花王の日焼け止めブランド「ビオレUV」は、2021年2月6日に花粉など環境微粒子の付着を防ぐ新技術を採用した新製品を発売する。数量ベースでは首位をキープし続けたビオレUVだが、19~20年にかけ改良やサブカテゴリー拡充など積極展開を進め、ついに金額ベースで19年連続シェア1位だった資生堂「アネッサ」を逆転した。

2021年2月6日に発売予定の「ビオレUV バリア・ミー ミネラルジェントルミルク」は、花粉やPM2.5などの環境微粒子から肌をバリアする新技術を搭載
2021年2月6日に発売予定の「ビオレUV バリア・ミー ミネラルジェントルミルク」は、花粉やPM2.5などの環境微粒子から肌をバリアする新技術を搭載

 「ビオレUV バリア・ミー ミネラルジェントルミルク」は、紫外線だけでなく、チリ・ほこり・PM2.5・花粉などの外部環境に含まれる微粒子汚れの付着まで防ぐ新技術を採用している。皮膚の上に1枚膜を作る「アウタースキン発想」から生まれた。

 花王が、日常的に日焼け止めを使用しているユーザーを対象に調査したところ、紫外線カット効果に加えて求める機能について、6割以上が「チリ・ほこり・PM2.5・花粉などの微粒子汚れの肌への付着を防いでほしい」と回答したという(2020年花王調べ)。

 そこで環境微粒子が肌に付着する実態を調査。都内で5時間程度外出した後に顔と体を拭きとると、微粒子の汚れが数多く付着していた。「外出時、肌が露出している部分には環境微粒子が数多く付着していることが分かった。そこで、環境微粒子そのものが付着しにくくなる日焼け止めの開発を開始した」と、花王スキンケア研究所主任研究員の福井崇氏は話す。

 微粒子を付着しにくくするために、粉体を用いて肌表面に微細な凹凸構造を作ることを目指した。福井氏によると、肌表面のキメと呼ばれる凹凸はもともと微粒子が付着しやすいサイズ。加えて、従来の日焼け止めはべたつきやすい油分がその肌表面を覆うため、より微粒子が付着しやすくなったという。新製品では、肌になじみやすい油を採用して粉体と肌の間に油膜を張り、その上にキメよりも細かい粉体による凹凸構造を形成・維持できるようにした。

 コロナ禍による生活環境の変化により、肌を守ることへのニーズがますます高まっていると福井氏は指摘、「サンカット領域を超えた新たなバリア技術は今の時代にまさに必要とされる新たな技術」と自信を示す。

「ビオレUV バリア・ミー ミネラルジェントルミルク」と同日に、「ビオレUV アクアリッチ」シリーズから光拡散効果で肌の透明感をアップさせる「ビオレUV アクアリッチ ライトアップエッセンス」も発売する
「ビオレUV バリア・ミー ミネラルジェントルミルク」と同日に、「ビオレUV アクアリッチ」シリーズから光拡散効果で肌の透明感をアップさせる「ビオレUV アクアリッチ ライトアップエッセンス」も発売する

新機軸のアスリズムで首位に躍進

 日焼け止め市場は、19年には世界市場規模約1兆円といわれるほどグローバルに拡大している成長産業だ。その中にあって、「ビオレUV」は06年から12年連続で数量ベースで国内首位をキープしている(インテージSRI日焼け止め市場 2006年9月~2018年8月 ブランド別売上数量)。一方、金額ベースでは、資生堂の「アネッサ」が19年連続国内首位を独占していた(インテージSRI日焼け止め市場 2000年11月~2019年10月 金額シェア)。

 しかし、20年1~11月期についに金額ベースでビオレUVが首位に躍り出た(インテージSRI 日焼け止め市場 金額・数量シェア)。その背景には、コロナ禍の外出自粛と、ビオレUVが19~20年にかけ改良やサブカテゴリー拡充など積極展開を進めたことがある。

 19年に、高い紫外線防御効果ながら軽いつけ心地が特徴のウオーターベースの日焼け止め「ビオレUV アクアリッチ ウォータリーエッセンス」「ビオレUV アクアリッチ ウォータリージェル」をリニューアルしたことに加え、初めてスポーツシーンに向けたサブカテゴリー製品「ビオレUV アスリズム」を発売。

 さらに20年には、アスリズムからスプレータイプや、紫外線だけでなく近赤外線からも肌を守る「ビオレ UV アスリズム サンバーンプロテクトミルク」、紫外線吸収剤を使わずSPF50の効果で子どもの敏感な肌にも使える「ビオレ UV キッズピュアミルク」を続々発売した。

 その結果、コロナ禍で日焼け止め市場が軒並みダメージを受けた20年にも、右肩上がりの成長を維持できた。「最もユーザー数が多いビオレUVだからこそ、生活者に寄り添った提案ができ、それが評価された」と、ビオレ事業部ブランドマーケターの畠山了樹氏は主張する。

 ビオレUV バリア・ミー ミネラルジェントルミルクについても、「紫外線吸収剤を使わない安心な設計でサンゴ礁など海洋環境(に悪影響を与えないよう)にも対応している。無添加かつ保湿成分を配合しており、あらゆる方に安心して使っていただける」と、力を込めた。

(写真提供/花王)

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