今、消費リーダーとして世界中で注目を集めているのが、おおむね10代前半から25歳までの若者を指す「Z世代」だ。記憶に新しいタピオカブームも、2020年を彩った映画『鬼滅の刃』や瑛人が歌う『香水』のヒットも、実はZ世代が拡散役となったといわれる。Z世代とは何か、どう攻略すべきか。若者研究の第一人者であり、20年11月に『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(光文社新書)を出版した原田曜平氏に聞いた。

今後の消費の鍵を握るZ世代の攻略法は?(写真/Shutterstock)
今後の消費の鍵を握るZ世代の攻略法は?(写真/Shutterstock)

「消費離れ」で縮んだゆとり世代市場

――今の若者は積極性がなく、消費も消極的とステレオタイプに見がちですが、実態はどうでしょうか。

原田曜平氏(以下原田氏) その見方は全くの的外れです。重要なポイントは、Z世代は、その上の「ゆとり世代」とは異なること。まず、ゆとり世代についていうと、彼らの学生時代はガラケー(フィーチャーフォン)を使い、SNSでは「mixi(ミクシィ)」がはやっていました。本来、SNSは年齢や階層、国籍が異なる世界中の人たちとつながって、今まででは考えられないくらい広い交友関係を築けるツール。ですが、ゆとり世代は身近な友人など、意外と近場ばかりでつながってしまい、広がるはずが逆に閉じてしまった。その中で会話の空気を読んだり、人の顔色をうかがい、できるだけ目立たないようにしたりする、「同調意識」による言動が若者の処世術となってしまったのです。

 ゆとり世代のもう1つの特徴は、若者の車離れや酒離れ、海外旅行離れといった言葉が象徴するように、とにかく消費を控える世代であること。90年代初期から2000年ごろまでのITバブル経済がはじけ、暗いムードの中で人生の大半を送ってきたゆとり世代は、消費意欲がすっかり萎えてしまい、物を買わなくなってしまったのです。私も当時、様々な若者に話を聞きましたが、「海外旅行に全く興味がない」「高級車に関心はなく、むしろ軽自動車がいい」といった声が多数派となり、非常に衝撃を受けたことを覚えています。

――その点、Z世代は違うと。

原田氏 その通りです。Z世代になると、使う端末がガラケーからスマートフォンになり、SNSもmixiからTwitter、Instagram、TikTokへと大きく変わりました。TwitterやInstagramなどは他人とつながるだけでなく、発信型のメディアです。だから、ゆとり世代では「閉じて、目立たぬ」方向だったコミュニケーションが、Z世代では、やたらと自分を外にアピールする発信欲が強くなり、今までとは真逆に振れるようになったのです。

 また、一人っ子が多くなり、小さい頃から周囲に「いいね!」とやることなすことを認められて育ってきたZ世代は、他の世代よりも自己承認欲求が大きくなっています。そこにInstagramなどのSNSの流行がうまくフィットして、悪目立ちしないように気を付けながらも、皆が「角が立たないように目立ちたい」と思うようになったわけです。

原田氏の新著『Z世代~若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?~』(光文社新書)
原田氏の新著『Z世代~若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?~』(光文社新書)

――消費の面では、Z世代はゆとり世代とは変わりましたか。

原田氏 とにかく消費を控える印象のゆとり世代に比べ、Z世代は消費意欲が旺盛な点が大きな変化です。最近では、80年代のバブル時代を彷彿(ほうふつ)とさせる大きなブランドロゴが描かれた洋服などがよく売れています。海外旅行でも、インスタ映えする写真を撮るため、30万円、40万円かけて南米ボリビアのウユニ塩湖まで行くZ世代の若者が多くいます。これは、ゆとり世代では考えられなかった、新たな消費トレンドです。

 もっとも、高額のブランド品などは、「使った後にメルカリで、3割引きにして売ればいい」といった打算も働いており、賢く消費を楽しんでいる点はバブル時代には見られなかった傾向でしょう。

Z世代で復活した “新・見え消費”