch向けソフト『あつまれ どうぶつの森』が20年3月20日に発売。約3カ月で国内累計販売本数が500万本(パッケージ版)を突破する大ヒットに。面白シーンの投稿などが話題になった。海外でも人気は高く、20年9月末時点の世界累計販売本数は2604万本に達している。
7位:「ブルーインパルス」(5月29日)
新型コロナウイルス感染症に対応する医師や看護師など医療従事者への敬意を示すため、20年5月29日、航空自衛隊のアクロバット飛行専門チーム「ブルーインパルス」の機体6機が都心を飛行。多くの写真が投稿された。
8位:「トランプ大統領」(11月3日)
20年11月、共和党のトランプ大統領と米民主党のジョー・バイデン氏が大統領選を争った。コロナの影響で結果がなかなか出ず、Twitter上で大きな話題になった。
9位:「センター試験」(1月18日)
1990年から実施されてきた大学入試センター試験の本試験が、20年1月に終了した。
10位:「安倍総理」(8月28日)
7年半の長期政権を築いた安倍晋三首相が体調不良を理由に退任した。
20位以内には10代女子に人気のゲームやあのドラマが
11位:「マスク2枚」(4月1日)
20年4月1日、新型コロナウイルス感染症拡大防止の一環で、安倍晋三前首相が5000万超の世帯に布マスクを2枚ずつ配布。「アベノマスク」と呼ばれ、賛否が分かれた。製造5社も話題に。
12位:「#手越会見」(6月23日)
元NEWSの手越祐也が20年6月にジャニーズ事務所を退所。緊急会見を開き、事前質問に答える様子が話題になった。手越は、20年の新規アカウントを対象とした「急上昇アカウント部門賞」も受賞。
13位:「フリート」(11月11日)
米ツイッターがTwitter上での新たな会話機能「フリート」の実装を発表。
14位:「ツイステ」(7月22日)
「ツイステ」とはウォルト・ディズニー・ジャパン協力の下、アニプレックスが制作したスマートフォンゲーム『ディズニー ツイステッドワンダーランド』の略。原案・メインシナリオ・キャラクターデザインを漫画『黒執事』などで知られる枢(とぼそ)やなが担当。20年3月に配信開始。10代女性を中心に人気と言われ、Twitter公式アカウントのフォロワーは100万人を突破した。
15位:「いのちの輝き」(8月25日)
25年に開催予定の大阪・関西万博のロゴマークのテーマ。最優秀作品に選ばれたアートディレクターのシマダタモツ氏らのグループ「TEAM INARI」の作品は、細胞を意識した赤い球体をつなげたインパクトの強いデザインで話題に。完成度の高い2次創作作品が続々登場し、「いのちの輝きくん」という呼称も広まった。
16位:「ハイキュー」 (7月20日)
『ハイキュー!!』は古舘春一による高校バレーボールを題材にした漫画。「週刊少年ジャンプ」で8年間連載され、20年7月に大団円を迎えた。コメンテーターのスポーツジャーナリスト・生島淳氏は「ハイキュー!!が始まってから男子バレーボールの競技人口が増加した。スラムダンクがバスケット人口に影響を与えたように、大きな貢献をした」とコメント。
17位:「#半沢直樹」(9月27日)
この日、三菱UFJ銀行の頭取に「半沢直樹」シリーズの原作者・池井戸潤氏の同期である半沢淳一常務が昇格することが発表され、さらなる話題となった。
「#半沢直樹」は「ニュース部門賞」にも選出。新型コロナウイルス感染症拡大の影響による制作の遅れなどで放送開始が延期されたが、最終回は視聴率が30%を超える大ヒット。全10話で世界トレンド1位になった。
18位:「#東京都都知事選挙」(7月5日)
新型コロナ対策や東京オリンピック・パラリンピックの開催など多くの争点がある中での都知事選となり、活発な議論が行われた。コメンテーターのジャーナリスト・堀潤氏は、「既存メディアとSNSの分断を実感させられた。テレビに選ばれなかった候補者が発信できる場がSNS。事実を求める人がSNSに入ってくる」と、分析した。
19位:「#sailormoonredraw」(5月17日)
アニメ「美少女戦士セーラームーン」の1シーンを同じ構図で描くことがトレンドとなった。多くの有名クリエイターなども参加。それぞれの画風でイラストを描いて投稿した。
20位:「ポケモン」(9月29日)
Bump of Chickenとコラボしたミュージックビデオ(MV)「GOTHA」を20年9月29日に公開した。歴代のポケモンやトレーナーが登場する構成で、ゲームを追体験できるようになっている。また、MVの本編がポケモンの数と同じ151秒であることも話題に。
そのほかの部門賞は以下の通り。
ゲーム部門賞:「#nintendoswitch」
20年9月末時点で世界での累計販売台数が6830万台に到達。「ファミリーコンピュータ」を抜いた。コロナ禍での巣ごもり需要もあり、一時は品切れ、抽選販売になる事態も。『あつまれ どうぶつの森』や『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』などヒット作も相次いだ。
スポーツ部門賞:「大坂なおみ」
全米オープンで2度目の優勝を果たした大坂なおみ。黒人差別に抗議する「BLM(Black Lives Matter)」に賛同し、「犠牲者の名前が記された7枚の黒いマスクを着用するなど、活動家としての側面に反応した人が多かった」(生島氏)。
なお、例年、1位を受賞した人に贈られる「#Twitterトレンド大賞」は、「コロナに立ち向かう、すべての人」が、「審議委員会特別賞」は「#StayHome」が選ばれた。