海外企業の日本法人にとって、製品を日本市場にどうフィットさせるのかは大きな課題だ。人気ロボット掃除機「ルンバ」シリーズで知られる米iRobot(アイロボット)が、日本市場のニーズをどのように掘り起こし、グローバルで展開している製品をどうフィットさせているのか、日本国内の戦略を聞いた。

アイロボットジャパンの挽野元 代表執行役員社長
アイロボットジャパンの挽野元 代表執行役員社長

 ロボット掃除機「ルンバ」シリーズを展開しているアイロボットによると、2020年9月の掃除機市場でのシェアは14.2%で、前年同月の12.5%から伸びている。20年9月の売り上げも金額ベースで前年同月比+10.6%と増加している。

 アイロボットジャパンの挽野元 代表執行役員社長は「新型コロナウイルス感染症拡大の影響で在宅時間が増え、家の中の環境や生活様式を見直す人が増えた。それによってロボット掃除機を含めて掃除機の需要が高まっている。特に最上位モデルの『ルンバs9+』など高級機の伸びが大きい」と語る。

 高級機の伸びが大きいのは、お金の使い方のパターンが変わったからだという。外食や旅行など娯楽の機会が減り、その代わりに掃除機など家電の購入に向いて来ている。家をより衛生的にしたいという意識の高まりから、高級機に目がいくのではないかとみている。

ルンバシリーズの最上位モデル「ルンバs9+」。アイロボットストアでの価格は18万6780円(税込み)
ルンバシリーズの最上位モデル「ルンバs9+」。アイロボットストアでの価格は18万6780円(税込み)

日本からの要望を製品に盛り込む

 日本は米国に次ぐ2番目に大きな市場で、「ルンバ」はロボット掃除機の代名詞的存在になっている。しかし近年は日本メーカーの製品や、安価な中国メーカーの製品など競合が増えて競争が激しくなってきた。

 その中でアイロボットは、ユーザーの生活に合わせた細かなパーソナライゼーションを強みとしている。ユーザーの生活パターンを学習して掃除のスケジュールを提案したり、ソファやテーブルといった特定の物体を自動的に検出してその周囲をピンポイントで掃除したり、あるいはロボットが停止することの多いエリアを検知して、進入禁止にすることを提案したりといったことができる。花粉が増える時期やペットの換毛期がきたらそれに合わせた清掃を提案するなど、季節ごとの変化にも対応する。

 「いろいろなメーカーが参入し、市場が盛り上がるのはいいことだと考えている。その中でアイロボットは掃除機としての性能はもちろん、ユーザーがロボット掃除機を使うことで、より充実した時間を過ごせるようになることを重視している」(挽野社長)という。

 アイロボットが日本で成功した理由の1つは、日本からの頻繁なフィードバックにある。アイロボットはグローバルで同じ製品を販売しているが、製品には米国のみならず、日本をはじめとした各国からの意見が盛り込まれている。

 「日本は米国についで成功した市場で、プライオリティーが高い。フィードバックを頻繁に行ったり、米国から開発者が来日して仕様やデザインを検討したりするなどコミュニケーションを密にしており、ルンバの開発には日本からの意見がかなり反映されている」(挽野社長)という。例えばダスト容器が水洗い可能になったのは、日本市場からの要望によるものだ。